この画像を大きなサイズで見る日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は、現在小惑星1998 KY26に向かっており、2031年に至近距離に到着する予定だ。
だがその小惑星、実は旧ソ連が打ち上げた探査機である可能性が、国際宇宙探査研究チームにより示唆された。
問題となっている探査機フォボス1号は、1988年に交信を絶ち、行方がわからなくなっていた。
この主張は査読前の論文によるもので、あくまで仮説にすぎないが、再観測によると、1998 KY26の直径は約11mほどしかなく、軌道、表面の明るさを示すデータが、フォボス1号のものとほぼ一致していたのだ。
この研究成果は査読前の論文(プレプリント)として『arXiv』(2026年5月31日付)に投稿された。
参考文献:
- Is the Dark Comet 1998 KY26 the Spacecraft Phobos 1? - Harvard & Smithsonian Center for Astrophysics
はやぶさ2が拡張ミッション、小惑星1998 KY26に向かう
日本の小惑星探査機はやぶさ2は、小惑星リュウグウから砂のサンプルを持ち帰った。
2020年12月にサンプルの入ったカプセルを地球に届けたあと、本体はまだ燃料を半分ほど残していた。
そこでJAXA(宇宙航空研究開発機構)は、はやぶさ2をもう一つの小惑星へ向かわせる拡張ミッションを決めた。目的地は「1998 KY26」という小惑星である。
1998 KY26は、1998年に発見された地球に近づく軌道を回る小さな天体で、はやぶさ2は2031年7月にランデブー(至近距離に到着)する予定になっている。
この画像を大きなサイズで見るもし探査に成功すれば、探査機がたどり着いた天体としては史上最小の記録になる。
地球のすぐ近くを通る小惑星は、その性質や、過去に地球へどんな影響を与えてきたのかがまだよくわかっていない。
小さくても、もし地球にぶつかれば大きな被害を出すおそれがあるため、その正体を間近で調べる意味は大きい。
再観測の結果、1998 KY26は予測以上に小さかった
ところが2031年のランデブーを前に、この小惑星が思ったよりずっと厄介な相手だとわかってきた。
2024年、研究者たちがチリにあるヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)で1998 KY26を観測したところ、その姿は予想とまるで違っていた。
観測を率いたスペイン・アリカンテ大学とバルセロナ大学の研究チームによると、1998 KY26は思っていたより3〜4倍も小さく、直径はわずか11mほどしかなかったという。
自転の速さもそれまで考えられていた2倍で、5分あまりで1回転してしまう。さらに、岩石にしては表面が明るく、太陽の光をよく反射していた。
1998 KY26の直径が約11mなのに対して、向かっているはやぶさ2の本体は約6mだ。探査機が、目指す天体の半分以上もの大きさを占めることになる。
探査先の小惑星は、探査機の2倍弱の大きさしかないのだ。
この画像を大きなサイズで見る小惑星1998 KY26は旧ソ連の探査機である可能性
小さすぎて、速すぎて、明るすぎる。この奇妙な小惑星の正体について、新たな説が浮上した。
イギリスに拠点を置く宇宙探査研究団体、恒星間研究イニシアチブ(i4is)に所属するアダム・ヒバード氏をはじめとする、ドイツやアメリカの国際研究チームによると、1998 KY26は、旧ソ連(現ロシア)の火星探査機フォボス1号かもしれないという。
フォボス1号は1988年7月7日に打ち上げられ、火星とその衛星フォボスを探査することを目的としていた。
ところが同じ年の9月2日、地上から送られた命令にたった一つハイフンが抜けるという間違いがあり、その誤った命令のせいで交信が途絶えてしまった。
火星にたどり着くこともなく、行方がわからなくなったのである。
この画像を大きなサイズで見る1998 KY26は謎多き暗黒彗星なので人工物かもしれない
40年近く前に消えた探査機の名前が、なぜいま小惑星の正体として登場したのか?
そのきっかけは、1998 KY26が暗黒彗星という変わった天体に分類されていたことにある。
暗黒彗星は、近年になって新しく分類された天体で、見た目は尾もガスの噴き出しもなく、ふつうの小惑星のように見える。
だが、重力だけでは説明できない加速をするため、この不思議な動きをどう説明するかが、長く議論されてきた。
2024年にはNSF(アメリカ国立科学財団)やNASA、ESAなどの研究チームにより、新たに7個の暗黒彗星が発見されたことが報告されたことで注目が集まっている。
1998 KY26もその一つで、自然の天体としては説明しづらい性質を抱えていた。
だからこそ、自然の岩ではなく人工物ではないかという仮説が生まれたのだ。
この画像を大きなサイズで見る1998 KY26と行方不明の探査機の特徴が一致
ヒバード氏ら研究チームは、フォボス1号がたどったはずの軌道と、1998 KY26の軌道を細かく比べた。
すると2つの軌道はよく似ていた。
研究チームの計算では、フォボス1号が交信を絶った直後と1996年5月の2回、合わせて秒速1.9km分の噴射を行ったと仮定すると、2つの軌道がほとんど区別できないほど重なるという。
しかもこの秒速1.9kmという速度変化は、フォボス1号が持っていた燃料の余力でじゅうぶん出せる範囲だった。
フォボス1号は火星を回る軌道に入るために、強力な推進装置を積んでいたからだ。
軌道の一致だけでなく表面の明るさも、1998 KY26の性質も探査機に似ていた。
表面が明るく光をよく反射するのは、金属や人工の素材なら説明がつく。
速く自転しているのに崩れずまとまっているのも、小石が寄り集まっただけの小惑星では起こりにくく、頑丈な一つのかたまりなら無理がない。
明るさが大きく変化することから、1998 KY26はかなり細長い形をしているとみられる。
太陽電池パネルを左右に広げた探査機の姿に、ちょうど重なる特徴である。
この画像を大きなサイズで見る多くの天文学者が反論。それでも仮説の域を出ない理由
だが研究チームは、今回の研究は「1998 KY26がフォボス1号だと断定するものではない」と、はっきり認めている。
専門家からは、この説に対する強い疑問の声も多く上がっている。
最大の弱点は、フォボス1号が噴射をしたとされる時期だ。
フォボス1号が交信を絶ったのは1988年だが、論文は1996年にも2回目の噴射があったと仮定している。交信を絶ってから8年もたった探査機は、電池が切れ、燃料の配管は凍りつき、機体の向きを保つ装置も壊れているはずだ。
そんな状態の機体が、自力で精密にエンジンを噴かせて軌道を変えるのは、ほかの天体がぶつかりでもしない限りほぼ不可能だと指摘されている。
観測でわかった1998 KY26の特徴も、自然の小惑星として無理なく説明がつく。
表面が明るいのは、エンスタタイトという鉱物を多く含むE型と呼ばれる小惑星なら自然に説明できる。
速く自転しても崩れないのは、もともと一枚の岩のかたまりだからで、1999年の観測の時点ですでに、大きな小惑星が砕けた破片だろうと考えられていた。
暗黒彗星らしい不思議な加速も、速い自転の勢いで表面から塵の粒がはがれ落ちているためかもしれない。
AIを使って観測データから天体の形を復元した別の研究でも、人工物ではなく、でこぼこした小惑星らしい形が示されている。
フォボス1号と1998 KY26の軌道が似ているのは、たまたま同じような道を通っているだけの、まったく別の天体だからかもしれない。
今のところ、探査機説を裏づける決め手はそろっていない。
答え合わせは2031年のはやぶさ2
この議論に決着をつけてくれるのが「はやぶさ2」だ。
2031年7月、はやぶさ2が1998 KY26にランデブーすれば、その目で確かめられる。
岩のかたまりなのか、それとも37年前に消えた探査機の成れの果てなのか。
はやぶさ2のランデブーまであと約5年。無事にミッションを完遂してくれることを願ってやまない。
現在のはやぶさ2の地球からの位置はJAXAの公式サイト「はやぶさ2拡張ミッション」で随時見ることができる。
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まとめ
この研究でわかったこと
- はやぶさ2が向かう小惑星1998 KY26が、消えた旧ソ連の探査機フォボス1号かもしれないという仮説が示された
- 小惑星1998 KY26は自然の天体としては説明しづらい謎の「暗黒彗星」に分類されている
- 小惑星のその軌道、表面の明るさ、自転の速さが、1988年に消えた旧ソ連の探査機フォボス1号とよく一致していた
まだわかっていないこと・今後の課題
- 本当に探査機なのか自然の小惑星なのかはわかっていない
- 2031年のはやぶさ2の観測で初めて判明する
References: Two distinct populations of dark comets delineated by orbits and sizes / Is the Dark Comet 1998 KY26 the Spacecraft Phobos 1?

















惑星と探査機を間違えるなんてことある?
妙だな・・・
行方不明になっていたアポロ12号の第三段が、小惑星として観測されたことがある
「地球に異常接近する小惑星!」というのが、
「あ、それウチの探査機。地球スイングバイするんだわ」
てなこともあったと思う
J002E3(アポロ12号三段目、「月以外に地球を回る星があったか!」と驚かれた)とESAのロゼッタ(彗星探査機、アリゾナ大の掃天観測中に「発見」され2007VN84の名を与えられた)の逸話かw他にはアポロ10号の月着陸船が後に2018AV2という名の小惑星として再発見されていたり
はやぶさ2で直接観測して真実を明らかにすることで、観測データの正確性の向上も期待できそう!ってまだ人工衛星フォボス1号と断定されたんではないけども
消息を絶った過去の人工衛星を再発見するなんて、実現したらSFの世界が来ちゃったって感じ
人工物が宇宙空間でどんな経年変化をするのかってのもすごく役立つ資料になりそうな…
はやぶさ2の拡張ミッションの対象になった天体は354個あって、その中から選ばれたものがよりによって行方不明の火星探査機かもしれないって・・・
なんかこう、どう言ったらいいんだろ
運命的なものを感じる一方でちょっとクスッとした
それはそれで面白いやん!
ね!何かこう、ビリヤード的にガツーンとぶつかるみたいな
行方不明だった探査機を至近距離で撮影するとか胸が熱すぎる
一度行方不明になった探査機に別の探査機が送り込まれるとしたら
史上初じゃなかろうか? それはそれで面白いな
これ。逆に面白そうで楽しみ
これが本当に行方不明の衛星だったら、肝心のミッションはどうなるんだろう
惑星の資料を採取して帰還する予定が、人口衛星の外壁サンプルをガリガリと削って持ち帰る事になるの?
既にサンプラーはリュウグウで使用済みで持ってない。
最初のミッションで使ったカプセルくんはもう地球投下・回収済みで
はやぶさ2に燃料残ってたから、もうちょいお出かけしてみよ?
ってのが今のミッション。だからカメラしか持ってない
それがほんとうに旧ソ連の探査機だったら、
金具で引っ掛けて丸ごと地球に持ってくれば
いいんだよ。
カーズじゃね?
ヴィジャー(V’ger)だ!?(スタトレ脳
…珪素生命体と遭遇して知性獲得するのは未だ先だが(ヲイ
ケイ素生命体といえばデカンダーっしょ
(サンダーマスク脳)
ロ、ロ、ロシアンルーレット
ダーティーペアのOPの歌詞か
たとえ探査機の成れの果てが本当だったとしても、たった30年かそこらで機械の塊が岩石の塊になる…?そもそも人工物に岩が集まってくっついて覆い被さって(または金属の成分が変わって)小惑星にしか見えないよー…になるのに、何十億年もかかるんじゃない?(この記事はあくまで仮説かイメージなんだろうけど。)
それが事実ならかなり楽しい話なんだけど、音信不通になったはずの”フォボス1”が
何度かエンジン噴射をした、なんて事が出来るのかは疑問だな。
JAXAの担当チームはどう思ってるんだろう?
モチベーションは上がるのかな?下がるのかな?
はやぶさ2が小惑星1998 KY26に最接近するのは、2031年7月の予定
現在の天文学は、遠い遠い場所にあるよくわからない物の大きさが11mであると確定できるくらいの精度を持っているのか。
これができるのであれば、距離的には地球表面をなぞっているような軍事偵察衛星がcm単位(多分mmもいってるんじゃないかな、煙草を吸ってるのも観測できるレベルで)というのも納得ですね。
迷わず行けよ行けばわかるさ
がんばれー!
♪ラン ラン ラン ラン ランデブー~
なかなか胸熱なランデヴー物語になってまいりました(人類脳)
宇宙観測っていろいろあってよく分かんないな。ブラックホール見えたり、何十光年も先の太陽系に似た星々観測したかと思えばすぐそこの小惑星が見えなかったり、地球からは大気の影響があるのに市販の望遠鏡で土星の輪が綺麗に見えたり、奥が深い
11m径の天体にランデブーできるのが凄い
また自然物なら金属の塊の可能性があり、成分や惑星などの歴史の資料になるし
将来的に資源としての活用も考えられる
もし金なら18kとしても今まで採掘した量の半分以上だ
露助のゴミだとしたら、デブリ問題に繋がるデータを取れる
牽引できたら面白いし、データの修正までできたらいいんだが…
とにかくオモロ美味しいことは確かだろう
はやぶさ2を中継ステーションにして復旧信号とか送れないかしらん。
ロスコスモスにソ連時代の記録が残ってればだが。
フォボス側の電力がゼロなんだから、難しいんじゃないかな。
フォボス1が音信不通になったのも、太陽電池板に光が当たらない向きに
姿勢変更したのが原因のひとつなんだし。
あ、しかし初代はやぶさの時に、なぜか充電されてたって事もあったしな。
普通に小惑星だったら正直、着いたら教えて状態だったんだけど、四十年近く前の七夕に打ち上げられた探査機なのかもとなると、俄然妄想がはかどりますね。
フォボス「ハラーショウ」
コレ探査機だったら凄い天文学的確率だよ
トップをねらえ1の「宇宙戦艦るくしおん」を思い出したのは俺だけだろうか
いつかの未来でソーラーセイルのイカロスくんも見つけてもらえるかしら
光学望遠鏡は宇宙に行けないのだろうか
ハッブル宇宙望遠鏡…
みんな楽しみ、胸熱って言ってるけど、私はガッカリ。
未知の宇宙に触れられると思ったら、人類か出した宇宙ゴミかもしれないなんて。
宇宙ゴミは宇宙ゴミでも約40年前の宇宙ゴミなのだ〜!
上のコメントでも挙げられてたけど宇宙空間で野晒しならぬ宇宙晒しされた人工物の劣化具合なんかが観察できるので、今後の未知の宇宙に挑む手助けになってくれる可能性がある
そして将来こう言った宇宙ゴミを回収していく時のヒントにもなるかもしれない