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野生動物のための陸橋を設けたことで衝突事故が91%も減少(アメリカ)

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(著)・ (編集)

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Image credit: youtube
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 米コロラド州を南北に走る州間高速道路25号線(I-25)の上に、野生動物用の陸橋が設置された。

 6車線の高速道路をすっぽりまたぐ陸橋は、動物たちが安全に道路を渡るために造られたものだ。

 2025年12月に完成してから9か月。カメラにはエルク(アメリカアカシカ)の群れをはじめ、さまざまな動物がこの橋を行き来する姿がとらえられている。

 この陸橋と野生動物用の地下道、フェンスを組み合わせたシステムにより、I-25では野生動物と車の衝突事故が91%も減少したという。

高速道路が野生動物の移動を阻む巨大な壁に

 グリーンランド・ワイルドライフ・オーバーパスがあるのは、コロラド州ダグラス郡のラークスパーとモニュメントの間の高速道路「I-25」の上である。

 この地域を走るI-25は、州最大の都市デンバーとコロラドスプリングスを結ぶ主要道路で、陸橋付近では1日に10万台以上の車が通行している。

 一帯には、野生動物の生息地として保全されている公有地や民有地が広がっているが、その間を走るI-25によって東西に分断されている。

 周辺には広い野生動物の生息地が残されており、エルクやミュールジカのほか、北米に生息するプロングホーンも暮らしている。

 プロングホーンはシカに似た姿をしているがシカ科ではなく、プロングホーン科に分類される北米固有の草食動物だ。

 こういった動物たちが食べ物や水、棲み処を求めて移動する中、I-25はその経路を分断。動物たちの移動を阻む大きな障害となってきたのである。

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 コロラド州公園野生生物局(CPW)の野生生物学者、ブランドン・マレット氏は、状況を次のように説明する。

I-25は事実上の壁でした。動物たちはそこを渡るために、まるで『フロッガー』をするように車を避けながら進まなければなりませんでした。

動物の移動が活発になる時期には、この地域で1日におよそ1頭のシカが車にはねられていました

 フロッガーとは1981年に登場したアーケードゲームで、プレイヤーがカエルを操作し、走ってくる車を避けながら道路を横断する。

 実際に2011年から2015年までの間、この地域では野生動物が関係する衝突事故が785件発生し、各年の交通事故の約6%を占めていたという。

 野生動物たちは現実の高速道路で、まさに命がけのフロッガーを強いられていたのである。

約30年前から続いてきた野生動物の通り道づくり

 この問題への取り組みは、突然始まったわけではない。

 ダグラス郡はコロラド州運輸局(CDOT)やCPW、連邦道路局などと協力し、1996年からI-25沿いの野生動物の生息地を守り、道路を安全に横断できる場所を確保する取り組みを続けてきた。

 その一環として進められたのが、I-25のキャッスルロックからモニュメントまで、約29kmの区間を対象とする道路改良事業「I-25 South Gap」である。

 このプロジェクトでは、I-25に4か所の野生動物専用アンダーパス(地下道)を新設し、既存の構造物1か所も動物の通路として利用することにした。

 さらに道路沿いにフェンスを設置し、動物が車道へ入り込むのを防ぎながら、安全な横断施設へ誘導させた。

 5か所のアンダーパスとフェンスが、今回の陸橋より先に既に整備されており、さまざまな野生動物が利用するようになっていたのだ。

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 とはいえ、すべての動物が同じ通路を好むわけではない。

 特にシカやプロングホーンは、アンダーパスのような閉鎖的な構造を避ける傾向があった。

 草食動物であり被捕食者である彼らは、生き延びるためにも遠くまで見渡せる、広く開放された場所を好むからだ。

 そこで既存の横断施設の間に残っていた約6kmの空白区間に計画されたのが、高速道路の上を歩いて渡れる巨大な陸橋だったのだ。

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6車線の高速道路をまたぐ巨大な野生動物専用橋

 この陸橋の建設は、2025年1月に始まり、同年12月に完成した。I-25の両側に広がる、約158平方kmもの野生動物の生息地をつなぐ橋である。

 幅が約61m、長さ約64m、面積は約3880平方mで、6車線のI-25をまたぐ構造になっている。野生動物専用の単一橋梁としては、北米最大規模を誇るそうだ。

 ただ単にコンクリートの橋を架けただけではなく、表面には土を入れて植物を育て、周囲の自然環境と連続するように整備されている。

 さらに、小さな生き物たちが身を隠しながら移動できるよう、木材を積み重ねた通り道も設けられた。マレット氏はその目的を次のように説明している。

I-25を渡ろうとしているところを、コヨーテやキツネ、タカなどに捕まらないようにするためです

 橋自体は巨大だが、爬虫類や両生類、げっ歯類といった小さな生き物たちも、捕食者から身を隠しながら道路を越えられる通り道が用意されているのだ。

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数十年ぶりに高速道路の西側へ渡ったプロングホーン

 そしてこの陸橋が完成すると、周辺に設置されたモーションセンサー式のカメラには、実際に橋を渡る動物たちの姿がとらえられ始めた。

 CDOTの環境マネージャー、チャック・アタルド氏は、完成から9か月後の様子をこう話している。

大きな成果を上げています。エルクの群れが橋を渡る姿のほか、プロングホーンが数十年ぶりにI-25の西側へ渡っている姿も確認されました

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 この陸橋は、特にエルクとプロングホーンを念頭に設計されているそうだ。先述の通り、彼らは広く開けた、何kmも先まで見渡せる場所を好むためだ。

 アタルド氏によれば、トリニダードからグリーンランドにかけて移動するプロングホーンは、何十年もの間、I-25を横断できる場所を探していたという。

 陸橋の開通後は、実際に彼らが利用している姿が映像に収められており、数十年ぶりにI-25の西側へ渡ることができるようになった。

 そして完成から9か月の間に、この2種だけでなく、クマやコヨーテなどの動物たちも、安全に橋を渡っていることが確認された。

 なお、橋の上に植物を定着させる作業も続いているが、2026年の干ばつによって、その生育は遅れているという。

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横断施設とフェンスで衝突事故が91%減少

 実はこの区間では、陸橋が完成する以前から、既に整備されていたアンダーパスとフェンスによって、野生動物と車の衝突事故が大幅に減っていた。

 アタルド氏によれば、2025年8月の時点で減少率は91%に達しており、この数字は陸橋だけによって達成されたわけではないという。

 新たに完成した陸橋は、既存の設備がカバーしきれていなかった約6kmの空白を埋め、特にエルクやプロングホーンが利用しやすい通り道を加えた。

 陸橋が完成したことで、高速道路の上下両方に複数の通り道が用意され、フェンスでそこへ動物を誘導するルートが本格的に機能し始めたのだ。

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世界各地で造られている野生動物専用の橋

 こうした野生動物専用の横断施設は、世界各地で作られている。何もコロラド州だけの試みではない。

 カラパイアでも以前、米ユタ州のパーリーズキャニオンで州間高速道路80号線の6車線をまたいで造られた野生動物専用の陸橋を紹介したことがある。

 2018年に完成したこの橋では、その後の調査でシカやコヨーテ、ボブキャット、ピューマ、ヤマアラシ、クマなど、さまざまな動物が利用していることが確認された。

 さらに1996年からの長期的な実績を誇るのが、カナダのバンフ国立公園にある、トランス・カナダ・ハイウェイである。

 ここには現在、陸橋6か所とアンダーパス38か所、計44か所の野生動物用横断施設があり、道路沿いには82kmにわたるフェンスが整備されている。

 フェンスと横断施設が整備された後、野生動物と車の衝突事故は80%以上減少した。エルクとシカに限れば、96%以上も減っているという。

Largest wildlife overpass in North America “big success,” Colorado mitigation reduces wildlife colli

人間にも動物にも安全な道路を目指して

 今回の陸橋の建設費は、合計で1500万ドル(約23億6000万円)だったという。

 アタルド氏は、野生動物と車との衝突事故を防ぐことで、約15年で建設費の元が取れると説明する。

 費用の問題だけではない。野生動物との衝突事故が減れば、動物だけでなく車に乗っている人間の安全にもつながるのだ。

 今後さらに連邦政府の助成金が利用できるようになれば、州内のほかの地域にも同様の横断施設を造ることが検討されているそうだ。

 道路や鉄道は、人間にとって目的地へ向かうための便利な通路である一方、そこに暮らしている野生動物の生息地を分断する壁にもなる。

 マレット氏が特に印象深かった出来事として挙げたのは、母親のエルクが子供を連れ、I-25の下に造られたアンダーパスを利用している写真だった。

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私にとって最も心温まる瞬間のひとつは、CDOTから、母親のエルクが子供を連れてI-25の下を通っている写真を送ってもらったときでした

 そして、その1枚に、それまで積み重ねてきた成果が凝縮されていたという。

6年間続けてきた努力のすべてが、あの瞬間に実を結んだのだと感じました。母親のエルクとその子供がそこに立ち、安全にI-25の反対側へ渡っていく姿を見たときです

 野生動物用の陸橋やアンダーパスは、人間が造った道路による分断を、その上と下に新たな通り道を設けることでつなぎ直しているのである。

References: Colorado's Massive Wildlife Overpass Has Reduced Animal Collisions by 91% / Largest wildlife overpass in North America located in Colorado with 91% reduction in collisions: "Big success" - CBS Colorado

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