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猫と近くで過ごすほど飼い主は元気になる?オキシトシン濃度の連動を初めて確認

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(著)

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 猫がゴロゴロと喉を鳴らしながら寄り添ったり、布団の上でふみふみしていると、なぜか満たされた気分になる。その時間を少しでも持続させようとじっと動かなかったりもするのは私だけじゃないはずだ。

 これまで、犬を飼うと心身に良い効果が長く続くことは報告されていたが、猫については良い効果を示す研究もあれば逆の結果を示す研究もあり、はっきりしていなかった。

 京都大学などの新たな研究によると、家の中で猫と近い距離で過ごす飼い主ほど元気になり、猫と飼い主の愛情ホルモン「オキシトシン」の濃度が連動していることが初めて明らかになった。 

 さらに猫のオキシトシン濃度が高いほど飼い主が前向きになれるという「下僕気質」の可能性も浮上したのだ。

 この研究成果は『iScience』誌(2026年10月14日付)に掲載された。

参考文献:

犬と比べて不明確だった猫を飼うことのメリット

 猫は少なくとも2000年以上前から人間と一緒に暮らしてきた。

 2025年の研究では、イエネコの祖先は北アフリカに遡ることが示されている。

 現在、猫は世界中で最も人気のあるペットの1つであり、日本では猫の飼育数が犬を上回っている。

 一般社団法人ペットフード協会の2025年の調査によると、日本で飼われている猫は約885万頭で、犬の約682万頭よりも多い。

 ペットを飼うことは人間にさまざまな利益をもたらし、病気を減らして心理的な幸福感を向上させるといわれている。

 しかし、猫を飼うことによる影響は犬とは異なる結果が出ている。

 2016年の研究では、幸福感や感情の調整などの面で、犬の飼い主の方が猫の飼い主よりも高いスコアを出している。

 犬を飼うことによる健康への良い効果は長く続く一方で、猫の場合は飼い始めて1か月ほどしか続かなかったという研究結果もある。

 青少年を対象とした2020年の日本の研究では、猫を飼っている青少年ほど心の健康状態が良くない傾向があったという報告も存在する。

 このように、猫を飼うことの効果については研究結果に矛盾があった。

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飼い猫と飼い主のホルモンを調査

 過去の矛盾した研究結果を受け、京都大学や麻布大学の研究チームは、猫を飼うこと自体が良い効果をもたらすのか、人間と猫のつながりの質が関係しているのかを調査した。

 研究チームは、19人の飼い主と29匹の猫の日常生活を1か月にわたって調べた。尿のサンプルから、愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」と、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の濃度を測定している。

 オキシトシンは親子の絆や他者との信頼関係に関わるホルモンであり、コルチゾールはストレスを受けたときに分泌が増えるホルモンである。

 また、猫の首輪に小型のBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンを取り付け、家の中での猫と飼い主の物理的な距離を記録した。

 ビーコンが出す電波を飼い主のスマートフォンで1か月間受け取り続け、電波の強さから猫と飼い主がどれくらい近くにいたかを調べたのだ。

 アンケートを用いて飼い主の気分も評価している。

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猫と近くで過ごす飼い主ほど元気になっていた

 調査の結果、猫を飼っている期間の長さと、飼い主の前向きな気分の間には関連が見られなかった。

 飼い主の気分に関わっていたのは、家の中で猫とより近くで過ごしているかどうかだ。

 猫と近い距離で一緒に過ごしている時間が長い飼い主ほど、元気になる傾向が確認されている。

 日常の中で猫の近くでどれだけの時間を過ごすかが、人の前向きな気分に関わっている可能性がある。

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猫と飼い主のオキシトシン濃度が連動

 また、猫と飼い主の愛情ホルモン「オキシトシン」濃度が連動していることも、家庭で暮らす猫で初めて確認された。

 飼い主のオキシトシン濃度が高いほど猫のオキシトシン濃度も高く、双方が連動していることがわかった。

 ストレスホルモン「コルチゾール」は、犬と飼い主では濃度が連動することが報告されているが、猫と飼い主でははっきりした連動は見られなかった。

 研究チームは、猫と人の結びつきはオキシトシンが中心なのかもしれないと考えている。

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Image credit:Takagi et al., 2026, iScience

猫のオキシトシン濃度が高いほど飼い主は元気になる

 興味深いことに、猫のオキシトシン濃度が高いほど、飼い主の「怒り」や「抑うつ」といったネガティブな気分が低い傾向も見られた。

 飼い主のネガティブな気分と強く関わっていたのは、飼い主自身のオキシトシンではなく、猫のオキシトシンだったのだ。

 猫好きな人が「下僕」と呼ばれる所以なのかもしれない。

 京都大学の高木佐保氏は、室内飼いの猫はいつも家にいるため、猫の体の状態には飼い主との関係がより表れやすいのかもしれないと考えている。

 高木氏は、多くの飼い主が猫を撫でて喉を鳴らすのを聞くときに感じる安らぎは、オキシトシンを介したホルモンのつながりが関係しているかもしれないと説明している。

ただし因果関係は特定できず。今後の研究に期待

 だが、今回の調査対象は小規模であり、どちらが原因でどちらが結果であるかという因果関係までは特定されていない。

 猫との関わりが飼い主の気分を良くしている可能性もあれば、気分の良い飼い主ほど猫と積極的に関わっている可能性もある。

 研究チームは今後さらに詳しい調査を行い、猫と人が日常生活でどのように影響し合っているかを明らかにしていく予定である。

References: DOI.10.1016/j.isci.2026.117934

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