
その表面には奇妙な文字やシンボルが刻まれており、何らかの魔術的な儀式に使われたと考えられている。
ギリシア神話の太陽神「ヘリオス」が描かれていることから現在「ヘリオスの魔球」と呼ばれるこの遺物は、発見以来大勢の考古学者を魅了し続けている。
The Magic Sphere of Helios - Apollo
4つのテーマが描かれた「ヘリオスの魔球」
この大きな大理石の球体は、アテナイ(アテネ)のアクロポリスの麓に建てられていた大型野外劇場「ディオニュソス劇場」で 1866 年に発見された。19、20世紀の古文献学者アルマン・L・ドゥラット氏によれば、ヘリオスの魔球には4つのテーマが描かれているという。1つは、頭から後光が広がる人物で、ギリシア神話の太陽神「ヘリオス(ヘーリオス)」と考えられている。
ヘリオスは、ティターン(巨大な姿をした神々)であるヒューペリオンとテイアの息子で、兄弟には月の女神セレネと暁の女神エオスがいるとされる。
魔球のヘリオスは、アーチの下に置かれた玉座に座っており、その右手にはムチを、左手には3本の松明を持つ。かたわらに侍る2匹の犬は、おおいぬ座とこいぬ座で一番明るい「シリウス」と「プロキオン」を象徴すると考えられている。

剣闘士が勝つための魔術的な儀式に使用された可能性
魔球は、勝負に勝ちたい人たちによって魔術的な儀式で使われたと考えられており、その表面にはさまざまな文字やシンボルが散りばめられている。たとえば、2つ目のテーマとして描かれるのは、大きな円とそれに囲まれた5つの重なり合う円だ。
5つの円には、「ΑΙΘΗΡ」「ΑΝΑΒΠΑ」「ΑΝΝΙΑΕΥ」「ΕΔΕΒΩΠ̣Ι」「ΑΠΙΟΒΙ」と刻印がある。さらに円同士が重なる部分には、「ΕΥΠΑΡ̣ΕC」「ΑΧΦΕΙ」「ΑΘΕΛΑ」とある。また円の下には「ΧΧΧ」「ΔΔΔΔ」「ΗΗΗΗ」という模様が彫られている。

ほかにもヘビや数字、「ΑΙΘΗΡ」とだけ読める不可解な文字もある。
なお「ΑΙΘΗΡ」は「エーテル」のこと。これはゲームなどではお馴染みの風・火・土・水の四大元素に加えられた5番目の元素で、当時は宇宙を満たしている物質であると考えられていた。

魔球が2〜3世紀の物である可能性
発見されたディオニュソス劇場は、もともと豊穣とワインと酩酊の神「ディオニュソス」の聖域の一部だったところだ。聖域が作られたのは紀元前6世紀頃で、劇場はその後に神殿の横に建設された。
1913年のドゥラット氏の研究では、魔球は行事のお守りとして劇場の近くに埋められたと述べられている。
ドゥラット氏の仮説によれば、そこに刻まれているシンボルは、スポーツや演劇などの競技で勝つためものだったという。
この仮説は、魔球が2〜3世紀(ローマ時代)のもので、剣闘士と関連があるだろうことからも裏づけられている。
紀元前86年、アテネはローマに占領された。その後ローマ人は、聖域と劇場を公演や剣闘士のために使うようになった。
References:The Magic Sphere of Helios, Ancient Greek God of Sun / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ノリノリの自由の女神みたいな絵がイイネ!
2. 匿名処理班
そんなに大事なモノなら置き去りにするかね?劇場だけになんかの重たい小道具かなんかやったらええな、深読みしすぎる現代の科学者の立場が無くなるw
3. 匿名処理班
助っ人外国人選手が投げてそうなネーミング
4. 匿名処理班
一種の籤のようなものだったんじゃないかね。
回したり転がしたりで止まったところがその日の吉凶みたいな。
5. 匿名処理班
割ると古代ギリシア人の
”He”が詰まっていそう。
6. 匿名処理班
実は7つあるかも。
7. 匿名処理班
>>2
埋められたとは書いてあるけど置き去りにされたとどこに書いてあるんだろ
8. 匿名処理班
ヘリオス ダイヤモンドは東海地区のCMでおなじみ
9. 匿名処理班
名前がゴッド・オブ・ウォーの武器やアイテムっぽいな。