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パラレルワールドの自分が現実の人生を操っている?物理学者が示したぶっ飛んだ理論

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 英オックスフォード大学の量子物理学者、マリア・ヴィオラリス博士が、パラレルワールド(並行世界)にいる「もう一人の自分」からメッセージを受け取れるとする思考実験を発表した。

 枝分かれしたパラレルワールドどうしは決して情報をやり取りできない、という量子力学の長年の前提に真っ向から挑む、ぶっ飛んだ理論である。

 ただし成立には厳しい条件がある。メッセージを送った側は、送ったという記憶を失わなければならないのだ。

 この研究成果は『arXiv』(2026年1月13日投稿、4月26日改訂)に査読前の論文として公開された。

記憶がない解答が現れる。量子物理学の新思考実験

 自分が取り組んだこともなく、解き方の記憶もない方程式の解答が、目を覚ますと机の上に置かれているのを想像してみてほしい。

 計算は完璧に合っており、計算する過程の式を書いたメモもないし、深夜に無意識で作業したわけでもない。

 その解答は一体どこからやってきたのだろうか。

 2026年、イギリスのオックスフォード大学に所属する量子物理学者のマリア・ヴィオラリス博士が、このようなシナリオを用いた思考実験をプレプリントとして発表した。

 プレプリントは査読を受ける前の論文を誰でも公開できる場であり、この論文もまだ専門家による検証を通っていない。

 それでも投げかけられた問いは、魅力的でありながら不穏なものだった。

 並行して存在する別の世界にいる「自分」の別バージョンが、その方程式を解いて答えを送ってきたのではないか、という問いだ。

 もしこれが本当なら、物理学における最も強固な前提のひとつが覆ることになる。

 量子力学の世界には、出来事の結果が分かれるたびに世界が枝分かれするという「多世界解釈」という考え方がある。

 これまでの常識では、枝分かれしたパラレルワールド(並行世界)どうしは互いに干渉できず、決して情報を交換することはできないとされてきた。

 もしパラレルワールドから情報が漏れてくるなら、それは神のような力を持つことを意味する。

 勉強せずにテストで満点を取ったり、事故が起きる前に危険を回避したり、株式市場の動きを事前に知って莫大な富を築いたりできるかもしれないのだ。

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別世界の自分から情報を受け取るための厳しい条件

 ヴィオラリス博士は、この仮説を組み立てるために「ウィグナーの友人」と呼ばれる量子力学の有名な思考実験を用いている。

 これは、ある観測者が別の観測者に完全にコントロールされている状態を想定したシナリオだ。

 ヴィオラリス博士が主張するのは、システムの外側にいる独立した監督者「超観測者」がパラレルワールド全体の量子状態を操作することで、一つの世界で書かれたメッセージを別の世界へ渡すことができるということである。

 ただし、この情報のやり取りには、量子力学の法則を守るための非常に厳しい条件がある。

 最大の条件は、メッセージを書いた観測者が、書いたという記憶を完全に失わなければならないことだ。

 受け取る側からすれば、情報は出どころが全く不明な状態で、突然目の前に現れることになる。

 さらに、シナリオを成立させるためには、並外れた能力を持つ外部の制御者が必要になる。

 箱の中の猫が、観測されるまで生きた状態と死んだ状態の両方に重なっているという「シュレーディンガーの猫」のように、観測者を周囲の環境から完全に隔離し、その量子状態を操作できる存在が不可欠なのだ。

 また、参加者全員が複数の結果が同時に重なり合っている「量子の重ね合わせ」という特殊な状態にある必要があり、これは人間のスケールでは自然に発生しない現象である。

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情報は移動していない、入れ替わっただけ。という反論

 この思考実験には、厳しい反論も向けられている。

 米テキサス大学オースティン校で量子情報センターの所長を務めるスコット・アーロンソン博士は、実際に起きていることを見れば、実験者が2人の観測者の身元を入れ替えただけだと言うほうがはるかに自然だと指摘する。

 メッセージを書いた観測者は自分の枝から消され、書かなかったもう一方の観測者に置き換えられただけだというのだ。

 アーロンソン博士に言わせれば、世界をまたいで移動した情報など存在せず、残るのは「自分とは何か」をめぐる哲学的な議論の材料だけということになる。

 それでも、この理論が持つ可能性は別の分野の専門家の想像力をかき立てている。未来学者のアレクセイ・トゥルチン氏は、異なるパラレルワールドのあいだで情報をやり取りして利益を得る「マルチバース・アービトラージ(multiverse arbitrage)」という概念を示している。

 安く買って高く売る差益稼ぎを、世界をまたいで行うという発想だ。

 もし別の世界から有益な情報を持ち込むことができれば、1秒間に何度も売買を繰り返す高頻度取引などで莫大な利益を上げられるという。

 もっとも、ヴィオラリス博士自身は、そのような空想の入り込む余地はないと念を押している。

 すべての情報のやり取りは外部の超観測者によって制御されるため、中にいる観測者が自分の意志で情報を送受信することはできない。

 しかも操作する超観測者自身はメッセージの中身を知ることができない。力と知識がかたよって分かれているため、別の世界から都合よく情報を集めることは極めて困難なのだ。

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交信相手は本当の自分?AIと量子コンピューターが鍵を握る

 それでは、この「マルチバース(多元宇宙)のひび割れ」を確かめる方法は永遠にないのだろうか。

 ヴィオラリス博士が考える唯一の現実的なアプローチは、高度な汎用人工知能(AGI)を搭載した本格的な量子コンピューターを使用することだ。

 ヴィオラリス博士は今後10年から20年の間に、研究者が厳密に制御する量子システムの中で、AIのエージェントが観測者として機能する未来を予測している。

 これらのAIがわずかに異なる結果をそれぞれの枝で調べ、その結果を一つの判断へ持ち寄ることで、別世界からの情報伝達に近いものを再現できるかもしれないという。

 パラレルワールドの自分とおしゃべりする場面を思い描いてはいけない、とヴィオラリス博士は釘を刺している。

 しかし、そのためにはAIが人間の意識に限りなく近いものになる必要がある。

 記憶を持ち、独自の思考を生み出し、そして正確に指定された方法でその記憶を失うことができる、本物の観測者としての能力が求められるのだ。

 意識という現象は、生身の人間においてすら理解されていない。ヴィオラリス博士も、AIや観測者の再現技術において、今後さらに大きな突破口が必要になると認めている。

 今のところ、パラレルワールドの自分が宝くじの当選番号を教えてくれることはないだろう。

 人間のスケールでパラレルワールドと交信することは、まだはるか先の夢物語だ。

 しかし、この宇宙にはまだ私たちの知らないひび割れが存在し、そこから未知の情報がこぼれ落ちてくるかもしれないという謎は、決して消え去ることはない。

 もしかすると明日の朝、あなたが書いた覚えのない数式の答えが、机の上に置かれているかもしれないのだ。

 そして、そうではないと証明する方法も、あなたは持っていない。

References: arxiv.org/abs/2601.08102 / Our Universe Has Cracks, This Wild Scientific Theory Suggests

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この記事へのコメント 3件

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  1. 靴を作ってくれる妖精さんかな?

    • 評価
  2. 数学者ラマヌジャンを思い出した
    本人も理解していない公式が思い浮かんで、のちに正しいことが証明されるってやつ
    女神ナマギーリが教えてくれたって談話があるけど、パラレルワールドなのか、また別の何かなのか興味深いよね

    • 評価
  3. 書いてる本人も同じでしょうけど、さっぱりわかりません

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