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広島への原爆投下により、地球上に存在しなかった未知の新合金が誕生

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(著)

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Image credit:Bindi et al., Sci. Adv., 2026
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 1945年の日本の広島県への原爆投下は甚大なる被害をもたらした。さらに、想像を絶する極限環境は、地球上に存在しなかった未知の物質を生み出していた。

 原爆の超高温と急冷によって形成されたガラス状の物質「ヒロシマイト」の内部から、全く新しい構造を持つ未知の合金がイタリアの研究チームにより発見された。

 それは、極限状態でのみ生成される特殊な物質だったのだ。

 この研究成果は『Science Advances』誌(2026年7月29日付)に掲載された。

参考文献:

広島の原爆が生み出したガラス状の物質「ヒロシマイト」

 1945年8月6日、アメリカは広島県に原子爆弾「リトルボーイ」を投下した。

 爆発の瞬間、火球の温度は7,000度を超え、建物や金属、土壌などあらゆるものを一瞬にして蒸発させた。

 それらの物質が空中で混ざり合い、急速に冷やされて固まったものが、細かいガラス状の粒子「ヒロシマイト」である。

 ヒロシマイトは広島湾周辺の海岸砂浜に広範囲に残存しており、原爆のすさまじい破壊力を現代に伝えている。

 そして2026年の研究によると、ヒロシマイトの内部には、通常の環境では絶対に起こり得ない物質の記録が閉じ込められていたのだ。

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原爆投下後、エノラ・ゲイの乗組員が松山市上空から撮影したキノコ雲。Image credit:public domain / Wikimedia

制御不可能な極限環境で行われた物質実験

 イタリアにあるフィレンツェ大学の地質学者、ルカ・ビンディ氏の研究チームは、ヒロシマイトのサンプル34個を詳細に調査した。

 核爆発の火球は、数秒という極めて短い時間の中で、物質を極度の高温にさらし、激しくかき混ぜ、異常な速さで冷却する。

 ビンディ氏によると、この極限状態は事実上、無数の材料実験を一度に引き起こしているようなものだという。

 物質が安定した構造に落ち着く前に急速に凍結されるため、自然界や通常の工業プロセスではめったに起こらない化学的な組み合わせが生まれる。

 研究チームは、広島の降下物の中にこれまでに見たことのない未知の金属が含まれているのではないかと推測して研究を進めた。

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ヒロシマイトの拡大図。ガラス中に金属物質が散在している。Image credit:Bindi et al., Sci. Adv., 2026

複雑で特異な構造を持つ未知の多成分合金を発見

 調査の過程で、1つのサンプルの中に、鉄とクロムの合金の破片が数多く埋まっているのが見つかった。

 破片の大半は予想通りのものだったが、1粒だけが研究者たちの目を引いた。

 大きさわずか約10μm(マイクロメートル)の1つの微粒子には、周囲の破片よりもはるかに多くのケイ素が含まれていた。

 研究チームは、この1粒と、ほぼ同じ大きさの他の3粒を細い針で取り出し、単結晶X線回折という技術を使って、粒子の内部で原子がどのように並んでいるかを立体的に調べた。

 単結晶X線回折とは、物質にX線を当てて内部の構造を解き明かす分析技術のことだ。

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単結晶X線回折でヒロシマイトの粒子を分析 Image credit:Bindi et al., Sci. Adv., 2026

 比較した3粒は、通常の鋼と同じ単純な並び方をしていた。

 ところがケイ素に富む1粒だけは、はるかに複雑で規則正しい並び方をしていたのである。

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新たに発見された合金の複雑な構造図 Image credit:Bindi et al., Sci. Adv., 2026

 成分と原子の並び方のこの組み合わせは、既知の工業用合金のどれとも、これまで報告された核爆発の生成物のどれとも一致しない、地球上でこれまで確認されたことのない未知の合金だった。

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未知の合金が含まれていたヒロシマイトの微粒子 Image credit:Bindi et al., Sci. Adv., 2026

人類最大の悲劇となった核爆発は未知の物質を生み出した

 ビンディ氏のチームは以前にも、1945年に行われた「トリニティ実験」の破片の中から未知の物質を発見している。

 トリニティ実験とは、1945年7月にアメリカのニューメキシコ州の砂漠で行われた、世界初の核実験で、その数週間後の広島・長崎への原子爆弾投下へとつながった。

 これらの発見は、過去の核爆発が残したものの中に、人類がまだ知らない物質のデータが眠っている可能性を示している。

 だが、ビンディ氏は、この未知の物質を生み出したのは人類の大惨事であり、その事実を決して切り離してはならないと語っている。

 科学的な知識は計り知れない苦しみの残骸から得られたものであり、常に謙虚さと敬意を持って研究に向き合う必要がある。

References: DOI: 10.1126/sciadv.aeg8299

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この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. >1945年8月6日、アメリカは、日本・広島県の人々に原子爆弾「リトルボーイ」を投下された。

    違います

    アメリカが
    広島県の人々に
    原爆を投下した

    です
    アメリカが広島県民に原爆を投下されたわけではありません
    そこは間違えないで欲しいです

    • +86
    1. こちらの誤字、修正されているのを確認しました
      運営さん、迅速な対応ありがとうございます

      • +15
  2. ヒロシミウムかと思ったらヒロシマイトか
    残念

    • -7
  3. 大規模な戦争をすればするほど科学が進歩するんだよね

    • 評価
  4. フォーダイトみたいだな
    こっちは負の遺産だけど

    • +1
  5. 古代ローマの都市ヘルクラネウムで火山の熱によって
    犠牲者の脳がガラス化したのと同じか
    こっちは科学的に作ろうにもあり得ない現象で、当時の
    災害の恐怖を思い知る

    • +16
  6. 物質生成の条件に一定数以上の人体が必要だったりしてな

    • -6
  7. それは水平リーベーのどこに入るんや?

    • -14
    1. “合金”なので”元素記号”には入りません

      • +18
  8. その超合金で造ったボディアーマー
    正義の使者、ヒロシマンが誕生した。

    • -24
  9. このケイ素が豊富な合金の由来は現場のガラスなのでは。
    純粋な研究で素晴らしいとは思いますが、やはり心が痛みますね。
    長崎原爆資料館の「手の骨とガラス」を思い出してしまいました。

    • +10
  10. これがどういう役に立つのか知らないが
    正直に言って胸糞悪さは拭えない

    • +19
  11. 広島市民からしたら そんな発見どうでもいいから 命を返してくれよ じゃないかな

    • +21
  12. 何かしらに有用な新合金だとしても
    さあ使いましょうとは思えない

    • +7

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