この画像を大きなサイズで見る光の中には、光同士が打ち消し合って完全に暗闇になる「暗点」が存在する。
この光渦と呼ばれる暗点が光速を超える速さで移動することを、イスラエルのテクニオン工科大学の研究チームが世界で初めて実験的に確認した。
1970年代から理論上は予測されていたこの現象が、約50年の時を経てついに証明されたのだ。
この研究成果は『Nature』誌(2026年3月25日付)に掲載された。
参考文献:
- Is Darkness Faster than Light?
光の中に生まれる暗点とは何か
光には、波のように重なり合う性質がある。複数の光が重なったとき、波の山と谷がぴったり重なると互いに打ち消し合い、その地点の光が完全に消える。
この「完全な暗闇の点」が「光渦(ひかりうず)」と呼ばれる暗点だ。
渦という現象は身の回りにも多く見られる。
コーヒーをかき混ぜたときにできる小さな渦、排水口に吸い込まれる水の流れ、空気の気流など、いずれも同じ種類の現象だ。
光渦はそれと同じ構造が光の中に生じたもので、自然界では珍しくない。
光渦の存在自体は以前から知られていたが、それが実際にどのような速さで動くのかは長らく謎のままだった。
この画像を大きなサイズで見る光の暗点「光渦」は光よりも早く動くのか?
1970年代、あらゆる波の中に生じる渦が、その波自体よりも速く移動する可能性があると理論的に予測されていた。
光の波、音波、水の波など、波と呼ばれるものであれば種類を問わず起きうる現象だという主張だ。
しかしこれを光の世界で実験的に確かめることは技術的に極めて難しく、約50年にわたって誰も証明できずにいた。
今回、イスラエルのテクニオン工科大学のイド・カミナー教授率いる研究チームは、大学内の電子顕微鏡センターに独自の観測システムを構築した。
電子ビームを使って物質内部の極めて微細な現象を高精度で捉える「電子干渉法」という技術で、特殊な電子顕微鏡にレーザーシステムと精密な光学装置を組み合わせることで、これまでにない鮮明さと精度での観測を可能にした。
光渦の動きを捉えるには、光速を超える動きが起きやすい環境を整える必要がある。
そこで実験に使われたのが、六方晶窒化ホウ素という特殊な物質だ。
窒化ホウ素にはいくつかの種類があり、その中でも六角形の格子状に原子が並んだ層状構造を持つものが六方晶窒化ホウ素で、黒鉛に似た構造から「白い黒鉛」とも呼ばれる。
この素材に光を通すと、「ポラリトン」と呼ばれる特殊な波に変換される。ポラリトンとは光と物質が混ざり合った状態の波で、真空中の光速の約100分の1という非常にゆっくりとした速さで進む。
この極端に遅い波の中では、光渦が相対的に跳躍しやすくなり、光速を超える動きが観測しやすくなる。
この画像を大きなサイズで見る光渦(暗点)は光速を超えることが実験で証明
研究チームは今回の実験で、光渦が光速を超える速さで移動することを世界で初めて直接観測することに成功した。
光速を超えたと聞くと、アインシュタインの相対性理論に矛盾するのではないかと思うかもしれない。
相対性理論では「光速は宇宙で最速であり、何もそれを超えられない」とされているからだ。
しかしこの法則が適用されるのは、質量を持つ物質や、エネルギーや情報を運ぶ信号に限られる。
光渦はこのいずれにも該当しない。質量を持たず、エネルギーも情報も運ばない。
水面の波紋が広がるとき、水そのものが移動しているわけではなく、波の形が伝わっているだけであるのと同じ話だ。
光渦の移動も同様で、実体のある何かが光速を超えて飛んでいるわけではない。
そのためアインシュタインの理論は何ら揺らいでおらず、物理学の根幹は損なわれていない。
この画像を大きなサイズで見る顕微鏡技術と量子研究への応用
カミナー教授はこの発見について、光渦に限った話ではなく、音波、流体、超伝導体など、あらゆる種類の波に共通する自然界の普遍的な法則を明らかにしたものだと説明する。
超伝導体とは特定の低温条件下で電気抵抗がゼロになる物質で、MRIや量子コンピュータへの応用でも注目されている素材だ。
今回の実験で使われた電子干渉法は、電子ビームを使って物質内部の極めて微細な現象を高精度で捉える観測技術で、これまで見えなかったナノスケールの動きを可視化できる。
カミナー教授はこの技術が物理学・化学・生物学における隠れたプロセスの解明に貢献し、自然が最も速く動く瞬間を初めてとらえる手段になると期待を寄せる。
半世紀を超えて証明されたこの発見は、次世代の顕微鏡技術や量子情報の研究に向けた新たな扉を開くものとなった。
この研究でわかったこと
- 光の中には、光同士が打ち消し合って生まれる「暗点(光渦)」が存在する
- この光渦は光速を超える速さで動くことが、世界で初めて実験で証明された
- 光速を超えても、質量もエネルギーも持たないため相対性理論には違反しない
身近な例に例えるなら?
水面に石を投げると波紋が広がるが、水そのものは移動していない。光渦も同じで、「暗闇の点」という場所の概念が移動するだけで、実体のある何かが光速を超えて飛んでいるわけではない。
今後の課題
- 電子干渉法を応用し、物理・化学・生物学の超高速現象の観測技術への発展
- 超伝導体や量子コンピュータの研究への活用
References: Superluminal correlations in ensembles of optical phase singularities
















なるほど、わからん
情報伝達速度が光を超え得るなら、超新星爆発の予兆をこの情報伝達方法で検知したら観測が捗ると予測。
だから、「光渦は情報を伝達しない」って書いてあるやろ?
光を越える存在を可視化すると言うのが出来の悪い自分には判らない
観ている段階で高速移動をいていると思うのだが光の速度を超えたものは見えない気がするけど見えるものなの?
例えて言うと、旗を持った人間を横並びに一列に並べて「右隣の人が旗を揚げたら自分も旗を揚げる」という事をすると、一番右の人が旗を揚げるとバーッと旗が左方向へ上がっていく光景は想像できると思うんだけど、この旗が左方向へ上がっていくスピードは光速を超えても問題ないよ、という話かなと思います(もしかしたら間違ってるかも)。
位相反転、とは違うのだろな
群速度的なやつか
波紋疾走(オーバードライブ)!
そうか、ブラックホールは光が脱出出来ないほどの重力なわけだから
その吸い込み速度は光を超えるのか?
難しすぎてよく分からんが、
「エターナルダークパワーぁぁ!!」と叫びたくなりますね(中二病)。
現象が移動してるだけで物質が移動してるわけではないからかな
これ
しかしそれでは壁に落ちた鳥の陰は光よりも速く動くということもあり得ることに・・・
なんかまたちょっと解釈が違うのでは
それは、鳥と鳥の影の間に光の速度が介入しているからね。
例えば、運動会で100人の子ども列が順番にしゃがんでいくとして、どんどん早くして最後には子どもが『自発的』に同時にしゃがむと前と後で光の速度を超えて同時にしゃがめる『現象』という感じか?(間違った説明だがイメージだけして)
ただし、前から光や無線で指示してしゃがませても前と後のしゃがむタイミングは光の速度を超えられない(情報の伝達が光の速度を超えられない)
合ってるのか?合っていることにしておいて!
鳥の影は、一方向からの光(が届かない遮蔽部)でしかなくない?
これは、例えば、海で二方向からの波がぶつかって高く盛り上がる「三角波」の頂点が
波の進む速度そのものより速く海面を滑るようなもんじゃない?
懐中電灯の前を人が横切ったら、電灯の先にある人の影が拡大されて実際より早く動くでしょう
走る車のヘッドライトと電柱の影を思い浮かべても良い
太陽みたいな平行光源でなくて、点光源と言うのがミソかな
あってるよ。
鳥の周りを電球が回転してそれが壁に影を落とすところを考えてみよう
十分に壁が遠ければその影は光より速く動くはず。でも鳥は全く動いて無いし電球も光速以下で鳥の周りを公転してるだけ
その場合の影は周りの光が到達する事で初めて形を表すものなので、光速の制限を受ける。
今回の実験は、既にその場に存在する複数の光が干渉した結果の暗点についてなので、前提が違う。
記事じゃなくてレスについてのレスですよ。
光源から壁に光(影)が到達する速度は制限を受けますが、影が動く速度は制限を受けません。飛ぶ鳥の影は地面が十分に遠ければ光速を超えて動きます(宇宙論的な距離になりますが)。
もっとも影も既に周囲に光があると言えるので、大して変わりは無いと思います。記事の実験でもその場にまだ光がない=実験のセットアップが完了していないなら何も起こりませんよね。いずれの場合も実験のセットアップ完了までは光速の制限を受けます。
光より速いけど別に通信に使えうるものでは無い?
今の光ファイバーでは曲げたり圧力をかけたりすると、状態が変化しちゃうようなので「今は使えない」という感じ。 光に波の性質があるのだから今回の話は群速度みたいな感じかなと思いました。 それなら安定した場を通過させるならアリかもとは思いました。 ……とすると、もしかすると真空中ならと思ったけど、重力波が空間を通っていたりとかあるから難しいかな
なんだ、ワープが出来るわけじゃねぇのか。
実用できるようになったら【超光速通信(仮称)】が出来るかな?程度の認識で合ってる?
何を言ってるのか全く分からないけど光より早い光渦(暗点)と言うものがあるしか分からない
つまり、光より早い暗闇が、いかほど光より早いかは凡人には理解し難いと言うことか…
振動エネルギーの夜明け
質量もエネルギーも情報も何も無いから通信には使えないよね
要は観測技術がすごいって事かな?
水の波紋のようなものとすれば、波紋のパターンで情報が送れないのか、と考えてみたり・・・
光速の100%の速度で移動すれば時間は止まる、ってのが
特殊相対性理論で言われているけど、だとすると
光速であれば移動という概念も時間も何処かに到着する、
という概念も消失する訳だ、光自身は秒の時間差も無く
宇宙中に存在できる、時間が止まっているのだから。
第三者の観測者にとっての移動や時間や到着するといった
状態は発生する訳だが。
いずれにしても質量の増大で光速に届くことは無いから
光速を超える速度をこの光渦や時空の膨張速度が
出せたとしても、人間には手の届かない事象だなぁ、、、
もうお手上げだね、人類は永遠に井の中の蛙なのかもなぁ。
波を2つ重ねると振幅の大きい部分と小さい部分ができて、物によってはその大小の移動が波の伝わる速さを超えることがある。
群速度っていうんだけど、あくまでもともとの波がある範囲を伝わる速さ。
だから群速度が光速を超えていても光自体は光速を超えて運べるわけじゃないから超光速通信はできないと思う。
舞台が変わったのじゃ
我は光より疾き闇!
愚かな人間どもよ、物理学のわけのわからなさに頭を抱えるがよい!!
光速を超えると時間が逆行する。
これが光子コンピュター理論の元になるとは誰も思ってなかった
干渉縞の移動速度と考えるなら確かに光速は超えるけど、何か送信できるわけじゃないしなぁ。
アリスとボブの間に灯台があって、両者に同時に光が届くけど、これを「光速を超えた」とは言わないのと似たようなもの。
位相速度が光速を超えることはありえるから、それと同じ現象かと思うけど・・・。
光速を超えて移動することはできないが、光速を超えて変化(変形)することは可能ということ?
遂に俺の秘められし闇属性が
伊藤潤二の新作のようだ「光渦(ひかりうず)」
光でも音のノイズキャンセリング的なことが起きてることはなんとかわかった
ところで「くらやみの速さはどれくらい」というSF小説あったな
光速を100分の1に落として光渦の速さがそれを超えたって話じゃない?真空中の光速は超えてないかも。
光の速度を落としたのはあくまで観測しやすくするためのもので、
その結果発生した光渦の速度が真空中の光速度を超えているのが確認された、
って話のようです。
まとめ良いね
科学記事にはつくようになったのかな
遠い未来、宇宙中に進出した人類がこの光より速い特性を利用して宇宙の真空崩壊を察知できるかな。
まあ察知できるとしても逃げる時間はないだろうけど・・・