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恐竜のフンから鳥の羽の化石を発見。一部の鳥が大量絶滅を生き延びた理由を解明する手がかり

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肉食恐竜が水鳥を捕食するイメージ図 Image credit:Andrey Atuchin
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 白亜紀末期、約6600万年前の小惑星衝突による大量絶滅が地球を襲ったが、一部の鳥類だけは生き延びたが、その理由は古生物学の大きな謎だった。

 アメリカで発見された恐竜のフンの化石から、絶滅した水鳥の羽毛の化石が立体的な状態で発見された。

 シカゴのフィールド博物館などの研究チームが解析した結果、この絶滅種の羽毛には、体の熱を調節できない原始的なものが混じっていた。

 羽毛の保温力の差が、小惑星が衝突した後の過酷な「衝突の冬」で鳥類の生死を分けた理由だったのかもしれない。

 この研究成果は『Current Biology』誌(2026年9月10日付)に掲載された。

参考文献:

恐竜のフンの化石の中に保存状態の良い鳥の羽毛

 2016年、アメリカのモンタナ州北東部でフィールドワークを行っていた研究者が、ゴルフボールの半分の大きさの暗い赤褐色の塊を発見した。

 ワシントン大学バーク博物館の研究員であるデビッド・デマー・ジュニア氏がルーペで表面を観察すると、そこには小さな羽毛の化石が含まれていた。

 この塊はコプロライトと呼ばれる動物のフンの化石であり、約6600万年前にティラノサウルスの仲間とみられる中型の肉食恐竜が鳥を食べ、排泄したものだった。

 これまでコプロライトの中から羽毛を探そうと考えた科学者はおらず、この羽毛は、岩石から見つかった恐竜時代の羽毛としては最も保存状態がよい標本となった。

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恐竜のフンの中に保存されていた鳥の羽毛の化石 Image credit:O’Connor et al

古代の水鳥、ヘスペロルニス類の羽毛

 米イリノイ州、シカゴのフィールド博物館の古生物学者であるジンマイ・オコナー氏らの研究チームは、このコプロライトをマイクロCTスキャナーにかけ、内部の構造を立体的に解析した。

 スキャンの結果、内部からは複数の羽毛に加え、ガーと呼ばれる魚のウロコや、ヘスペロルニス類という古代の水鳥の脚の骨が次々と発見された。

 ヘスペロルニス類は白亜紀に生息していた水鳥のグループで、ほとんどは飛ぶことができず、水中に潜って魚を狩って生活していた。

 恐竜から進化した鳥の仲間では最初に海へ進出したグループであり、知られている限り最古の潜水鳥類でもある。

 フンの中に骨と羽毛が一緒に存在していたことから、これらの羽毛は捕食されたヘスペロルニス類のものと考えられる。

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ヘスペロルニス類の一種、ヘスペロルニス・レガリス Image credit:commons.wikimedia / CC BY 3.0

羽毛の保温力が生死を分けた可能性

 約6600万年前の小惑星衝突により、地球上のほぼすべての恐竜と鳥類が絶滅した。だが、現生鳥類(Neornithes)と呼ばれる一つのグループだけが生き残り、現代の鳥類の祖先となった。

 現生鳥類が生き延びた理由について、水辺に生息していたことが要因とする仮説があったが、同じく水辺に住んでいたヘスペロルニス類は絶滅している。

 オコナー氏は、この謎を解く主な手がかりが羽毛の違いにあると考えている。

 コプロライトから見つかった羽毛には、現代の水鳥のように防水性を備えたものがあった一方で、恐竜のような小さくふわふわとした原始的な体の羽毛も含まれていた。

 この原始的な羽毛は、現代の鳥類が持つ綿羽(ダウン)に比べて断熱性が低く、体を温かく保つ力が弱かった可能性がある。

 そのため、小惑星衝突後に訪れた過酷な寒冷期である「衝突の冬」を生き延びることができなかったと考えられる。

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コプロライト(フンの化石)の割れた部分に露出していた羽毛の化石 Image credit:David DeMar, Jr.

鳥類の進化と大量絶滅の大きな謎

 この研究結果は、なぜ一部の鳥類だけが大量絶滅を生き延びたのかという、古生物学の大きな謎に迫る手がかりとなる。

 米ワシントン大学のグレッグ・ウィルソン・マンティラ教授は、鳥類の羽毛化石の発見は非常に稀であり、当時の捕食者と獲物の関係を知る貴重な手がかりになると述べている。

 コプロライト内の羽毛を調査するというこれまでにない手法は、古代の生態系や進化の歴史を解明するための新たな道を開いた。

 今回の羽毛に研究者が気づけたのは、糞の化石がたまたま羽毛の部分で割れ、表面に羽毛がのぞいていたからだった。

 今後、世界中の科学者がコプロライトのCTスキャンを行うことで、恐竜時代に隠されたさらなる新事実が発見されるかもしれない。

References: DOI.10.1016/j.cub.2026.08.054

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