この画像を大きなサイズで見るこれまで1種類しかいないと思われて来た「カツオノエボシ」だが、2025年6月に発表された研究論文で、少なくとも4種いることが判明したというニュースはすでにお伝えしたとおりだ。だが、さらに進展があった。
なんと第5のカツオノエボシが、日本の東北大学の研究チームよって宮城県で発見されたという。
その種は、宮城県の伊達政宗にちなんで、「ミカヅキノエボシ」と名付けられた。
5種目のカツオノエボシ属が日本で発見される
カツオノエボシは、長らくの間ひとつの種類しかいないとされて来た。
18~19世紀の一時期は、実は3種いるのでは?と考えられたこともあったそうだが、当時は見た目の個体差や地域差に過ぎないと判断され、以後はPhysalia physalisの1種のみが登録されていた。
だがその後、2025年6月、アメリカ、オーストラリアの国際研究チームの研究によって、数種いることが明らかになり、カツオノエボシ属は、以下の4種が区別されるようになった。
- Physalia physalis
- Physalia utriculus
- Physalia megalista
- Physalia minuta
だがこれだけでは終わらなかった。
2025年10月30日付の「Frontiers in Marine Science」誌に掲載された論文で、和名「ミカヅキノエボシ(学名:Physalia mikazuki)が新種として記載されることになったのだ。
このミカヅキノエボシが発見されたのは、2024年7月、宮城県仙台市の東に位置する蒲生海岸でのことだった。
この画像を大きなサイズで見る下の動画が、論文の共著者で東北大学教授のシェリル・エイムズ博士が撮影したもので、サンプルを採取した海岸の様子だ。
波に打ち上げられたミカヅキノエボシが、砂浜に点々と落ちているのがわかるだろうか。
そして下の動画は、生きているミカヅキノエボシである。美しいブルーの触手が非常に印象的だ。
ミカヅキノエボシのサイズは、浮袋の部分がおよそ4~8cm、触手部分は数十cmに達することがあるそうだ。
形態や遺伝子を比較した結果、新種と判明
この研究では、日本近海で採集されたカツオノエボシ属の群体について、形態観察と遺伝子解析の両面から詳細な調査が行われた。
研究チームは宮城県・仙台湾の海岸に打ち上げられた個体を採集し、浮袋の大きさや形、触手や個虫の配置など、群体を構成する各部位の特徴を、既知のカツオノエボシ属と比較した。
その結果、これまで知られているカツオノエボシ属とは一致しない形態の組み合わせが確認された。
さらに、ミトコンドリアDNAを用いた系統解析を実施したところ、これらの個体群は既知のカツオノエボシ属とは別の、独立した系統を形成することが示された。
こうして形態的な違いと遺伝的な独立性が確認されたとから、研究チームはこの群体を新種と判定したわけである。
本種と一般的に知られているカツオノエボシのサイズは、実はそこまで違わない。だからこそ、かつては単なる個体差だと思われていた。
浮袋(気泡体)はやや小さめで、色はカツオノエボシが紫がかっているのに対し、ミカヅキノエボシはより透明で、青緑に近い色合いをしている。
また、触手は鮮やかなコバルトブルーをしており、先端には黄色い「栄養個虫」が見られ、コントラストが美しい。
カツオノエボシ属はよくクラゲと間違えられるが、実はクラゲではなく、ヒドロ虫(個虫)が集まって「群体」を形成し、1匹のクラゲのような姿になっている。
その中でも「栄養個虫」は、餌を取り込み、消化を担当する個虫である。他にも有性生殖を担当する「生殖個虫」、一番長い触手で餌を捕まえる「感触体」といった部位があって、我々が目にするカツオノエボシ属の姿を形成しているのだ。
この画像を大きなサイズで見る東北で発見されたことの意味とは
これまで、カツオノエボシ属が東北地方で発見されたことはなかった。研究チームは、ミカヅキノエボシが比較的寒冷な海域で確認された理由について、外洋性生物の分布特性と海流の影響に注目している。
まず、カツオノエボシ属は自力で長距離を旅するのではなく、浮袋を使って海面を漂い、風や海流に大きく左右されながら移動する生き物である。
研究チームは仙台湾で採集された個体が、黒潮やその分岐流、あるいは外洋から沿岸へ流れ込む海流によって運ばれてきた可能性について言及している。
つまり、黒潮の北上や海水温の上昇など、気候変動がその分布に影響を与えているのではないかと示唆しているのだ。
もちろん、個体群が東北で見つかったからといって、直ちに「カツオノエボシ属の分布域が北へ拡大した」ことを意味するわけではない。
だが、この発見は外洋生物の出現パターンを理解するうえで、非常に重要な観察例だと言えるだろう。
和名のミカヅキノエボシ、学名のPhysalia mikazukiの両方に「三日月」が入っているのは、仙台藩の開祖・伊達政宗公の兜にちなんだもの。政宗公の兜の前立てが、三日月をモチーフにしているからだ。
なお、英語圏では早速、「サムライクラゲ(Samurai Jellyfish)」というあだ名がつけられているそうだ。
この画像を大きなサイズで見るちなみに、カツオノエボシは毒を持つことで知られているが、ミカヅキノエボシもおそらく同等の毒を持っていると推測される。海岸で見かけても、みだりに手を触れないように気をつけよう。
追記(2026/01/04)読みやすさの調整を行いました。














お洒落で上品な色ですなあ。
伊達者よのう
本当に海の生き物、怖いよな、、
皆!午年は海無し県に行こうぜ!
山においでおいで。
カツオノエボシがクラゲじゃないって方が驚きだわ。
新しく見つかったのだから、「しかも新種」という表現はおかしくないかい?
亜種ではなく別の種として新しく記載されたという意味でしょう。
リード文冒頭の1センテンスの中に「だが」「したが」という同種の接続詞が連続するのはあまりいい文章とはいえませんね。
かつ、「が」はこの場合順接の接続しとして使われています。
順接の「が」は曖昧文になりやすいので、注意が必要でしょう。
よそでやって
人の文章指摘しといて「接続し」なんていうタイポかますあたり、
本当に「よそへ行け」といいたくなりますね
水族館のふれあいコーナーの目玉になるな。
触れ合っちゃダメなやつ―!
オレはふれあう気はしないが
ギョウザノエボシの方がしっくりくる🥟
餃子に烏帽子はないけれども。
いたかったなあ
どれだったんだろう
風のせいなのか逃げる動きの渦によってなのか
離れてくれなくて難儀した
ぷかぷか愛らしくめっちゃ綺麗なんですよね
わお
「見た目は、実はそこまで大きくない。」は「見た目の差は、実はそこまで大きくない。」が正しいのでは?
7行目に誤字発見。
「宮崎県」とあるが、おそらく「宮城県」の誤植かと思います。
ものすごいおいしい出汁が取れるんだけど
熱を加えると猛毒の成分も分解されるので食えるらしい
打ち上げられてるからタヒんでるだろうと思って触らないほうがいいです
刺胞細胞は生きている
カツオノエボシが東北の砂浜に打ち上げられているのも珍しい感じだけど、
意外なほど小さいことにも驚いた。
海水浴シーズンだと、気づかないで踏んづけて刺されそうだ。