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生き延びるため。ワニの先祖は恒温から変温へと逆進化していた

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(著)

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Image by unsplash / Bharathi Kannan
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 約2億5000万年前の三畳紀に現れたワニの先祖は、かつて鳥類と同じように、温かい血を持つ「恒温動物」だった。

 だが、約6600万年前の小惑星衝突による大量絶滅時、恐竜が次々と滅んでいく中、ワニの先祖は水中に適応するためにあえて代謝を落とし、冷血な「変温動物」へと逆進化していたことが、オーストラリア・アデレード大学などの研究で明らかとなった。

 陸上の獲物が減ったこの時期、水中に潜んで獲物を待ち伏せするには、変温動物の方が都合がよかったのだ。

 その痕跡は、骨に残された血管の穴に刻まれていた。

 この研究成果は 『Paleobiology』誌(2026年8月7日付)に掲載された。

参考文献:

ワニの先祖は鳥と同じ恒温動物だった

 ワニと鳥は、まったく違う生き物に見えるが、両者は、約2億5000万年前の三畳紀初期に現れた「主竜類(しゅりゅうるい)」という共通の祖先を持っている。

 主竜類は変温動物まもなく二つの系統に分かれ、片方は現在のワニへ、もう片方は恐竜を経て鳥へとつながった。

 これまで科学者たちは、動物は進化の過程で変温動物から恒温動物へと変化してきたと考えていた。

 自分で体温を作れる恒温動物の仕組みのほうが優れていると考えていたのだ。

 主竜類はもともと変温動物だったが、そこから枝分かれした後、恐竜と鳥の系統は恒温動物となり、ワニの系統は最初からずっと変温動物だったと信じられてきた。

 だが、実はワニの先祖も恒温動物だった。

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これまで、ワニの系統はずっと変温動物だと考えられていた Image credit:Roger Seymour、CC BY

現代のワニの心臓に残された、恒温動物だったころの名残

 現代のワニの心臓は、4つの部屋に分かれている。この構造を持つのは、ほかには恒温動物である鳥類と哺乳類だけだ。

 爬虫類の中では、ワニだけが持っている。

 恒温動物は代謝、つまり食べ物をエネルギーに変える働きが活発なため、血液を全身に勢いよく送る高い血圧が必要になる。

 4つの部屋に分かれた心臓は、肺へ向かう低い血圧の血流と、全身へ向かう高い血圧の血流を完全に分ける役割を果たしている。

 もし高い圧力の血液が肺に入り込むと、体液がたまって酸素を取り込めなくなり、命にかかわるからだ。

 鳥はこの仕組みによって素早くエネルギーを作り出し、体温を安定させて激しい飛行を続けられる。鳥が疲れて空から落ちてくることはない。

 一方のワニは変温動物で、血流も血圧も低い。

 それなのに恒温動物と同じ心臓を持っている。

 ワニの心臓は、かつて活発な恒温動物として暮らしていたころの名残なのかもしれない。

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Image by pixabay / softhunterdevil

化石の骨にあいた穴が恒温動物だったことを証明

 そこで、オーストラリアのアデレード大学のロジャー・S・シーモア名誉教授を中心とする国際研究チームは、ワニの祖先が恒温動物だった証拠を探すため、化石の脚の骨に注目した。

 骨の表面には、血管を通すための小さな穴が開いている。骨は絶えず壊れては修復されており、激しく動く動物ほど修復に多くの血液が必要になる。

 そのため血液の流れが活発な動物ほど、この穴が大きくなる。実際、現在の哺乳類や鳥の穴は、トカゲやカメよりはるかに大きい。

 研究チームは博物館の収蔵標本を調べ、絶滅した主竜類81種の大腿骨(太ももの骨)から穴の直径を測定し、そこを流れていた血液の量を計算した。

 その結果、絶滅した主竜類の血流量は、同じ体重の現在の哺乳類を上回り、大型の鳥やコモドオオトカゲと変わらない水準だった。

 三畳紀の時点で、ワニの系統も恐竜と鳥の系統も、どちらも代謝が高かったのだ。

 当時のワニの系統は恒温動物で、細長い脚で陸を走り回るものや、二本足で立って走るものまでいた。 

 ワニの系統は、ジュラ紀と白亜紀を通じて数百種にまで多様化し、陸にも海にも川にも広がっていった。

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新たな研究でワニ系統も恒温動物だったことが明らかになった Image credit:Roger Seymour、CC BY

水中で待ち伏せるために、ワニは変温動物へと逆進化した

 活発な恒温動物だったワニの系統は、約6600万年前を境に代謝を落とし、変温動物へと逆進化した。

 白亜紀後期のチクシュルーブ隕石が地球に衝突し恐竜が絶滅した時期と重なる。

 この衝突の余波で地球は高熱に覆われ、生き延びられたのは巣穴や水中などに身を隠せた動物だけだったと言われている。

 水中に逃げ込んだワニの祖先は、そのまま水の中で暮らす生き方へと適応していった。

 現在のワニは、水中に身を潜め、獲物が水辺に来るのをじっと待つ。

 噛みついたらそのまま水に引きずり込み、溺れさせる。

 この狩りには、長く息を止め続ける能力が要る。代謝が低いほど体が使う酸素は少なくて済むため、変温動物であることは水中に隠れていられる時間を延ばすのだ。

 現在の地球上に、水中で待ち伏せをする恒温動物の捕食者は一種もいない。

 恒温動物はエネルギーを大量に消費するため、それほど長く息を止めていられないからだ。

 シーモア名誉教授は、変温動物になったことが、大量絶滅からワニの系統を救ったのかもしれないと述べている。

 現在、地球には鳥が約1万種、ワニが約27種いる。

 同じ祖先から分かれた両者は、片方が空を飛び続け、もう片方は水の底で動かずに待つ生き方を選んだ。

 ワニの体に残された使われない心臓は、かつて陸を走り回っていたころの恒温動物時代の忘れ形見なのだ。

References: Cambridge

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この記事へのコメント 8件

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  1.  えっと、ワニと鳥類の関係がわからなかったので、 Wikipedia でから引用すると「現生爬虫類は、カメ、ワニ、恐竜(鳥類を含む)、有鱗目(トカゲ、ヘビ)、ムカシトカゲ目(ムカシトカゲ)」ってことで鳥類が恐竜の子孫あるいは一部の種類としての生き残りとしてみると類の中では同じ中に入るモヨウ。 で、さらに Wikipedia には「ワニは他の現生爬虫類よりも鳥類に近縁である」とかあるので爬虫類全体をイトコを含む親族とすると鳥類は兄弟くらい近いかも?って感じで、今回の記事の温血動物だった証拠と合わせてやっと納得いきました。 Wikipedia の爬虫類とワニあたりを読むと理解が深まると思います。 逆進化というか変温動物→恒温動物→変温動物という進化過程があったってことで、面白いですねー、ビックリ

    • 評価
  2. >小惑星衝突による大量絶滅時…「変温動物」へと逆進化していた
    タイトル見て、思ったのがコレ、まんま予想できた
    恒温タイプは絶滅したんだろうと

    • +1
  3. 未知って本当にその辺に転がっているんだなあ…研究者さんたちに乾杯の気持ち
    ところでサムネのワニがイケメン

    • +4
  4. 哺乳類でもナマケモノやハダカデバネズミなんかはほぼ変温化してるし
    鳥類にもハチドリやカッコウみたいな体温調節が苦手なのがいるから
    恒温→変温への進化は少ないながらもそれなりに起きてるのかもね

    • +7
  5. 省エネ化かな。ナマケモノもそうだよね。

    • +4
  6. 隕石が落ちて慌てて変温化したというよりは、既に変温化しつつあるもしくは変温化していた系統があって、それが隕石を境に他が絶滅してメインになったって感じなのかな?いきなり大改造は無理な気がする…

    • +2
  7. 「逆進化」という言葉は、生物学的な視点からは誤解を招く不自然な表現です。進化には「方向」や「ゴール」がなく、単なる環境への適応の変化に過ぎないため、それを「逆向きに戻る」と捉えるのは科学的に正しくありません

    • +3

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