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2500万年前、カモノハシの先祖は歯を持っていて、イルカと一緒の湖で泳いでいた

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Image credit: Gen Conway (Flinders University Palaeontology Lab).
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 哺乳類なのに卵を産み、毒を持つ水陸両生のユニークな動物、カモノハシ。その祖先に関する新たな発見が明らかになった。

 現代のカモノハシに歯はないが、2500万年前、その祖先である「オブドゥロドン」は鋭い歯を持ちザリガニの殻を噛み砕き、イルカの先祖と同じ湖で暮らしていたという。

 これはオーストラリアの古生物学者チームがオブドゥロドンの希少な化石を分析して得られた成果だ。

 まだ日本列島の大部分が海の下にあったころ、中央オーストラリアには豊かな生態系が息づいていたのだ。

 この研究成果は『Australian Zoologist』(2026年4月14日付)に掲載された。

参考文献:

2500万年前、カモノハシの先祖には歯があった

 カモノハシは哺乳類でありながら卵を産む「単孔類(たんこうるい)」という非常に珍しいグループに属しており、現在この仲間に含まれるのはカモノハシとハリモグラだけだ。

 現代のカモノハシには歯がない。孵化したときにわずかな痕跡があるだけで、成体になるころには完全に消えてしまい、代わりにくちばしにある角質板で食べ物をすりつぶす。

 2500万年前は地質学では新生代・古第三紀の「後期漸新世(こうきぜんしんせい)」にあたる。

 その時代に生きていたカモノハシの祖先、オブドゥロドン・インシグニス(Obdurodon insignis)は、しっかりとした臼歯と前臼歯を備えていた。

 南オーストラリア州フリンダース大学の古生物学者チームが、フリンダース山脈東側の荒野に広がる乾燥地帯、ビラルー・クリークで発見した希少な化石を分析した結果、この古代カモノハシの新たな姿が明らかとなった。

 カモノハシの化石は極めて見つかりにくい。

 フリンダース大学のチームが20年以上をかけてこの地域で収集した魚以外の脊椎動物の化石は1000点以上にのぼるが、オブドゥロドンの化石はそのうちわずか3点しかなかった。

 これまでオブドゥロドン・インシグニスとして知られていたのは、臼歯1本半と顎の断片、骨盤の断片のみだった。今回の発見はその空白を大きく埋めるものだ。

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オブドゥロドン・インシグニスの新化石。左上が下顎前臼歯、右上が下顎臼歯、中段は各方向からのイラスト。下段は肩甲烏口骨の2方向からの画像で、右隣に現代のカモノハシの同部位を並べて比較している。 Image credit:Photos and drawings (G Conway, Flinders University)

ザリガニも砕く顎と、今と変わらぬ泳ぎの能力

 今回新たに見つかった化石の中に、オブドゥロドン・インシグニスでは初めてとなる前臼歯(ぜんきゅうし)が含まれていた。

 前臼歯とは、臼歯(きゅうし)の手前に位置する歯のことだ。 

 アーロン・カメンス博士によると、この大きく尖った前臼歯と、もともと知られていた頑丈な臼歯を組み合わせることで、オーストラリアの淡水に生息するザリガニの一種、ヤビー(Cherax destructor)のような硬い殻を持つ甲殻類も容易に砕いて食べることができたという。

 ちなみにヤビーは現代も生息しており、現地では食用とされている。

 今回はさらに、肩甲烏口骨(けんこううこうこつ)の一部も新たに見つかった。

 肩甲烏口骨とは肩と前肢をつなぐ骨で、前肢の動きを支える役割を持つ。

 トレヴァー・ウォーシー准教授がこの骨の形状を分析したところ、現代のカモノハシの骨格とほぼ同じ構造であることが確認された。

 前肢の仕組みは2500万年前からほとんど変わっていなかったことになる。

 体の大きさは現代のカモノハシより少し大きかったが、頭骨の形状は近縁種のオブドゥロドン・ディクソニ(Obdurodon dicksoni、1700万〜1400万年前)の化石からも確認されており、現代のカモノハシと非常によく似た構造だったことがわかっている。

 歯を持ち、体はひとまわり大きかったが、泳ぎ方や体の仕組みは現代のカモノハシとほぼ変わらない動物だった。

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トレヴァー・ウォーシー准教授(左)は、2020年にビラルー・クリークで化石層を発掘し、カモノハシの先祖の肩甲烏口骨を発見した。Photo by Gregg Borschmann

淡水系のイルカの先祖と一緒の湖で共存していた

 2500万年前の中央オーストラリアは、現在の乾燥した荒野とはまったく異なる風景が広がっていた。

 広大な湖や緩やかに流れる川が各地に存在し、周囲には豊かな森林が茂っていたのだ。

 湖の中ではハイギョや小型の魚類が泳ぎ、水辺にはフラミンゴの先祖やカワウ、数種類の水鳥が集まっていた。

 ハイギョとはエラと肺の両方で呼吸できる古代魚で、オーストラリアには現在も1種が生息している。

 森の中ではコアラや多種のポッサムの先祖が木々の間で暮らし、地上では羊ほどの大きさの有袋類が草を食み、絶滅した大型のワシ、アーキーヒエラクス(Archaehierax)が上空を舞っていた。

 そしてこの淡水の生態系には、小型のイルカの先祖まで生息していた。

 複数の地点でイルカの歯と骨が発見されており、川や湖に淡水イルカが暮らしていたことは、当時の環境がいかに豊かで多様だったかを物語っている。オブドゥロドンも同じ水域でイルカと泳いでいたのだ。

 熱帯雨林も湖もとうの昔に消えた。だがウォーシー准教授は「何度砂漠に足を運んでも、次に何が出てくるかわからない。そこに戻り続ける理由がある」と語り、今も発掘を続けている。

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2500万年前に生息していた歯のあるカモノハシの想像図。 古代のハイギョ、フラミンゴ、淡水イルカなど、他の水生動物と共に暮らしていたと考えられる。Image credit:Gen Conway (Flinders University Palaeontology Lab)

歯を持つ祖先から現代のカモノハシへ

 オブドゥロドンと現代のカモノハシの最も大きな違いは、歯の有無だ。

 オブドゥロドンは生涯を通じて機能する永久歯を持っていたが、現代のカモノハシは孵化直後にわずかな痕跡歯(こんせきし)があるだけで、成体になると完全に失ってしまう。

 歯の消失がいつ、なぜ起きたのかは、カモノハシの進化における最大の謎のひとつだ。

 今回の化石が示すのは、2500万年前のオブドゥロドン・インシグニスがすでに現代のカモノハシとほぼ同じ体の設計を持っていたという事実だ。

 泳ぎに使う前肢の構造も、頭骨の形状も、現代のカモノハシと大差ない。

 カモノハシという動物の基本的な形は、少なくとも2500万年前にはすでに完成していたことになる。

 岩盤が浸食され、砂が動くたびに新たな化石が姿を現す。

 フリンダース山脈東側の荒野は今もその失われた世界の記憶を地中に秘めている。

 カモノハシがオーストラリアの川を泳ぎ始めたのがいつなのか、歯はなぜ消えたのか。答えはまだ砂の下に眠っている。

まとめ

この研究でわかったこと

  • 2500万年前のカモノハシの祖先には歯があり、ザリガニの殻も砕けるほど強力な顎を持っていた
  • 泳ぎに使う前肢の骨格構造は現代のカモノハシとほぼ同じで、2500万年前からほとんど変わっていない
  • 当時の中央オーストラリアには広大な湖や川が広がり、イルカやフラミンゴの先祖と同じ場所で暮らしていた

まだわかっていないこと

  • カモノハシがいつ、なぜ進化の過程で歯を失ったのかは、まだ解明されていない
  • カモノハシの祖先の化石は極めて少なく、全体像にはまだ多くの謎が残っている

References: 10.1071/AZ26011

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この記事へのコメント 8件

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  1. エサの電気信号を知覚する神経のために、歯が邪魔だったという説がある>歯の消失

    • +1
  2. …もうね、カモノハシが実はモササウルスから進化したって言われても驚かないよ!

    • +2
  3. 哺乳類は基本1回だけ生え変わりだから、あえてそこ進化さすよりクチバシに回帰したほうが早えわwってなったのかな?

    • +2
  4. カモノハシとかいう調べるほどに新たな謎が増していく不思議生物ホント好き

    • +4
  5. カモノハシに関する発見=謎が増える
    人類が研究し続ける限り、カモノハシの謎は永遠に解き明かされないのではないだろうか。

    • +5
    1. さながらアキレスと亀みたいに・・・

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  6. え。。。カモノハシって板歯ないの?

    • +1
  7. ヤビーとかいう古代ザリガニが気になる。学名カッコいいし。

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