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イギリスではタコが大量発生しイルカをヒッチハイク。背中に乗る事態に!

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(著)

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Facebook / Marine Biological Association
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 2025年以降、イギリスの南西部沖では海水温の上昇を主な要因として、少なくとも過去75年で最大規模となるタコの大発生が起きている。

 そんな中、イルカの背びれにタコがしがみつくいている姿が市民によって撮影された。

 英国海洋生物学協会(MBA)の研究者たちは、タコの大発生が海の生態系に影響を与えている証拠だとしている。

参考文献:

イルカの背びれにしがみつくタコ

 イギリス、イングランド南西部のデヴォン州にあるベリー・ヘッド沖でビル・コールソンさんは、イルカの背びれにタコが張り付いている姿に驚き、撮影した。

 イルカはマイルカ科のハナゴンドウで、タコは、チチュウカイマダコである。

 まるで降りるのを忘れた乗客のように、タコはイルカの背中にしっかりとしがみついた。

 マイルカ科のハナゴンドウは頭部が丸く、主にイカやタコなどの頭足類を好んで食べている。

 本来なら食べる側のイルカにタコが腕を絡めて乗っている姿は通常ならばありえない光景だ。

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Facebook / Marine Biological Association

 英エクセター大学で写真識別によるイルカ研究を行うジョシュ・サイムス氏によると、この写真はイルカの採餌生態と海岸周辺の海洋環境の変化を知るための重要な手がかりになるという。

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過去75年で最大規模のタコの異常発生

 イルカとタコの奇妙な遭遇の背景には、イギリス周辺海域で起きている大きな異変が関係している。

 英国海洋生物学協会(MBA)の調査によると、2025年以降、イングランド南西部沖では過去75年間で最大規模となるタコの大発生が確認されているのだ。

 カラパイアでも2026年1月にお伝えしたように、イギリス近海のタコ大量発生は現在も進行している。

 120人のダイバーやシュノーケラーを対象にした海洋生物学協会の調査では、じつに96.5%の人が南西部沖でタコを目撃している。

 さらに、目撃者の半数以上が水深約10m以内の浅い海でタコに遭遇していた。

 MBAはダイバーへの聞き取りに加え、プリマス大学が海底に沈めた水中カメラの映像からもタコの多さを確認している。

 チチュウカイマダコはもともとイギリス近海に生息する在来種だが、これほど大量に姿を現し、簡単に見つけられるようになるのは異例の事態である。

海水温の上昇が招いたタコの大移動と漁業被害

 研究者たちは、今回の大発生の出発点をチャンネル諸島やフランス北部の繁殖地だと考えている。

 海流に乗って若いタコがイギリス南部へと漂流してきたのだ。

 海水温の上昇がタコの移動と定着を後押ししたとみられており、タコにとって生息しやすい環境が広がったと考えられている。

 イギリス近海でタコの卵や幼体が見つかっていることから、タコがこの海域で繁殖を成功させていることは明らかだ。

 増えすぎたタコは、地元の漁業にも直接的な被害を及ぼし始めている。

 漁師たちは、タコがカニやロブスターを捕るためのカゴに侵入し、捕らえられた獲物を食べてしまう被害を相次いで報告している。

 同時期に地元の漁船団が水揚げするカニやロブスター、ホタテの量は減少しており、漁獲物の損傷による収入減に直面している漁師も少なくない。

生態系の変化を追跡する研究者たち

 ハナゴンドウは通常、大陸棚の縁など水深のある海に生息しているが、イギリス諸島周辺では水深20m未満の浅い沿岸海域にも頻繁に姿を見せている。

 これまでの研究で、イギリス近海のハナゴンドウにとって小型の別種のタコ(Eledone cirrhosa)が重要な獲物であることがわかっていた。

 最近発表された地域評価報告書「2025年南西部海域の現状」でも、イングランド南西部全域でハナゴンドウの目撃数が増加していることが示されている。

 沿岸海域でコウイカやタコといった餌が豊富になったことが、イルカを引き寄せている可能性がある。

 さらに、1992年から2016年の間にイングランド、スコットランド、ウェールズで座礁したイルカのDNA調査により、イギリス周辺のハナゴンドウは独自の遺伝子を持つ1つのグループを形成していることが判明した。

 南西部で起きている変化は、イギリス諸島のハナゴンドウ全体にとって重要な意味を持つ可能性がある。

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ハナゴンドウ Image credit:commons.wikimedia / CC BY-SA 3.0

チチュウカイマダコは食用として日本に輸入されている

 イギリスの漁師がタコの増加を歓迎しないのは、イギリスにタコを食べる習慣が根付いていないからだ。

 一方でチチュウカイマダコは、地中海や大西洋沿岸で最も重要な食用タコとして扱われている。

 スペインではガリシア風タコ、イタリアやギリシャでもタコのサラダや煮込みが日常的な料理として親しまれてきた。

 主な漁場はモロッコやモーリタニアといった北西アフリカの大西洋岸で、そこで水揚げされたタコは冷凍されて世界中へ運ばれる。

 日本もその輸入先の1つで、スーパーで「モロッコ産たこ」「アフリカ産たこ」として売られているタコの多くが、チチュウカイマダコである。

 たこ焼きや刺身、酢の物として、日本人はすでにこのタコを食べている。

 日本のタコの消費量は世界でも群を抜いて多く、国内で獲れる量だけでは足りないため、輸入に頼っている。

 国産のマダコ(Octopus sinensis)の水揚げが減り、価格が上がり続けている状況もあり、イギリス近海で増えたタコを冷凍して日本へ送ってほしいと考える人は少なくないだろう。

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