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古代ギリシャにはロボットの概念があった。青銅の自動人形「タロス」

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(著)

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古代の人工生命体タロス(ヤッタ国立考古学博物館所蔵 )Image credit:Forzaruvo94 / commons.wikimedia / CC BY-SA 3.0 cropped from original
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 ギリシャの神が創造したとされるタロスは、人工生命という点において、現代のロボットの概念に通じるものがある。

 今から2500年ほど前、古代ギリシャの人々は、青銅の体を持ち、自分の力で動き回る番人タロス(タロース)の物語を語り継いでいた。

 タロスはクレタ島のまわりを1日に3周して走り、近づく船を見つけると岩を投げつけて追い払う役目を担っていた。

 体の中には血管が1本だけ通っていて、足首の留め具を抜かれると中身が流れ出して動かなくなる。壊れる仕組みまで考えられていたのだ。

ギリシャの神が創造した青銅の番人タロス

 タロスは、ギリシャ神話に出てくる青銅でできた番人であり、いわば自動人形で、現代のロボット、ヒューマノイドにあたるものだ。

 タロスは、地中海に浮かぶギリシャ最大の島クレタ島のまわりを1日に3回走って見回り、近づいてくる船を見つけると岩を投げつけて追い払う役目を担っていた。

 上陸してきた者に対しては、自分の体を赤くなるまで熱し、抱きついて焼き殺したと伝えられている。

 タロスを作ったのは、鍛冶と金属加工をつかさどる神「ヘーパイストス(ヘパイストス)」で、古くは火山の神だったが、ギリシャ神話ではキュクロープスらを従え、自分の工房で様々な武器や道具、宝を作っていたとされている。

 ヘパイストスはできあがったタロスをクレタ島の王ミノスに与え、ミノス王がタロスに島の見張りを任せたという。

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石を握る有翼のタロースを描いた、クレーテー島の2ドラクマ銀貨 public domain / Wikimedia

体に1本だけ通る血管と、抜けば死ぬ足首の留め具

 タロスの体には血管が1本しか通っていない。首から足首まで一直線に伸びていて、その中を流れているのは、人の血ではなくイコルと呼ばれる神々の体液だ。

 血管の終わりにあたる足首には、イコルが漏れ出さないよう青銅の留め具が差しこまれていた。

 青銅の体はどこを叩いても傷つかないが、足首の留め具を抜かれると、イコルがすべて流れ出して動かなくなる。

 古代ギリシャの人々は、タロスがどうすれば動きをやめるのかまで、細かく語り継いでいたのだ。

魔法を使う王女メデイアが足首の留め具を抜く

 タロスの最期は、ギリシャ神話の英雄イアソンたちが乗るアルゴー船の冒険物語の中で語られる。

 長い航海の帰り道、イアソン一行がクレタ島に立ち寄ろうとすると、タロスは岩を投げつけて船を寄せつけなかった。

 船には魔法を使う王女メデイアが乗っていて、話し合いをしようとタロスに近づいた。

 メデイアは不死にしてやると持ちかけてタロスを信じこませ、足首の留め具を抜き取った。イコルは残らず流れ出し、タロスは動かなくなった。

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タロスの死が描かれた壺(サンニオ・カウディーノ国立考古学博物館所蔵) Image credit:ArchaiOptix commons.wikimedia / CC BY-SA 4.0

2400年前から存在したロボットの概念

 タロスの物語は、どれくらい古くから語られていたのだろう?

 タロスが倒れる場面を描いた壺が、紀元前400年ごろのものを中心に3点見つかっている。

 今から2400年ほど前で、この物語を詩に書き残した紀元前3世紀の詩人アポロニオスよりも100年以上早い。

 タロスは詩人が考え出した登場人物ではなく、当時の人々のあいだで広く知られ、語り継がれてきた存在だったのだ。

ロボットにも命が宿る?現代のSFに通じる発想

 タロスの物語には、もう一つ考えさせられるところがある。

 メデイアがタロスをだませたのは、タロスが不死になりたいと望んだからだ。

 青銅でできた体を持ちながら、タロスは死をおそれ、いつまでも生き続けたいと願っていた。

 古代ギリシャの人々は、現代人がSF作品で描く「人工生命に心が宿る」という発想をすでに持ち合わせていたようだ。

 そして現代、我々もAIと会話していると、まるで心を持っているように感じることがある。

 人が作ったものに心が宿るという発想は、タロスの時代から変わっていないのかもしれない。 

References: TALOS - Bronze Cretan Giant of Greek Mythology / Ancient Greece Had a Giant Bronze Robot—And His Story Sounds Like Science Fiction

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この記事へのコメント 48件

コメントを書く

  1. 人間の文明はギリシャあたりで既に完成していますからね。
    今の文明はそれにちょこちょこつけ足してるだけですし。
    その当時にあんなこといいなできたらいいなあんな夢こんな夢いっぱるあるけどだったものを少しずつ叶えているに過ぎないですし。

    • +35
  2. 彫刻とかがあれば動き出すという妄想はするだろうしな

    • +30
    1. 人型彫刻がそもそも動いてる人間の一瞬を切り取ったものだしね。

      • +13
  3. >抜けば死ぬ足首の留め具

    アキレスといい、古代ギリシャって、「足首が急所」観がかなり強いのか?

    • +49
    1.  確かに足関係の描写はそれなりにあるような気がします。 ある御探検隊のリーダーがサンダルを片方海に落としたとか、翼のあるサンダルの話とかもあるし、足首とか足に思い入れがあるのかもしれません。 足の留め具というとくるぶしを想像しましたが実際はどの部分だったのでしょうね

      • +11
    2. 実際、足首より下を怪我したり欠損すると生活は不便になるからなぁ。

      • +16
    3. メイン移動手段が徒歩の時代に
      日常で損傷しやすい箇所だからイメージしやすかったんじゃない?

      • +18
  4. ギリシャ神話わりと好きだけど初めて知った。
    見た目は人間とそれほど変わらない、これといったエピソードもないから作家の創作意欲を刺激せず取り上げられなかったってことかな。

    • +11
    1. マジンガーZの機械獣とかの元ネタになってるよ
      アニメの真マジンガーではタロス像も出てる

      • +11
    2. この神話はアルゴ探検隊の大冒険って映画が作られてて、タロス像もバッチリ出演しております。この作品は特撮映画の草分けの一つとして有名な作品です。

      • +4
    1. ドレンコックがないとメンテが大変だからさ

      • +5
  5. 👩「人間はなぜこうまでして自分の似姿を作りたがるのかしらね」

    • -13
  6. タロスって実在したのかね?
    何か別な物がそう表現された物の
    可能性がなくないか?

    • +2
    1. 考えられるのはミノス文明周辺の言葉が喋れなかった奴隷、言語障害者、自閉症患者あたりかな。
      コミュニュケーションが必要な仕事には就けなかったけど、島の周りを警戒する仕事をもらっていたのかもしれない。

      そう考えるとリアル過ぎて夢がないんだけどね
      ┐(´д`)┌ヤレヤレ

      • +5
      1. そうだとしても、単に無口な巨人だとか妖精みたいな存在であれば良くて、わざわざ青銅製にする必要はないですよ
        青銅や冶金に関する何らかの土着信仰や外来神が関係しているかも知れませんね

        • +8
    2. べつに実在したのか別のものだったのかの二択で考える必要はない。
      人間の想像力は必ずしも現実に隷属するものではない。

      • +9
    3. 完全はロボはありえないだろうけど、昭和初期に日本で作られた學天則のような、半自動人形の様なものはあったのかもしれないと考えるとロマンがありますね。

      • +3
  7. 面白い!古代ギリシア人はすごいなぁ。それがちゃんと文献で残ってる点も含めてさ

    タロスの話よりは後になるけど。紀元前1世紀の歴史家ポリュビオスが、ある扇動政治家を揶揄する言葉として、まるでパレードの先頭を自走するカタツムリの自動人形のようだ、と書き残してるんだよね。これ読んだ時はひどく驚いたよ。きっとそういうものが実際に作られていたんだろうなぁ。人の悪口に使うくらいには見慣れたものだったんだろう

    • +29
  8. 昔、特撮の神様レイ・ハリーハウゼンの映画『アルゴ探検隊の大冒険』でタロスを知ったが、まあなんていうか、ギリシア神話の世界ってSF好きにとってツボに入るんよね

    • +18
  9. 古代ギリシャのとある神殿では神々を模したオートマタによって時間を告げていたっていう記録もあるし、人型の機械が意志を持って自分で動くって言う夢想はそう突飛なものじゃなかった気はする
    先にタロスの伝説があってオートマタが生まれたのか、オートマタの片鱗からタロスの伝説が生まれたのか

    • +17
    1. 息子スティック無きカラパイアは、
      カラパイアにあらず。

      • +9
  10. 無敵のタロス! 的確なタロス! 難攻不落のタロス! あなたを称賛する!

    • -1
  11. 海のトリトンにも出てたな
    富野監督なので自分を慕うペンギン達を
    皆頃しにしてしまったりしてた

    • +8
    1. その頃からミナゴロシのトミノやったんかーい!

      • +7
  12. ロボなのに一丁前に付いてるのが気になって話が入ってこない

    • +3
  13. 昔子供向けのギリシャ神話読んだときにロボいるじゃん!てなった
    青銅って言うから青緑色でイメージしてたけど
    錆てなかったら10円玉色だから表面マット加工なら結構保護色

    • +6
  14. 皆さんはもう少し優しさを持った方がよろしいですな
    毎日素っ裸で島三周もしてたら、バットとボールがカタカタ鳴ってぶつかり合い、擦れ合い、青銅とはいえ疲れより痛みが上回りますぞ
    人生に疲れ気味の私はタロの気持ちが自然と伝わって来ます
    タロ「何で使う機会が無いのに付けたんだろ。ただ痛くて邪魔なだけなのに」と。
    彼も私も孤独。
    今飲んでいる安酒をタロにも飲ませて傷の舐め合いトークをしたかった。
    私「タロはその擦れて赤くなってる部分、相当痛いであろう。この赤チンを塗る」
    タロ「初めて優しくされた。有難い。」
    月日は流れ2500年程。
    私「ではワシはそろそろ帰るでの。寂しくなるだろうが達者での」
    タロ「寂しくはない。ただあなたの優しさが怖かった」
    私•タロ「わははは」

    • -5
    1. マジンガーあらば、アフロダインAがあるように、

      もしタロスに、

      「フル整形顔のラブドール風造形」

      に難がないのであれば、
      遠からず、シルクロードの反対側より伴侶は現れましょう。

      • -4
  15. デザイン・性能はポケットキング版が一番好き

    恐怖感を一番体現したのはハリーハウゼンモデル
    フルタの麦チョコのやつはランダムだったので引きそびれた

    イーコール(イコル)の描写とかT1000をも想起させる
    実社会でこれに近いのはもんじゅとかか 不死には程遠いが

    • -5
  16. >タロスは死をおそれ

    この時点でもう人間になってた

    • +4
  17. 1本の血管がどうやって2本の足首に配管されてたのかが疑問

    • 評価
  18. どことは言わんが小さいね。どことは言わんけども。

    • +1

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