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半分オスで半分メス。雌雄モザイクの鳥がメスと結ばれヒナが誕生

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 Luke Dahlberg / Studying Color Mutations in Wild Birds / Facebook
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 アメリカ、イリノイ州の自然保護区で、体の右半分がオス、左半分がメスにはっきり分かれた鳥が発見された。

 ボボリンクという渡り鳥で、1羽の体にオスの細胞とメスの細胞が混じる「雌雄モザイク」と呼ばれる状態だった。

 シカゴのフィールド博物館の鳥類学者が確認したところ、ボボリンクでは世界初の記録とみられる。

 しかもこの鳥は約2か月間保護区にとどまり、オスとしてさえずり、メスに求愛してつがいになり、ヒナを巣立たせたのだ。

参考文献:

半分オスで半分メスの渡り鳥、ホボリングを発見

 2026年5月、アメリカ・イリノイ州のヒル・アンド・デール自然保護区で、非営利団体のルーク・ダールバーグ氏がボボリンクという小鳥の写真を撮影していた。

 ボボリンクはスズメ目ムクドリモドキ科に分類される全長約18cmの小鳥で、カナダ南部からアメリカ北部の草原で繁殖し、冬はアルゼンチンやブラジルで過ごす。

 1年で1万9000kmを移動した個体も記録されている。

 繁殖期のオスは白い背中と黒い腹部を持ち、まるでタキシードを後ろ前に着たような姿になる。いっぽうでメスは、全体的に黄色がかった地味な羽色をしている。オスも繁殖期を過ぎると羽が生え変わり、メスと同じ黄褐色になる。

 ダールバーグ氏が帰宅後に画像を見返していると、1羽だけ全身が黄褐色をした奇妙な鳥が目に留まった。繁殖期のオスを撮っていたはずなのに、メスのような色をしている。羽が生え変わる途中なのだろうと考え、そのときは気に留めなかった。

 数週間後、保護区で同じ鳥に出会ったダールバーグ氏は、その体が真ん中で真っ二つに分かれており、右半分はオスの白黒、左半分はメスの黄色い羽を持っていることに気づいた。

 シカゴのフィールド自然史博物館の専門家に確認したところ、それはボボリンクとしては史上初となる極めて珍しい鳥の雌雄モザイクであることが判明したのだ。

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自然保護区で発見された雌雄モザイクのボボリンク Image credit: Luke Dahlberg / Studying Color Mutations in Wild Birds

5億分の1の確率。鳥類の雌雄モザイク

 「雌雄モザイク」とは、1つの個体の中にオスの特徴とメスの特徴を持つ部分が、明らかな境界を持って混在している状態のことだ。

 昆虫甲殻類、クモ類、軟体動物、そして鳥類で稀に発見される。

 鳥の場合、メスが卵をつくる段階で性染色体がうまく分かれず、そこに2個の精子が受精することで発生すると考えられている。

 オスとメスで見た目がはっきりと異なる性的二形の場合、体の左右で際立ったコントラストを示す。 

 自然界で遭遇する確率は極めて低い。

 フィールド自然史博物館の鳥類学者キャメロン・ラット氏によると、地球上で認識されている約11000種の鳥類のうち、科学的に雌雄モザイクが記録されているのはわずか45種、合計100羽未満しかいないという。

 世界にいる約500億羽の鳥の中でたった100羽未満だというとは、ダールバーグ氏がこの鳥を発見した確率は、およそ5億分の1ということになる。 

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左は繁殖期のボボリンクのオス、右はボボリンクのメス Image by Istock mirceax / BrianEKushner

オスとして生き、メスと結ばれヒナが誕生

 「ブラック・アンド・タン」と名付けられた雌雄モザイクのボボリンクの場合、左半身がメスだった。

 鳥類のメスは左側の卵巣だけが機能するため、卵を産む器官はきちんと残っていたことになる。

 ラット氏によると、体の左右の違いは内臓にも及んでいるとみられ、ブラック・アンド・タンは卵巣と精巣を両方持っていた可能性があるという。

 だがブラック・アンド・タンは、オスとして生きる道を選んだ。

 約2ヶ月間にわたり保護区に留まったこの鳥は、オス特有のさえずりや求愛飛行を行い、繁殖のための縄張りを主張した。

 右側から見ればオス、左側から見ればメスという姿に、他のオスのボボリンクたちは困惑しているようだったという。

 オス側を見ると後ずさりし、メス側を見ると興味を示した。

 周囲の戸惑いをよそにブラック・アンド・タンはメスに求愛してつがいとなり、自分の子となるヒナを誕生させたのだ。

 実際に現場でブラック・アンド・タンを観察し、撮影したラット氏は、右へ飛んでから左へ飛ぶと、まるで2羽のまったく違う鳥がいるように見えたと語っている。

希少な雌雄モザイクの鳥は研究材料にしないために謎が多い

 雌雄モザイクの鳥がどのように繁殖し、どのような行動をとるのかは、科学的にも解明されていない謎が多い。

 ブラック・アンド・タンは、その謎を解き明かすための貴重な存在だったが、研究者たちはこの鳥を捕獲して調べるようなことはしなかった。

 詳しい生態を知るためには鳥の命を奪うしかなく、誰もその希少な存在を犠牲にすることを望まなかったからだ。

 自然保護団体のアビゲイル・ダービー・ルイス氏は、この奇跡の鳥の存在が、危機に瀕している北米の草原環境を保護することの重要性を教えてくれたと語る。

 ヒナを育て上げた後、ブラック・アンド・タンは保護区を飛び立ち、姿を消した。

 ブラック・アンド・タンが残したものは、誰もが奇跡を信じたくなる、自然界の神秘的な驚きだけである。

References: doi.org/10.1073/pnas.2023170118

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