この画像を大きなサイズで見る6600万年前、白亜紀後期の地球に君臨した記録上史上最大のティラノサウルス「スコッティ」の化石から、骨折を治す途中で形成された血管の網が立体的に分析された。
カナダのレジャイナ大学の研究チームが、最新の中性子イメージング技術を用いて化石を壊さずに3D画像化に成功した。
過去のX線調査からさらに進化した今回の発見だが、スコッティの死因は、骨折によるものかどうかの特定はされていない。
史上最大のティラノサウルス「スコッティ」の肋骨骨折の跡
これまでに発見された中で最大のティラノサウルス・レックス「スコッティ」の肋骨には、生きているうちに折れて、治りかけた傷が残っている。
スコッティは、6600万年前の後期白亜紀に生きていた頂点捕食者で、腰の高さが約4m、体長は約13m、体重は約8.8トンにも達すると言われている。
カナダのサスカチュワン州にあるフレンチマン川流域で発掘されたスコッティの肋骨の化石には、骨折の治癒中に形成された血管の跡が残されていた。
通常、血管などの軟組織は腐敗して失われるため、化石として残ることはめったにない。
スコッティの場合は、血管があった空間に鉄を含む鉱物が入り込んだため、枝分かれした血管の形がそっくりそのまま残された。
なお、スコッティが死んだ場所については見解が分かれている。
オークリッジ国立研究所の発表は塩分の多い湿地としているが、2025年の論文は、化石が見つかった地層について流れの穏やかな川か氾濫原だった証拠が多いと書いている。
この画像を大きなサイズで見る過去のX線調査から進化した血管網の鮮明な3D画像
化石内部の血管の跡は、カナダ・レジャイナ大学の研究チームが2020年に始めた調査ですでに確認されていた。
当初はCTスキャンで妙な構造を見つけ、その後、強力なX線であるシンクロトロン光を使って血管の跡だと確かめた。
しかし、X線は密度の高い骨を見るのが得意な反面、軟組織を詳細に捉えることには限界があった。
そこで研究チームは2026年4月、アメリカのオークリッジ国立研究所(ORNL)の最新技術である非破壊検査の一種「中性子イメージング」を使用した。
中性子イメージングは水分を含む軟組織を見ることに特化している技術だ。
この最新技術により、化石を切断したり壊したりすることなく、肋骨まるごとの内部にある血管の跡を3Dで画像化することに成功したのである。
この画像を大きなサイズで見る他の恐竜との争いで骨折?実際は特定されていない
今回の化石の発見を受けて、一部の海外メディアは「恐竜同士の乱闘による怪我が原因で死亡した」と報じているが、なぜ骨折したのか、骨折が原因で死亡したのかどうかは断定されていない。
明確にわかっている事実は、折れた肋骨が完全に治りきる前に死亡したということだけである。
研究チームは骨の状態から、骨折してから数か月以内に死んだと見ている。
オークリッジ国立研究所が公開したアニメーションには、スコッティが角のある恐竜に胸を突かれる場面が描かれているが、骨折の原因を再現したものではなく、広報用に作られたイメージ映像である。
最新技術が解き明かす古代の生命の秘密
死因はまだ不明だが、保存された血管の跡の立体画像は、絶滅直前の恐竜がどのように怪我から回復していたのかを知る貴重な手がかりとなる。
博物館のコレクションの中に眠っている化石には、数百万年前の秘密がまだまだ隠されている。
中性子イメージングのような最新技術を使うことで、古代の生命についてこれまで想像もつかなかったような新たな発見が今後も期待されている。
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References: ORNL neutron bone imaging brings T. rex to life - Oak Ridge National Laboratory
















