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3億年前の「エイリアン金魚」の謎が明らかに。腹から歯の生えた舌のような器官で獲物を捕らえていた

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(著) (編集)

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 3億3000万年前、お腹(腸)を膨らませて、先端についた歯のついた舌のような器官を体外に射出し獲物を捕らえていた謎の生物が存在した。

 あまりの奇妙さゆえに「エイリアン金魚」との異名を持つ「ティフロエスス(Typhloesus wellsi)」の化石は、1973年に石炭紀の地層から発見された。

 新たな研究によると、どうやらティフロエススは「軟体動物」で、初期の「腹足類」ではないかと考えられるという。つまりカタツムリやナメクジの仲間ということだ。

驚くべき捕食方法を持つエイリアン金魚の謎

 お腹から歯の生えた舌を飛ばす奇妙な生物「ティフロエスス(Typhloesus wellsi)」の化石は、1973年にペルム紀の前の時代、石炭紀(3億5890万~2億9890万年前)の地層から発見された。

 体長9センチほどで、はっきりと目立つ尾びれのようなものがある。まるで魚のような姿だが、石炭紀に生息したほかの生物とはまるで違っており、その進化は長年の謎とされてきた。

 あまりの奇妙さに、英ケンブリッジ大学のサイモン・コンウェイ・モリス名誉教授は、ティフロエススに「エイリアン金魚」というアダ名をつけている。

 その風貌から、地球を訪問した宇宙人が捨てていったペットを連想したからだそうだ。

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「エイリアン金魚」ことティフロエススが狩りをする様子の想像図 / Credit: Drawing by Joshua Knuppe @Royal Ontario Museum

カタツムリやナメクジに近い存在である可能性

 今回、コンウェイ・モリス名誉教授らは、ロイヤル・オンタリオ博物館が所蔵するティフロエススの標本を調査し、「軟体動物」の「腹足類」の一種ではないかと推測している。つまり、カタツムリやナメクジに近いかもしれないということだ。

 「ちょっとした進化の難問を解いたと思います」と、コンウェイ・モリス名誉教授は語る。

 その根拠は、ティフロエススが歯を持っていたことだ。

 歯といっても、私たちのように口の中に並んでいるわけではない。それは体内にあり、しかも後ろ向きに生えているのだ。

 軟体動物の多くには、肉食・草食にかかわらず、「歯舌(しぜつ)」という舌のような構造があり、これでエサをつかむことができる。

この歯舌はエモノを捕らえるために体外に射出されたと考えられている。

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ゴム手袋のように前腸を膨らませてエモノを捕獲する / Credit: Drawing by Joshua Knuppe @Royal Ontario Museum

 普段、歯舌は体内に収納されている。だがエモノを捕獲するときは、腸の前端(前腸)の部分を膨らませて、体の外に射出する。

 このとき腸が裏返って、歯が並ぶ向きも変わる。これによって、エモノをがっちりつかめるという仕組みだ。

 ちょうど丸めたゴム手袋を水か空気で膨らませて、指の部分をぴゅっと飛び出させるようなイメージだという。想像するだけで恐ろしくなる捕食法だ。

 過去にはティフロエススの化石の体内から、コノドントという小さなミミズのような生物が発見されている。

 このことから、ティフロエススが捕食動物であることもすでに判明している。

 こうした発見に基づき、ティフロエススは初期の「腹足類」(カタツムリやナメクジなどのグループ)ではないかと推測されている。

 このグループの仲間の多くが、ティフロエススと同じように、前腸を伸ばしてエモノを捕まえるからだ。

 「歯舌の発見は本当に重要な証拠」と、コンウェイ・モリス名誉教授は話す。

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ティフロエススの化石の歯舌のクローズアップ / image credit:Simon Conway Morris and Jean-Bernard Caron

まだまだ謎が残る奇妙な古代のエイリアン金魚

 新たな化石の発見や、既存の化石の再調査によって、ある生物の系統樹上の位置付けが変更されることはある。

 今回、ティフロエススは軟体動物だろうと示唆されているが、その分類学的な位置付けについてまだ決着はついていない。

 レスター大学のマーク・パーネル教授の解説によれば、歯舌があるからといって、必ずしも軟体動物とは限らないという。まったく関係のない種が独自に歯舌を進化させることもあり得るからだ。

 「今もなお、じつに奇妙な動物です」とパーネル教授は話す。

 この研究は『Biology Letters』(2022年9月21日付)に掲載された。

References:Ancient ‘alien goldfish’ shot toothy ‘tongue’ out of its gut to catch prey | Live Science / ‘Alien goldfish’ may have been unique mollusc, say scientists | Fossils | The Guardian / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. 生物の進化の真っ最中
    試行錯誤して探り探りな感じがイイネ

    • +8
  2. エイリアン金魚ってよりもウルトラ怪獣のガヴァドンみたいだな
    流石に大きさは違うが

    • +2
  3. 70年代にバージェス頁岩が注目されたとき若手研究者だったサイモン・コンウェイ・モリスも今では古生物学会の重鎮か…ワンダフルライフで未知の分類群とされた動物たちが研究が進んで既知の分類群に再整理されたようにこの動物も原始的なメリベだったりするのかもしれない。

    • +6
  4. アノマロカリスも昔はクラゲとエビの別々の化石だと思われてたし、形状があまりに突飛だと想像も出来ないねぇ

    • +10
  5. 度重なる大量絶滅でだいぶ生物の多様性は少なくなってしまったらしい。
    惜しいことだ。

    • +3
  6. 体内から内臓というとナマコを思い出すが、そのうえ歯が付いてるなんてグロかっこいいじゃないか

    • +4
  7. ウミウシやアメフラシの仲間でいいのに何故にカタツムリを強調?

    • +2
  8. 現在に残らなかった形状の生物か
    泳ぎは苦手そうなのに肉食だとしたら不思議な形してるな
    絶滅逃れても合理的な形の奴と獲物取り合ったら勝てないかもなぁ

    • +1
  9. 遊泳性の捕食動物なら比較的大きな目があったはずじゃないか
    そうでないなら海底を徘徊するウミウシのような捕食者だったんじゃないか

    • 評価
  10. 現代の海にもフラフラ泳ぐウミウシがいるのでこいつだけエイリアン金魚なんて呼ばなくてもいいような気もするけど

    • +1
  11. なんかモヤる記事やな
    これ魚じゃないだろって素人でもわかるし
    わざわざカタツムリで喩えなくても、泳ぐ腹足類って別に今もいるし
    要はクリオネみたいなもんやろ

    • -1
  12. 体の内壁を裏返して飛び出させ獲物を掴んで引っ込める食べ方、一つの門に限らずいくつかいるね。チロリだのヌタだの。
    これは体の割におちょぼ口だから専食型かな、アリクイみたいに。
    それかナメクジと同じでこそげ取るタイプに思う

    • +1
  13. 腹足類なのにまるっきり初期の魚みてーな活発に遊泳してそうな外見してんなって思ったけど
    よく考えたら現世にもゾウクラゲなんかがいたな

    • 評価
  14. アンボイナガイみたいじゃない?歯舌って言ってるくらいだし

    • 評価
  15. 腹足類で魚みたいな形といえばハダカゾウクラゲが思い浮かぶ

    • 評価

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