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史上最大のティラノサウルスの骨の化石から血管を発見 恐竜の生態に新たな手がかり

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(著)

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ティラノサウルスのイメージ図 Photo by:iStock
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 カナダで発見された、現時点で史上最大のティラノサウルス・レックス、通称「スコッティ(Scotty)」の骨の化石から、血管が保存された状態で見つかった。

 この成果は、カナダ・レジャイナ大学の研究チームが、高出力のX線「シンクロトロン光」を用いることで、通常の医療用CTスキャンでは不可能だった骨の内部構造を、破壊することなく観察できたことによって明らかになった。

 血管は骨折の治癒過程で形成されたもので、鉄を含む鉱物に置き換わり、二層構造で保存されていた。

 骨の内部に残された軟組織を明らかにした今回の研究は、恐竜の生態や回復力を理解するうえで、重要な手がかりとなる。

 この研究成果は『Scientific Reports』誌(2025年7月4日付)に発表された。

ティラノサウルスの化石の中に残されていた血管を発見

 今回血管が見つかったのは、「スコッティ」と呼ばれるティラノサウルス・レックス(以下T・レックス)の骨の化石だ。

 スコッティは1991年、カナダ・サスカチュワン州の地層から発掘され、現在はロイヤルサスカチュワン博物館に収蔵されている。

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今のところ世界最大のティラノサウルス・レックス「スコッティ」 / Image credit:Amanda Kelley / UAlberta

 化石の年代は約6,800万年前とされており、これまでに発見されたT・レックスの中でも最大で、かつ保存状態も極めて良好である。

 全長は約13m、推定体重は8,870 kgと推定され、性別は判明していないが、現生の鳥類などで卵を産むメスに見られるカルシウムの沈着痕が確認されており、メスだった可能性も示唆されている。

 スコッティの骨の化石には、他の恐竜との戦いによって負ったとみられる複数の外傷の痕跡が残されていた。

 特に1本の肋骨には大きな骨折があり、それが生前に一部治癒していた形跡も見られた。今回発見された血管は、この治癒過程で活性化した血流の名残と考えられている。

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スコッティの肋骨の1本にあった大きな骨折  / Image credit: J. Mitchell

高出力X線で化石内部を破壊せずに分析

 恐竜の骨の化石を詳しく分析する際には、大きく2つの課題がある。

 ひとつは、貴重な標本を破壊せずに内部構造を調べる方法を確保すること。そしてもうひとつは、化石が鉱物化によって極めて高密度かつ硬くなっており、通常のX線では内部まで透過できない点である。

 当初、医療用のCTスキャンによる分析では、化石の密度が高すぎてデータが取得できなかった。

 そこでレジャイナ大学のジェリット・L・ミッチェル博士率いる研究チームは、粒子加速器で生成される「シンクロトロン光」と呼ばれる高出力X線を使用した。

 シンクロトロン光とは、電子を光の速さに近い速度まで加速し、磁場で進行方向を曲げた際に発生する非常に強力で安定したX線のこと。

 医療用や工業用X線では見えない微細な構造を観察するのに適しており、材料分析やタンパク質構造の研究にも使われている。

 この方法により、骨の化石を傷つけることなく、微細な内部構造まで詳細に観察することができた。

 分析の結果、骨折部位の内部には鉄分を多く含む鉱物に置き換わった血管構造が確認され、それが二層構造になっていることがわかった。

 この層構造は、化石が埋まっていた地質環境の変化を反映しており、保存状態の良さにもつながったと考えられる。

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スコッティの肋骨化石に残された血管構造を再現した3Dプリントモデル  / Image credit: J. Mitchell

恐竜の生態や進化を読み解くヒントに

 今回の研究成果は、恐竜の骨の化石に保存された軟組織が科学的に明らかになった貴重な例であり、恐竜の治癒能力や生理機能に新たな光を当てるものとなった。

 血管構造の保存状況を詳しく分析することで、T・レックスが怪我や病気からどのように回復していたのか、さらには他の恐竜や現生動物との比較によって、進化の過程に迫る手がかりも得られる可能性がある。

 特に、今回のように外傷の痕跡がある骨の化石に注目することで、今後さらに多くの軟組織の化石が発見される可能性が高まる。

 これは、古生物学だけでなく、比較解剖学や再生医療の分野にも影響を与える重要な発見となるだろう。

References: Ualberta / Nature / Blood Vessels Found in T. rex Bones Rewrite What We Know About Dinosaurs

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この記事へのコメント 8件

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  1. ばい菌だらけの歯で骨にまで達するような傷を受けても回復する治癒能力は現生のワニにも通じるものがある

    • +12
  2. 光速近い電子の軌道を曲げてX線を発生させるという時点でなんかもう凄いよ人類

    • +15
    1. 本文では分からなすぎて、
      読んでるけど読み飛ばし状態でした。
      すごさがよく理解できたよ
      ありがとう!!

      • 評価
  3. ティラノサウルスって恐竜の代表格みたいな顔してるけど、かなり特異な存在なんだよね。知れば知るほど逆にこいつ結構変わった恐竜じゃない?って印象が大きくなる。

    骨横から見てると他の肉食恐竜と大差ないけど、正面から見たら足の生え方がトカゲというより象っぽいし、骨も横方向のゴツさが他と比べて半端なくゴツい。

    • +15
  4. この牙のみの羅列の歯は、シャチとかイヌ科と同じで間違いなく肉食噛みつき型捕食者なんだよね
    ゾウよりも巨大な

    • +6
  5. 瞬間湯沸かし器のような面しているから、さぞかし血管もボロボロだったんだろうね。

    • -1
  6. ↑ん、もしかして某漫画家のこと言ってる?

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