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3億4500万年前の化石は「最古の爬虫類」ではなかった!内部スキャンでエラを発見

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(著)

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最古の爬虫類と考えられていた四肢動物「ウェストロシアナ」Image credit:Nobu Tamura / commons.wikimedia / CC BY 3.0
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 スコットランドで発見された。約3億4500万年前の化石「ウェストロシアナ」は、数十年にわたり世界最古の爬虫類と考えられていた。

 しかし、アメリカとイギリスの研究チームが頭骨の内部を強力なX線で解析したところ、ウェストロシアナにはエラがあったことが明らかになった。

 ウェストロシアナは爬虫類ではなく、魚のようにエラを使って水中で暮らしていたか、両生類のように水と陸を行き来していた、より古い系統の四肢動物だったのだ。

 爪のような指先など陸上向きの特徴は、エラを持つ水中の生き物の段階ですでに現れていたことになる。

 この研究成果は『Nature』誌(2026年9月30日付)に掲載された。

参考文献:

最古の爬虫類と考えられていた3億4500万年前の化石

1984年、スコットランドの首都エディンバラの西にあるイースト・カークトンで、三畳紀よりも前の石炭紀にあたる、約3億4500万年前の化石が発見された。

 古生物学者のティモシー・スミスソン博士らが化石を分析したところ、体長約20cmほどで、指先が爪のように尖っている5本指の足を持ち、陸上で体重を支えられそうな4本足を持つ生物であることがわかった。

 1990年、博士らは、この化石を新種として発表し、化石が見つかったウェスト・ロージアン地方の名前にちなんで、ウェストロシアナ(学名:Westlothiana lizziae)と名付けた。海外ではリジーの愛称で知られている。

 ウェストロシアナは、知られている中で最も古いの爬虫類であると発表された。

 1993年以降の研究で、ウェストロシアナは爬虫類や鳥類、哺乳類を含む有羊膜類(ゆうようまくるい)の先祖に近い系統とされた。

 有羊膜類は、育っていく子(胚)を羊膜という膜で包んで乾燥から守ることで、陸上でも子孫を残せるようになったグループのことで、両生類とは別の系統に分かれた。

 ウェストロシアナは有羊膜類の起源を考えるうえで欠かせない化石として扱われてきた。

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ウェストロシアナの化石2枚 Image credit:Roger Benson, posted with permission from National Museums Scotland

X線スキャンで頭骨の内部にエラの骨を発見

 ウェストロシアナの化石は2枚の岩の間に押しつぶされた状態で保存されており、重要な骨の多くは外から見えなかった。

 そこでアメリカ自然史博物館のゼイビアー・ジェンキンス氏と、イギリス・オックスフォード大学のベン・イギールマン氏らの研究チームは、非常に強いX線を作り出せるフランスの研究施設「欧州シンクロトロン放射光施設」にウェストロシアナの化石を持ち込んだ。

 研究チームには、1990年にウェストロシアナを最古の爬虫類として命名したスミスソン氏自身も加わっている。

 研究チームが強力なX線で岩の中に埋もれた骨格をデジタルで再構築したところ、頭骨の内部から定説を覆す構造が見つかった。

 研究チームは頭骨の内部で、エラを支える骨と、何千もの小さな歯が並ぶ口を確認した。

 エラの骨に残る血管の溝は、ウェストロシアナが生きていたときにエラが実際に働いていた証拠となる。

 口の中の小さな歯も、水中で餌をとるのに適した形をしていた。

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ESRF(欧州シンクロトロン放射光施設)でのX線実験をもとに復元した、ウェストロティアナの頭骨。上から見た図、横から見た図、口の天井(口蓋)を下から見た図、下顎を示している。Image credit:THE EUROPEAN SYNCHROTRON

エラを持つ一方で、陸に向いた手足も備えていた

 エラを持ち、水中で餌をとっていたことから、ウェストロシアナは爬虫類ではなく、魚のように水中で暮らすか、両生類のように水と陸を行き来していたと考えられる。

 研究チームが新しいデータをもとに分類を見直したところ、ウェストロシアナは有羊膜類から大きく外れ、両生類と爬虫類の祖先が分かれるより前に枝分かれした、より古い四肢動物(4本の足を持つ脊椎動物)の系統であることがわかった。

 一方で、ウェストロシアナの手足には陸上の暮らしに向いた特徴も残っていた。

 前脚は泳ぐより体重を支えるのに向いていた可能性があり、指先の骨は本物の爪とは異なるものの、爪のように尖って曲がっていた。

 研究に参加したアメリカ自然史博物館のロジャー・ベンソン氏は、「今の私たちは両生類を爬虫類より原始的だと考えがちですが、爬虫類の特徴の一部は、両生類と爬虫類の共通の祖先の段階ですでにあったのです」と語っている。

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今回の研究と、過去の研究の系統データをもとに作成した、初期の四肢動物の系統樹 / Image credit:Igielman et al. 2026, Nature

陸に上がる準備は水中で少しずつ進んでいた

 ウェストロシアナの発見から、爪のような指先や体重を支える前脚といった陸上向きの特徴は、エラを持つ水中の生き物の段階ですでに現れていたことがわかった。

 脊椎動物は、水中で暮らしながら陸上生活に必要な体の仕組みを少しずつ身につけ、長い時間をかけて陸へ進出していったようだ。

 ウェストロシアナの発見は、足跡の化石の読み解き方にも影響を与える。

 2025年、オーストラリアで爪の跡が残る足跡の化石が報告され、有羊膜類の起源が数千万年さかのぼると話題になった。

 エラを持つ原始的な四肢動物でも爪のような指先を持っていたとなると、爪の跡があるというだけでは、足跡を残した動物を有羊膜類と決めることはできない。

 ウェストロシアナの化石は、脊椎動物の陸上進出が少しずつ進んでいたことを理解する鍵となる。

References: DOI.10.1038/s41586-026-11090-6

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