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謎の古生物「タリーモンスター」は脊椎動物ではなかったことが突き止められる

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(著) (編集)

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 70年前に発見されて以来、古生物学者たちを混乱させ続けてきた3億年前の古生物がいる。

 「タリーモンスター」、あるいは「トゥリモンストゥルム(Tullimonstrum gregarium)」は、他のどんな動物とも違う体の作りをしており、はたしてその体には背骨があったのかどうかすらはっきりわかっていなかった。

 だが、このほど東京大学の研究チームが3Dレーザースキャナーでその化石を詳細に分析したところ、どうやらタリーモンスターには背骨がなかった、すなわち無脊椎動物だったろうことが突き止められたそうだ。

 その形態学的な特徴は脊椎動物は見られないもので、「脊椎動物以外の脊索動物」か「特殊化したなんらかの旧口動物」ではないかと考えられるそうだ。

謎に包まれたタリーモンスター

 タリーモンスターの化石が発見されたのは1955年のことだ。

 アメリカ、イリノイ州メゾンクリークで発掘調査をしていたフランシス・タリーが、幸運にも15cm
の化石を発見した。

 1987年にシカゴ・トリビューンに取材されたタリーは、そのときのことを次のように語っている。

風化して2つに割れた岩を見つけてね。そこに、ちょっと珍しいものが入っていたわけさ。すぐにわかった。見たこともないものだってね。

どの本にも載っていなかったし、博物館でもロッククラブでもお目にかかったことがなかった。それで、シカゴのフィールド自然史博物館に鑑定を依頼したのさ

 その化石が発見されたフランシスクリーク頁岩は、クラゲのような硬い組織がない生物であっても化石に残る世界でも稀な地層だ。

 腕足類やウミユリなどの無脊椎動物のほか、エダフォサウルスという哺乳類型爬虫類など、化石として保存されにくい生物も多く含んでいることが特徴で、それらは「メゾンクリーク生物群」と呼ばれている。

 タリーモンスターは、そんな珍しい化石の中でも、ひときわ異彩を放っている。

 体長10cmほどの体の先端には、飛行機の羽のようなものがある。その反対側には、先端に目がある棒状のものがついている。

 さらに体の先端からは細長い管のようなものが伸びており、その先には歯まである。その姿は、現代のイカに似ていなくもない。

 あまりに奇怪で、ほかのどんな動物とも似ていない姿ゆえに、発見以来、この古代生物がはたして無脊椎動物か脊椎動物のどちらなのか論争を引き起こしてきた。

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photo by iStock

 タリーモンスターは約3億年前に生息したと考えられており、地質時代では石炭紀の後半にあたる。この時代は、地球が寒冷化し、南極とその周辺に大規模な氷河が発達した時期だ。

3Dスキャンの結果、無脊椎動物であることが判明

 はたして、この不可思議なタリーモンスターには背骨があったのか?

 その謎を解くために、東京大学大学院理学系研究科の大学院生、三上智之氏と岩崎渉教授らは、その化石153点とメゾンクリーク生物群の化石75点を3Dレーザースキャンして、体の構造をくわしく調べてみることにした。

 その結果、いくつかの特徴からタリーの怪物は脊椎動物ではないと結論づけている。

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研究に基づいて描かれたタリーモンスターの復元画  / image credit:迫野貴大氏

 この結論を導くうえでとりわけ重要だったポイントは、「タリーモンスターの頭部には体幹部から連続して分節構造」があったこと、とプレスリリースで説明されている。

 タリーモンスターが脊椎動物であるとする説では、筋節・脳・ヒレなどを支える構造が脊椎動物のものに似ていることを根拠としていた。

 ところが、今回の分析ではそうした構造に分節構造が見つかっており、脊椎動物のものとは大きく違っていることが明らかになっている。

 こうした分節構造は、脊椎動物のどの系統でも知られておらず、およそ背骨のある動物の頭部とは考えられないのだという。

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タリーモンスターの頭部の分節構造。タリーモンスターの化石標本(左図)と、同じ標本の表面の起伏を色で表現した図(右図)。タリーモンスターの分節構造は、体幹部(白かっこ)だけでなく頭部(赤かっこ)にも立体構造として明瞭に保存されていた / image credit:東京大学プレスリリース

具体的な分類は今もなお不明

 『Paleontology』(2023年4月16日付)で発表された今回の結果によるなら、タリーモンスターは無脊椎動物であるらしい。

 だが、このモンスターに背骨があったかどうかの論争に決着がついたとしても、その不思議さはいささかも衰えていない。

 無脊椎動物だったとして、具体的にそれがどのグループに属するのかまだわかっていないからだ。

 今の時点では、「脊椎動物以外の脊索動物」か、「形態的に特殊化したなんらかの旧口動物」と考えられるとのこと。

 詳しいことはまだまだ研究が必要で、この怪物をめぐる議論はこれから続いていくことになりそうだ。

References:謎の古生物「タリーモンスター」、3D形態解析で脊椎動物説に反証 – 東京大学 大学院理学系研究科・理学部 / Three‐dimensional anatomy of the Tully monster casts doubt on its presumed vertebrate affinities / written by hiroching / edited by / parumo

追記(2023/04/23)タイトルの誤字を訂正して再送します。

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この記事へのコメント 32件

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  1. この復元図だと首長竜感がすごい。
    サイズは全然違うけど収斂進化と言えるのかな。

    • +4
    1. >>1
      自分は、オパビニアっぽいと思った。

      ただ、あっちの吻は、ゾウの鼻みたいな腕がわりの役目で
      口は本体の下側に付いているらしいが。

      • +5
  2. すいません、そもそもどっち側が彼の頭だと考えられてるんですか?

    • +9
  3. 実は脊髄あったってニュースが出たの去年か一昨年くらいだったと思ったが、また脊髄生えてきたのか
    検索するとタリモンストラム・グレガリウムとツレモンストラム・グレガリウムが出て、昔はツリモンが主流でここ数年でタリモンがgoogle検索上位に来てたんだよな
    BingAIにどっちが正しいか聞いたら、今回の記事に書いてあるとおりのトゥリモンストゥルムが正しいって教えてくれたのが1週間くらい前だったからタイムリーなニュースだw

    • -5
    1. >>5
      実際に回答文章見たわけじゃないから断言はできないが、
      また文章生成AIの出鱈目回答っぷりを示す例が一つ増えたようだなソレ。
      「Tullimonstrum gregarium」の読みをどう日本語音写するか、
      しかもラテン語というネイティブ話者がいない言語の話だから、
      「どっちで読む人間が多いか」はあっても「どっちが正解か」は無いんだから。

      • +3
  4. お、無脊椎動物!
    ではイカタコウニイクラと同じ仲間か。
    俺たちにでもなんとか食べれそうだな。

    • 評価
    1. >>6
      イクラは魚卵なので、脊椎動物、、

      • 評価
  5. 哺乳類型爬虫類はもう不適切な呼び方だった気がする

    • +3
  6. 飲み会で酔っ払って店のコースターの裏にヘンテコなラクガキしてゲラゲラ笑ったやつがうっかり顕現しちゃったかのようなデザインだなw

    • +6
  7. イカじゃないのトンビが外に突出した感じに見える。

    • +4
    1. >>14
      コノドントは疾っくの昔に本体見つかってる

      • 評価
  8. これの巨大化したのがネッシーだっていうトンデモ説が昔あったな

    • 評価
    1. >>15
      イッシーだろ。 米軍が調査して食われたとかいう、ほんとならクソ怖いやつ。存在の可能性が高いとかいわれてるモンゴリアンデスワームも結局いるのかわからんままやし、UMAはロマンでしかないのかなあ。

      • 評価
  9. >他のどんな動物とも違う体の作りをしており、

    目の作りはシュモクザメだな!(自信)

    • +2
  10. 恐竜とかダイオウイカレベルのクソでか生物かと思って読んでたら手の平サイズ

    • +4
  11. YouTubeのゆるふわ生物学で見たやつだ。
    発見した三上さん本人が詳しく解説してくれてるから見るのおすすめ。

    • +3
  12. ヘラヤガラ(トランペットフィッシュ)みたい

    • 評価
  13. ネッシーはこいつが巨大化した姿だ!無脊椎動物だから死骸も残らんのだ!

    ‥って説が割と昔からあってですねぇ…

    ロマンを見るにはいい説だ!

    • -4
  14. 無脊椎動物だとヒレは体の両サイドにつくことが多いと思う。イカ、クリオネ、アノマロカリスなど。無脊椎だとしてもタリーモンスターの形状はいろいろ不思議すぎる。

    • 評価
  15. イカにしか見えん、本当に口だったのか?

    • +1
  16. その口、生きてるときは身体の中に収納されてた可能性ないかな
    お目々も触ると引っ込むとか

    • 評価

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