
海洋生物は素晴らしい姿に、また時には恐ろしい姿に進化してきた。一流の専門家が魅了されるのも当然だろう。どの生物にも人々を驚かせる特徴が隠されており、その奇妙な性質は生物学者を困惑させるばかりだ。ここではそうしたミステリアスな海洋生物15種を紹介しよう。
5. パープルソック

幸いにも、この深海の”パープルソック(紫の靴下)”と呼ばれる海洋ワームに幾ばくかの光が当てられ、その系統図が明らかになったようだ。
かつて1種のみが知られていたパープルソックであるが、アメリカとオーストラリアのチームによって今年初めに新たに4種が発見。彼らには脳も目も腸もない。幅広の口が備わっており、捕食と排泄を両手に担う。
14. フクロウナギ

大人になると、歯と顎は退化してしまい、餌よりも繁殖の相手を探すようになる。ロマンティックな話だが、これは悲恋である。繁殖が済めば死んでしまうからだ。
生息地は水深550〜3,000メートルの深海であるため発見が難しく、無駄に大きな顎の秘密の解明はなかなか進まない。だが、おそらく先史時代のウナギにまで遡ることができる。当時は今よりも大きな獲物を狩るために大きな口が必要だったのかもしれない。
13. アンコウ

よく知られた深海生物であるにもかかわらず、科学的な手がかりは少ない。冷たく、人間には手の届きにくい深海の暗闇に潜んでいるからだ。
特に専門家からの注目を集めるのが奇妙な配偶行動である。19世紀中はメスしか知られておらず、1924年になってようやくメスの腹に付着する小さな魚の存在が明らかとなった。これは子供でなくオスであった。役立たずのオスを腹に抱えてメスは獲物を狩り、オスは栄養をメスに依存する。
12. ダイオウイカ

さらに2013年、日本の研究チームが史上初めて泳いでいる姿を映像に収めることに成功。撮影に参加した生物学者エディス・ウィダーによると「美しい銀金色」であり、また別の研究者は一番大きい触手の2つが欠損していたと報告している。
11. 深海のキノコ

最初に発見されたのは1986年、オーストラリアの海岸においてである。それ以来専門家は頭を悩まし続けている。1キロメートルの深海でも発見されたそれはエタノールやホルムアルデヒドできちんと保存されているが、遺伝子の解析はことごとく失敗してきた。
だが、ケンブリッジ大学とフロリダ大学の専門家によって、その進化の起源がよりはっきりと描かれるようになった。深海のキノコの”茎”の底部には小さな口、半透明な部分には消化器系があり、これらははるか昔に絶滅した動物最初期の種のそれと非常によく似ている。
※追記:謎に満ちた深海のキノコこと Dendrogramma は、昨年、新鮮な標本がオーストラリア沖の深海から採集されたそうだ。更に今年になって、抽出された遺伝子から系統関係が明らかにされたそうだ。
報告によれば、この奇妙なキノコ状の生物は、刺胞動物門のクダクラゲ目に属するそうで。残念ながらエディアカラ動物群の生き残りではないとのことだ。だが新たな謎が浮かんできたという。クダクラゲは基本的に群体を構成する生物にもかかわらずなぜこの生物は単独で生きているのか?科学者らはもしかしたら未知の群体性クラゲの外れやすい一部分なのではないかもしれないと推測しているという。
10. ハルキゲニア

科学の発見には試行錯誤がつきものだ。ハルキゲニアの前後と上下が明らかになったのは実は最近のことである。一体どちらが頭でどちらが尻尾にあたるのか、どちらが背中でどちらが足なのか長いこと混乱があった。
しかし化石を削って調査すると、目が備わり、かすかに微笑んでいるかのようなスプーン上の頭部が発見された。ケンブリッジ大学のマーティン・スミス博士は「秘密があるぞと、ほくそ笑んでいるかのよう」とコメントしている。
9. ラブカ

水深500〜1,000メートルに潜むため、滅多に目撃されない。調査は非常に困難で、2004年になってようやくNOAAが自然の生息地の撮影に成功した。
喉の部分には変わった襞状のエラがあり、これが英名(フリルドシャーク)の由来となっている。歯は25列、計300本生えており、これを使って不運な獲物に食らいつく姿が観察されている。睨みつけるような目、鋭い歯、蛇のような体……まさに実在するシーサーペントである。
8. スターゲイザー

動きはそれほど速くないが、毒を持っており、さらに電撃で獲物を麻痺させることができる。生息地はインドネシア、カナダ、アメリカの一部である。
おそらく獲物をおびき寄せるために使用すると思われるルアーが口から伸びている種も確認されている。こうした巧みな狩りの技術を有するスターゲイザーであるが、中にはそれを持たない種も存在する。専門家を悩ませる所以だ。
7. 先史時代の生物に似た”突然変異のイルカ”

サハリンの海洋研究所によれば、もっとも近いのは”大きなイルカ”だそうだ。しかし、毛皮や鳥のような嘴はいわゆるイルカには似つかわしくなく、その正体は依然として謎に包まれている。
6. メガネモチノウオ

しかも雌性先熟雌雄同体であり、性別を変えることができる。正式に発見されたのは19世紀半ばのことであるが、長く驚嘆の目で見られてきた。残念なことに、国際的な漁業取引のために絶滅の危機に瀕している。
5. デメニギス

英名のバレルアイフィッシュは、光を集めるために上に向いた筒状の目にちなんだものだ。専門家がこの種に魅入られている理由はその姿を一目みればおわかりのことだろう。
デメニギスは巨大な目を回転させ、捕食者の通り道を避け、頭上の餌を探ることができる。すべては透明なドーム状の頭部から光を集めることで行う。目のある盲目の魚。海洋生物学者が混乱するのだから、私たちが混乱しても仕方がない。
4. メガマウス

のちにハワイの水族館に運ばれたこれは、魚類学者レイトン・テイラーによって学名メガカスマ・ペラギオスと名付けられた。”大海原の大きく開いた洞窟”という意味だ。
全身の標本が発見される前、1960年代にメガマウスの歯が発見されていた。しかし、当時の技術では出処を特定することができず、お蔵入りとなっていた。それから数十年が経っているが、今でも専門家は必死にその生態を明らかにしようとしている。
そんなメガマウスだが、2016年4月15日に三重県尾鷲市の尾鷲漁港で水揚げされたという。2014年4月14日に静岡県で水揚げされてから約2年ぶりだ。
3. ムラサキダコ

その生態はほとんど知られていないが、圧倒的な技の持ち主であることは確かだ。まず、体長2メートルにもなるメスは、危険を感じるとそのケープを体から切り離すことができる。さらに猛毒を持つことで知られるカツオノエボシの毒に免疫を持っており、クラゲの触手をすっぱり剥ぎ取っては、それを鞭のように利用する。女を怒らせると恐ろしいのは海でも同じだ。
しかし、このタコと他の海洋生物とを隔てるものは自己防衛手段だけではない。メスのケープは2メートルもの長さになるが、それと比べてオスは胡桃よりもかろうじて大きい程度なのだ! ほかに一体どんな秘密を抱えているのだろうか?
2. ミツクリザメ

日本の東京湾、駿河湾、相模湾をはじめとする水深1,200メートルの深海に潜む。滅多にお目にかかれないが、この忍者のようなハンティングスキルを思えば、それでいいのだろう。
1. UFOクラゲ

このUFOクラゲは光など全く届かない場所で自らを輝かせ、花火のような印象的な姿を見せる。NOAAの科学者が今年4月に撮影したこのクラゲは、その長いスパゲティ状の触手からヒドロクラゲの仲間に分類された。
via:15 Sea Creatures That Have Left Scientists Completely Baffled/ translated hiroching / edited by parumo
深海のワクワク生物たちと来年を共にしたいお友達はこのカレンダーがおすすめだ。

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コメント
1. 匿名処理班
ムラサキダコ、FFのラムゥが泳いでいるかと。
2. カモノハシ
海の不思議は限りないね
絶滅したと思ってたシーラカンスが泳いでいるし
3. 匿名処理班
真実は小説より奇なりなんて言うけど、空想上の生物以上に奇妙な姿の生物が多いんだなあと思うよ
4. 匿名処理班
胡桃が分からなかった。
クルミって読むのね。
5. 匿名処理班
届けハルケギニア(ry
6. 匿名処理班
ぜひフクロウナギは正面から見てほしい、トラバサミが泳いでいる様な姿は不思議と見惚れてしまう。
男はカマキリとクモとアンコウのオスをみたら優しくしてあげてね。
7. 匿名処理班
パープルソックがいちばん不思議なんだけど
8. 匿名処理班
水中のダイオウイカ怖すぎる
9. 匿名処理班
ムラサキダコこそジュディオングではないだろうか
10. 匿名処理班
メガテンにいそうなのがいるんだがw
11. 匿名処理班
めっちゃワクワクした。やはり深海生物は最高やなって。
12. 匿名処理班
し、深海のキノコ?!
13. 匿名処理班
ムラサキダコは小林幸子かな?
14. 匿名処理班
パープルソックは、2匹出会えばパープルソックスにクラスチェンジするのかな?
15. 匿名処理班
UFOクラゲはマリアナ海溝のどの辺りに居るのだろう。
まさか11km最深部にも居るのだろうか。
16. 匿名処理班
小さいころ変な生き物って本で見た
17. 匿名処理班
ハルキゲニアは反則って気がするけど、絶滅種しかも遥か昔でしょ、
でも海の底は人間が素で観察出来ないからマダマダ色々見付かるだろうね、イルカと話が出来たら良いのにね、ダイオオイカ辺りだと
「え、知らなかったの?」って返って来そう。
18. 匿名処理班
パープルソックは意外にも棘皮動物や脊椎動物に近い動物って話を聞いた
19. 匿名処理班
カレンダー欲しくなったじゃねぇかコノヤロウ
20. 匿名処理班
深海の生物って怖いし気持ち悪いと思うのに知りたくてたまらない
21. 匿名処理班
スターゲイザーは承太郎に歯ぁ折られるな
オラオラオラオラオラオラ!!
22. 匿名処理班
こないだ無くした靴下のかたっぽ、こんなところにあったのか
23. 匿名処理班
やはり深海こそ地球最後のフロンティア…!いやあんまり我が物顔で荒らしにいくべきじゃないとも思うけど(できないし)
普段世界をどんな風に見て何を感じてどんな生活してるのかなあこいつら
24. 匿名処理班
どいつもこいつも不味そうで食欲が刺激されない
25. 匿名処理班
パープルソックがのっけからわけわからな過ぎてイイ! 正体不明過ぎるのでちょっと調べてみたけど、日本語だと「珍渦虫」でWikipediaに載ってるやつのことみたい。そもそも門のレベルからどこに所属するのか定まらない的なこと書いてある。ホント正体不明だわw
26. 匿名処理班
デメニギスを見るたびに宇宙からやってきた宇宙さんじゃないかと思ってしまう
未探査の残り95%の海中にどんな奇怪な宇宙さんがいるのか楽しみだ
27. 匿名処理班
スターゲイザー(ミシマオコゼ、メガネウオの仲間)やメガネモチノウオ(ナポレオン)がここに入るのは違和感ありあり。前者は特に謎はないし、後者の性転換についてもソレはメガネモチノウオに特有という以前にメガネモチノウオが属するベラ科魚類では普通のことじゃん。また性転換そのものが魚類では珍しくない。
28. 匿名処理班
古代生物を除くと個人的にはデメニギスがかなり斜め上に抜けてる気がする。
透明部分が多すぎる頭部とかw
ハルキゲニアはよりによって上下と前後が逆に思われてたっていうのが面白いよねw
左右が間違われていれば役満だった…って判明した時のニュースのレスであったなぁw
一応区別が付くくらいの違いがあるんだね。
29. 匿名処理班
人間の目から見ても怖い動物達は、自然の動物達の
まして天敵の目にはさぞ恐ろしいクリーチャーに見えるんだろうな
30. 匿名処理班
アンコウの雄は役立たずではなく、精嚢と化してメスの体に一体化している。
31. 匿名処理班
何が驚いたって、奥さんアレよ!
ミツクリザメ
日本の東京湾、駿河湾、相模湾をはじめとする水深1,200メートルの深海に潜む。
東京湾の水深1200メートル⁈
1200センチくらいなら分かるけどw
東京湾在住なら、是非見たいな。
32. 匿名処理班
深海の男どもの扱いが不遇すぎる件
33. 匿名処理班
何だかんだで一番ミステリアスなのは人間だろう
34. 匿名処理班
深海もそうなんだけどシュモクザメの造形も不思議。
確かに利点はあるんだろうけど、だからってそうくるか?と思っちゃう。
メジャーな海洋生物もなかなか不思議で面白い。
35. 匿名処理班
ハゲに見えた(何がとは言わない)
36. 匿名処理班
ギガントキプリスが入ってないだと...
37. 匿名処理班
そう、海は神秘的で謎めいた世界…
だからニューネッシーだって存在するんだ、そうに決まってるんだ!
38. 匿名処理班
陸地のオスは食べられたり、働かされたり、メスに選定されたり、悲哀に満ちてるのに、深海のオスのヒモっぷりよw
うらやm、、、じゃなくて、不思議な世界だね
深海艇の強い光にさらされて、大丈夫なんだろうか?
39. 匿名処理班
※32
東京湾の横須賀沖はそれぐらい深い場所あるんです
40. 匿名処理班
深海サメはNHKの番組でやっていたな。
袋か風船のどちらのウナギか忘れたがあんなガタイでウナギやアナゴの親戚とか
鮫やマグロと同じように8000万年前の恐竜絶滅時から深海魚から急速に浅海魚
に進化したという仮説があるそうな
41. 匿名処理班
※39
深海のレベルにもよるけど
連中そもそも目を退化させちゃってたりするから
意外と平気なのでは
42. 匿名処理班
深海の生物は宇宙人に似てると思う。根拠はないけどそう思う。
43. 匿名処理班
ダイオウイカ先輩のアヘ顔
44. 匿名処理班
ラブカは日本近海の相模湾や駿河湾でたまに捕獲されるし刺身がうまいらしい
日本近海の深海って面白いよね
45. 匿名処理班
ゴジラがいる!
46. 匿名処理班
11.の、謎に満ちた深海のキノコこと Dendrogramma は、昨年、ついに、新鮮な標本がオーストラリア沖の深海から採集されました。そして今年になって、抽出された遺伝子から系統関係が明らかにされたばかりです。
報告によれば、この奇妙なキノコ状の生物は、刺胞動物門のクダクラゲ目に属するのだそうです。残念ながらエディアカラ動物群の生き残りではなさそうです。ですが、新たな謎が浮かんできました。クダクラゲは基本的に群体を構成する生物なのに、この変なキノコもどきはなんで単独なのか?研究者は、ひょっとしてこれは未知の群体性クラゲの外れやすい一部分なのではないか。と推測しています。
47. 匿名処理班
こわいわ。
夢に出てくるわ。
48. 匿名処理班
ダイオウイカのアへ顔狙いすぎやろw
49. 匿名処理班
スターゲイザーはアンコウの近縁種で日本ではミシマオコゼと呼ばれる。
実際に食ってみたサイトもある
ttp://www.outdoorfoodgathering.jp/fish/satsuomishimasashimi/
50. 匿名処理班
深海魚とか深海生物とかだと、どんな変な見た目してても「で、食べられるの?」って思ってしまう。日本人なんだなぁ・・・俺
51. 匿名処理班
『ムラサキダコ』で検索しようとしたら検索候補に『ムラサキダコ 食べ方』って出てきて笑ったわ
52. 匿名処理班
パ、パルモたんなんだか今回はやたら雄に厳しくない?
53. 匿名処理班
ゼイリブのエイリアンがいる。
54. 匿名処理班
パルモたん14のフクロウナギの写真がフウセンウナギになってるからなおしてほしいな、どっちも変なんだけどね
55. 匿名処理班
星をみるひと
56. 匿名処理班
スターゲイザーのインパクト・・・w
思わずスマホを遠ざけてしまった。
57. 匿名処理班
パルモたん、「突然変異のイルカの件なんだけど・・・漂着した謎の死体とかでよく言われる毛羽立った羽毛の様な物は動物の脂肪組織なんかの成れの果てだから、人間の水死体もこんな感じになるよ。
変なコメント送って申し訳ないが。