この画像を大きなサイズで見る光速で計算すれば4時間かかるはずのトンネルを、なぜか3時間で通り抜けてしまう。そんな不思議な現象が、量子の世界では実際に起きていることが新たな実験で初めて証明された。
カナダのトロント大学とオーストラリアのグリフィス大学の研究チームは、光の粒子が物質の中を通過する際の滞在時間を2つの独立した方法で測定し、どちらもマイナスの値で一致することを確認した。
時間が逆流するわけでも、タイムマシンが実現するわけでもないが、「マイナスの滞在時間」が計算上の錯覚ではなく物理的に実在する現象だと初めて示された。
この研究成果は『Physical Review Letters』誌(2026年4月13日付)に掲載された。
参考文献:
- Physicists have measured 'negative time' in the lab
- 'Negative Time' Really Does Exist, New Experiments Suggest
時間がマイナスになるとはどういうことか
物質の中を通り抜けるとき、本来なら時間がかかるはずだ。光速で計算すれば4時間かかるはずのトンネルを、なぜか3時間で通り抜けてしまう。
この「早くなりすぎた分」を通過時間として計算すると、マイナスの値が出る。これが「マイナスの滞在時間」だ。
時間が逆流したわけでも、粒子が過去に戻ったわけでもない。
量子の世界では粒子が「いつ存在するか」が確率的にしか決まらないため、大量のデータを平均すると予測より早く通り抜けた結果になることがある。
その「早すぎた分」を数字で表すとマイナスになるのだ。
長年、物理学者たちはこの現象を「計算上の奇妙さ」として、測定可能な物理現象とは見なしてこなかった。
しかしカナダのトロント大学とオーストラリアのグリフィス大学の研究チームは最新研究で、マイナスの滞在時間が実際に測定できる物理現象であることを初めて証明した。
この画像を大きなサイズで見る光子が原子の雲を通り抜けると到着が早すぎる
実験に使われたのは光子だ。光子とは光を構成する粒子で、質量を持たず真空中では常に光速で進む。
研究チームはこの光子を、ルビジウム原子が漂う雲に向けて発射した。
ルビジウムは原子番号37の金属元素で、特定のエネルギーの光を精密に吸収・放出する性質から量子実験に広く使われている。
ルビジウム原子は光子のエネルギーを一時的に吸収し、「励起状態(れいきじょうたい)」になる性質を持つ。
励起状態とは、原子の中の電子が外からエネルギーを受け取り、通常より高いエネルギー状態に移った状態のことだ。光子はこの間、原子の雲の中に「滞在」していることになる。
この吸収が起きるには条件がある。
光子のエネルギーの量が、ルビジウム原子を励起状態にするのに必要な量とぴったり一致していなければならない。
ちょうど鍵と鍵穴のように、エネルギーの量が合致したときだけ吸収が起きる。この「ぴったり一致した状態」を共鳴という。
共鳴を成立させるには光子のエネルギーを正確に定める必要があるが、ドイツの物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルクが1927年に提唱した不確定性原理によれば、エネルギーを正確に決めようとすると、その粒子が「いつ存在するか」が過去と未来にぼんやりと広がってしまう。
そのため光子がいつ雲に入るかは「平均的にいつごろ」しかわからない状態になり、予測より早く反対側に現れることが起きる。
この条件で光子を発射すると、ほとんどの場合、光子は原子にエネルギーを奪われてランダムな方向に散乱され、反対側には届かない。しかしまれに、光子が雲を真っすぐ通り抜けることがある。
通り抜けに成功した光子の到着時刻を測定すると、光速で計算した予測よりもはるかに早く反対側に現れていた。
あまりに早すぎるため、滞在時間を計算するとマイナスの値になる。平均的に見ると、雲に入る前に出てきているように見えるのだ。
この現象は1993年にスタインバーグ氏らが初めて観測していた。
しかし当時の物理学者たちは「光のパルスの先頭部分だけが通り抜けるから早く到着するのだ」と説明し、マイナスの時間を見かけ上の現象として片付けた。
この画像を大きなサイズで見る2つの測定が同じマイナスの値で一致
1993年の実験に関わったエフライム・スタインバーグ氏は、この説明に納得していなかった。
マイナスの滞在時間が本物であれば、光子が通り抜けた原子の側にも何らかの痕跡が残るはずだと考えた。
光子の到着時刻からではなく、原子への影響を直接測ることでマイナスの滞在時間を独立して確かめられないか。
スタインバーグ氏はグリフィス大学のハワード・ワイズマン氏に理論的な予測を依頼し、実験の設計を進めた。
量子の世界では、何かを観測しようとする行為そのものが観測対象に影響を与えてしまう。
光子が原子に滞在しているかどうかを精密に測定しようとすると、その測定行為が光子と原子の相互作用を壊してしまうのだ。
これを量子ゼノン効果という。見ようとする行為が、見たい現象そのものを消してしまう。
研究チームが採用した解決策は「弱い測定」と呼ばれる手法だ。
単一の光子パルスとは別に、ごく弱いレーザービームを原子の雲に通し、ビームの波のわずかなずれを読み取ることで、原子が励起されているかどうかを間接的に調べる。
1回の測定で得られる情報はごくわずかだが、数百万回の結果を積み重ねて平均することで、正確な滞在時間が算出できる。
弱い測定で得られた滞在時間は、光子の到着時刻から計算したマイナスの値と完全に一致した。
まったく異なる2つの方法で測定した値が同じになるとは、研究チームも想定していなかった。
さらに重要なのは、弱い測定で得られたマイナスの値が「パルスの先頭だけが通り抜けたから早く到着した」という従来の説明では説明できないことだ。
原子への影響として直接測定されたマイナスの値は、見かけ上の現象では片付けられない。
この画像を大きなサイズで見るマイナスの時間は錯覚ではなく実在する現象だった
2つの独立した測定が同じマイナスの値を示したことで、マイナスの滞在時間が測定上の錯覚ではなく、光子が通り抜けた原子の雲に物理的な影響を与える実在の現象であることが初めて証明された。
これが実証されたからといって、タイムマシンが実現するわけではない。光子が文字通り過去に戻るわけでもない。
実験は標準的な量子力学の枠組みで完全に説明できる現象だ。
しかし、長年「ありえない」と退けられてきたマイナスの時間が、現実に測定できる物理現象として存在することが確かめられた意義は大きい。
私たちが「当然」と思っている時間の概念は、量子の世界では別の顔を持つ。
今回の実験が示したのは、量子研究という果てしない旅には、人類がまだ踏み込んでいない領域が残されているという事実だ。
まとめ
この研究でわかったこと
- 量子の世界では、光子が物質を通過する際の滞在時間がマイナスになることがある
- マイナスの滞在時間は計算上の錯覚ではなく、原子に実際の影響を与える物理現象だ
- まったく異なる2つの測定方法が同じマイナスの値を示し、互いに裏付け合った
- この現象はタイムマシンの実現や時間の逆戻りとは無関係だ
「マイナスの滞在時間」をわかりやすく言うと?
光子のエネルギーを正確に定めると、不確定性原理によって光子が「いつ存在するか」が過去と未来にぼんやりと広がる。
その結果、観測者が予測した時刻より早く光子が到達することが起きる。トンネルを通り抜けた車が、本来かかるはずの時間より早く目的地に着いているようなものだ。
おかしいと思って監視カメラをトンネル内に設置してみると、やはりトンネル内の滞在時間も短かった。
2つの証拠が一致したことで、これが見かけ上の現象ではなく実際に起きていることが証明された。
時間が逆流したのではなく、量子の世界では「いつ存在するか」自体が確率的にしか決まらないため、こうした不思議な現象が生まれるのだ。
References: DOI: 10.1103/gjfq-k9dv
















エントロピー「許さん」
マイナスの時間は存在するが、時間は元に戻らないし、現実にも起こり得ない……
うーん、何度読んでもさっぱり分かりません。
光よりも速く光子が動いてるってことなんか?
まあこういうことだろうな。正確には光より速く光子が動いているように見える、って感じかな?
これテーブルに硬貨並べて後ろの端にもう一枚弾いてぶつけたら先頭の一枚が飛んでく感じで、励起状態のエネルギーのみがルビジウム原子のクラウドを伝播して光子がぶつかったのと異なるルビジウム原子から光子を弾き出したりしてるんじゃないか?
もしそうなら光より速く情報が伝わってるんでそれはそれで大問題だが。
確かに「光速を越えてる」とも考えられるよね・・・
ワープ理論の先駆けになったりして。
絶対不変の「光速」と言う物理現象が覆されるのが量子論の世界なんだろうね。
「トンネル効果」もそうだし。
不確定性原理によれば、ミクロの世界では運動量と位置は一方を確定するともう一方が確率的に揺らぐ(ΔPΔQ≧h/2と表される)
例えば電子の運動量を確定すると位置が不確定になって雲のようにぼやっと分布してしまう、という図を見たことがあるんじゃないかと思う
で、上記の式の物理量の次元をいじるとΔEΔt≧h/2と書ける
これはエネルギーを確定するとそのエネルギーが存在する時間が確率的に揺らぐことを意味している
光のエネルギーは波長(振動数)なので、ミクロの観測でそいつを確定すると存在する時間が過去と未来にぼやっと分布する
すると観測者側が思ってる時間よりも早く光が到達してしまい、従って出てくる時間も思ったより早くなる、ということも起こり得る
・・・という意味じゃないかと思います
上手く説明できないんだけど
10台の車列が出発後1時間から1時間半でトンネルに入り、2時間程度渋滞に巻き込まれ、多くはそのまま多重事故でトンネルの壁に激突して消え失せ、生き残りはトンネル脱出後1時間程度で目的地に着く予定で、本来なら4時間から4時間半で到着しているはずだが何故か3時間から3時間半で着いてるって感じか。
んで従来はコレを全体の出発後に先頭の到着だけ見てたからそのように見えただけと説明してたけど、納得いかないからトンネル内に停滞状況監視カメラを数台置いてみたらどういうわけか渋滞を1時間程度で抜けてることがあるのが判明してしまったと。
なるほどわけ分かんないけど現象としてはたまに起きるな。
説明を読んでもわけわからん…量子の世界は人間の常識が通用しないようだ
だがそれを現実世界と統合して一つの式(大統一理論)で表せない限りは人類は次のステージに進めないのだ…
「量子の世界を理解した・解った」という者がいた時、量子力学の権威のファインマンに言わせると「そいつは噓吐きだ」という分野だし…
この界隈、実験結果より遥か昔に計算でそれが導き出されていることが多いのが一番意味わからん
数学とはやはり世界の理に最も近いものであるのか…ブラックホールなんかもそうだったよね
ヒデキ「刻が未来にすすむと 誰がきめたんだ〜♪」
私達の見る虹も実は実感と異なる現象に支えられてたりするんだろうか
この世は実は11次元くらいで、普段見えない余剰次元は小さく折りたたまれているなんて説を見た事あるし、物質の素となる粒子は粒ではなくひもという説もあるし、私達が現実だと思ってるこの3次元世界は11次元の海のみなもにザパーンと表れる波のようなもので、水面の下では全てが繋がってるのかなと思ったりする
時間なんて無いって思うと、なんとなく納得した気になれた。
時間なんてな~いさ♪
量子論の世界では時間は観測量じゃない(時間演算子が存在しない) =出来事の発生順序があるだけで先のものを「因」後のものを「果」として、そこに時間という要素が独立してあるように感じさせることはあるけど、それはあくまで古典的物理観。時間は外部パラメータであり独立した実在性ある要素ではない。不確定性原理によって量子過程では「因果関係という概念自体が古典的時間概念に従っている」ことが数学的に証明済みなんよ。なので今回の実験で、それ「時間の実在的曖昧性」が検証補強されたってだけ
彡⌒ミ
( ゚Д゚) ≺マイナスは焼きナスで、、、
⊃🍆⊂ 熱燗でゆっくりした時間を、、、、
つい数日前の「光速より早いものを発見」と言う記事と関連しそうな気がしなくもない
光速を越えて移動した結果見かけはマイナスの時間に見えるとか
秤じゃないのにマイナスの値を測定できる機械あるんだ?
実はこの世界に電子は1個しか存在しないそうな 文春砲ではないぞ
量子の世界ってわけわからん過ぎるけど、こういう、常人には理解できない現象を何十年も研究し続けている研究者に、畏敬の念を抱く。
少なくとも私達が普段イメージしてる時間は実際の時間という現象とは全然違うんだろうな。量子の世界は脳のなんとなくな理解が通用しないよね。
・ルビジウム原子雲はまるで1個の巨大な原子のように振る舞う(ボース=アインシュタイン凝縮体)
・また量子力学的な重ね合わせが起こっていた(ルビジウム原子雲の中で光子が遅延を起す状態、全く遅延を起こさない状態、遅延がマイナスになってしまう状態が重なっていて、そのうちマイナスになる状態が観測された)
定時を超えるとにマイナスの時間に成る惑星は?
残業が付かんのです
みなし残業星
つまり光子カメラなるものが出来たら過去の映像を撮れるのかな
つまりシュレディンガーの猫か。
概念ではなくほんとにそんなあやふやなもんがあったんだな。
え?
冒頭の「トンネルに入った車が、入った時刻より前に出口に現れる。」って例え、あってる?
この実験が示しているのは、あくまでも「トンネルを走り抜けた時間(滞在時間)」が車が出せる最高速度で計算した場合よりも短くなるということであって、入るより前に出てきたわけではないのでは?
計測してるのは車は車でもパルス車ということらしい
車にはバンパーがあってボンネットがあって座席があったりする
バンパーが出てくるところでいきなり運転手になってる感じで
ピークが分裂することがあるみたいだね、群遅延とか群速度というワードがでてくる
ファインマンダイアグラムのアレかな
J.P.ポルナレフさん、一言お願いします
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
おれは奴の前でルビジウムに光子を照射したと思ったらいつのまにか反対側に抜けていた…
な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ…
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
これを記事にできる編集長何者?すごいな。
故・小林泰三・著の「αΩ」のラストにあったシーン。
結びの諸星隼人が「ガ」と完全に融合し「本人としてはいなくなる」前、冥王星の辺りだったかに連れられた時か?のナレーションである地の文の…
「虚数時間文明の不思議を見た」(虚時間だったか?)
観測できないだけで、「虚数時間に生きる知的種族」が実在する可能性も、まんざらあり得ない話ではない?胸熱だな…
色々検索してみたけど正負双方向性だけじゃなくて
いわゆる虚的な時間方向や多元的な時間方向までも視野に入れてて
とてもロマンがあった
反応が逆向きに起こっただけで、時間が戻ったんではないんでないの。
不確定性原理に起因するものですかね。
・単一の光子がマイナス時間を取るということではない。
・観測に不確定性原理が作用するため、観測=複数の現象(複数の光子)の確率的な平均を取る必要があり、マイナス時間となった。
結果、光子が原子雲の内部に入った時間よりも早く反対側から出てくる(ように観測される)ということではないかと。
なるほど(わからん)
この世で一番速い物は何か?鳥か?風か?それは心さ思うだけでその場所に行ける。千年以上前の言葉らしいけどいつか思うだけでその場所に行ける日が来るのだろうか
>マイナスの時間を見かけ上の現象と片付けた
と記事にあるけど 別に当時93年の実験で学者達が不確定性原理を否定したわけじゃないし 実験の信憑性と解釈の話だよね
「観測可能とは思えなかった」
でも今度は
「やっぱ観測可能だった、原理を実証した!」
しかし量子の世界は自由というかまるで観念めく…
実際観念の世界なら「光よりはやい」事は普通にある(…よね?) より物理的な「速い」よりも「早い」?の方だけど