この画像を大きなサイズで見る子どもの時点でこれ。少年からにじみ出る天賦の才に震える。500年経って判明した、ミケランジェロの最初期の絵画が話題だ。
空中で魚のような鱗や棘をまとっていたり、鋭い爪をもつ悪魔に襲われる聖人。苦痛に耐える顔もリアルだ。
1487年ころ描かれた「聖アントニウスの誘惑」は、長らく“無名画家の複製”として扱われてきた。
ところが2008年の調査で、この1枚こそ、かの有名な芸術家ミケランジェロが12、13歳のころに描いたものと判明。その卓越した観察力と創造力が現代でまたも世界を驚かせている。
12、13歳ごろのミケランジェロが描いた“最初期の一枚”
ルネサンス期の芸術家ミケランジェロ(1475-1564)といえば、「ダビデ像」やシスティーナ礼拝堂の天井画が有名だが、初期の絵を知る者はほとんどいない。
しかもその作品が、たった12、13歳ごろのものというから驚きだ。
タイトルは「聖アントニウスの誘惑(The Torment of Saint Anthony)」または「聖アントニウスの苦悩」。1487年から88年ごろ 卵テンペラと油彩で板に描かれたもの。大きさは47×35cm。
この画像を大きなサイズで見るこれがミケランジェロが手がけ、かつ現存する作品の中で最も初期の絵画だという。
この絵は、空中に吊り上げられた聖人アントニウスが、四方八方から悪魔に襲われるという、宗教画にしてはかなり激しいシーンを描いている。
この画像を大きなサイズで見る「こんなに恐ろしげな絵を12歳、13歳の子どもが?」と思うのも無理はない。
実際この絵は、”大人が手がけたもの”とされ、変色したニスや上塗りの劣化もそのままに”無名画家の複製”と見られてきた。
「聖アントニウスの誘惑」の原画と原作
複製には当然ながら原画がある。それはドイツの版画家 マルティン・ショーンガウアー(1450 -1491) が、1470年から75年に制作した白黒の銅版画だ。
タイトルは「悪魔に苦しめられる聖アントニウス(St. Antonius von Dämonen gepeinigt)」だ。
この画像を大きなサイズで見るついでにその絵にインスピレーションをもたらした、いわば原作小説のようなものについて触れておこう。
原作に関しては諸説あるが、その一つとして挙げられるのがアレクサンドリアのアタナシオが4世紀に書いた物語「聖アントニウス伝」 だ。
その中で、主人公の聖人アントニウスは、空中で襲われたり、怪物たちに四方八方から襲われるなど、いくつもの試練に直面する。
とりわけ有名なのが、その中のワンシーン。悪魔から受ける試練(誘惑)の場面だ。
悪魔たちに殴られたり引っかかれたりされても、彼は叫びも怒りもせず、ひたすら静かに耐え抜いた。
いわばキリスト教の聖人伝にしばしばある“悪魔との戦い”の名場面だが、誘惑に屈することなく、“信仰の勝利”の象徴となった聖人アントニウスのエピソードは、中世からルネサンスにかけて人気を博した画題で、多くの芸術家に取り上げられた。
そんな時代の中、才能あるミケランジェロも、いわば、”ショーンガウアー版の「聖アントニウスの誘惑」”をお手本に、その画題に挑んだとされる。
画家の工房に入門。技術を磨いたミケランジェロ少年
幼い頃から彫刻や顔の模写、解剖学の観察に没頭する子どもだったミケランジェロは、1487から88年ごろ父の反対を押し切って、ギルランダイオ工房に入門した。
フィレンツェの人気画家ドメニコ・ギルランダイオが営む工房は、大規模な宗教画の制作でいつも忙しく、弟子たちは実践を通して技術を身につけた。
新入りのミケランジェロは、そこでも人体を理解する異常な速さと洞察力を見せ、周囲を驚かせた。
またその工房でも、ヨーロッパ北方地域の版画の複製は技術を磨くのに重要な訓練だった。
そこで手本になったものの一つが、売れっ子版画家ショーンガウアーの「悪魔に苦しめられる聖アントニウス」だ。彼は当時ヨーロッパで最も評価された版画家の一人であり、その作品はイタリアにも広く流通していた。
「聖アントニウスの誘惑」はただの複製ではない
ところがミケランジェロ少年が描いた「聖アントニウスの誘惑」は、長い間”無名の画家による複製”と考えられていた。
この画像を大きなサイズで見る変色したニスや上塗りの劣化のせいで、絵画自体も見えにくくなっていたが、専門家もまさか子どもが描いたものとは思わなかったようだ。
しかも才能あふれるミケランジェロのその作品は、ただの複製では終わらなかった。いわばオマージュのように、独自の表現や修正が随所にちりばめられている。
ミケランジェロ版の魅力
ショーンガウアーの絵と比べると、ショーンガウアーの怪物めいた悪魔たちは、象徴的で幻想的。言い換えればリアルさはあまりなかった。
この画像を大きなサイズで見る一方、ミケランジェロ版は全体に簡略化され、聖人を囲む悪魔に、実在する動物の特徴が盛り込まれている。
この画像を大きなサイズで見る実はミケランジェロはわざわざ魚市場に行って魚の鱗を観察したり、鳥や爬虫類の目や嘴(くちばし)を研究した。
この画像を大きなサイズで見るその特徴を盛り込むことで、悪魔をより生々しい動物的な存在として描き出した。
加えて版画は白黒だが、ミケランジェロは嵐の空、不気味な悪魔の色、聖アントニウスの重そうな修道服など、自らの感性で色を決め、物語を再構築した。
この画像を大きなサイズで見るまた絵の中では、異形の悪魔たちが、老齢の聖アントニウスを信仰心ごと揺さぶり落とすかのようにしがみついたり、こん棒やたいまつで殴りかかったり、鋭い爪で飛びかかっている。
それらに耐える聖アントニウスの表情も、より人間味がある。無表情に近い前者に比べ、苦痛と冷静さが入り混じる複雑な表情がうかがえる。
この画像を大きなサイズで見る背景にも注目だ。さりげなく描かれた山、渓谷や川、船なども、この”空中戦”が、足がすくむほどの高さで繰り広げられているという想像力をかきたてる。
この画像を大きなサイズで見るたった12、13歳でこの画力。やはりミケランジェロはただ者ではない。天才という言葉では足らないくらいの観察力と表現力をすでにして発揮していたことになる。
「作者不詳」扱いだったミケランジェロ作品の特徴
この絵画がミケランジェロ作品と認められるきっかけは2008年にさかのぼる。
当時サザビーズに「作者不詳」で出品されたこの絵画をアートディーラーが購入、その後メトロポリタン美術館でクリーニングと調査が行われた。
その経過については、美術専門 youtuberのInspiraggioが2025年6月に公開し、再生数11万回を超える動画「ミケランジェロの初の絵画」の中で、このように伝えられている。
何世紀にもわたって堆積した汚れの層の下に、独特の色のパレットが現れた。アップルグリーンとラベンダーなど、彼特有の色調や色の混ざり合いや人物の描き方。そのすべてが、数年後のミケランジェロがシスティーナ礼拝堂で用いる様式に酷似していた
続いて赤外線反射法で発見されたのが、修正跡だ。それがただの“複製ではなく、描きながら構図を変えた証拠”となった。
この画像を大きなサイズで見るつまりただの複製なら、元絵そっくりな下絵を描き、色を塗るだけで、途中で迷ったり修正する必要もない。
だがこの作品は、悪魔の質感や羽の位置、聖アントニウスの輪郭、背景など、描き手自身が試行錯誤し、よりドラマチックになるよう創作しながら描いた可能性が高い。
さらに色彩の特徴や筆致が、後のミケランジェロ作品と一致する点も確認されたことで、当時まだ少年だった彼のオリジナルといえる作品説が妥当性を帯びてきた。
500年経て専門家に初の絵画と認められる
アメリカ・テキサス州にあるキンベル美術館の専門家チームは、一連の調査結果を精査したうえで「反証が一つも見つからない」と判断。
2009年、この作品は正式に、芸術家としてミケランジェロが描いたイーゼル画4点のうちの1点と認められ、彼が描いた初の絵画として収蔵された。
なお興味深いことに、ミケランジェロは生涯のキャリアの中で油絵を蔑視していた、とも伝えられており、この鑑定に疑念を抱く人も少なからず存在する。
だが、キンベル美術館への収蔵から約10年後、さらに分析を行った美術史家ジョルジョ・ボンサンティも、これが若きミケランジェロの作品だ、と断言している。
ミケランジェロの才能がうかがえる貴重な一枚
現在、アメリカでミケランジェロの絵画が見られるのはこの1枚だけ。世界中の研究者が注目する「聖アントニウスの誘惑」が、ひっそりと展示されている。
この画像を大きなサイズで見る500年もの長きにわたり、”名も無き画家による複製”として扱われてきた「聖アントニウスの誘惑」。
この絵は、優れた作品で後世に名を残すことになるミケランジェロが、少年時代から稀有な才能の片鱗を発揮していたことを教えてくれる。
にしても12歳でこの画力って。スタートからして別格か。しかもその才能に磨きをかける修業時代もあったんだね。
というか500年経っても世界的に有名な立体造形の神様みたいな人だもの。絵がうまいのも納得だな。
References: Designtaxi.com / Openculture / Wikipedia
















芸術の世界ではどれだけ名声がものをいうかといういい例になりましたね。
ミケランジェロが子供のころに描いたとなった途端、評価が上がるわけです。
ミケランジェロの名前がなければただの複製画で終わったものがです。
無名のすごい技量を持った画家による複製画という評価ではなかったところがポイントですよ?
かのピカソは落書きみたいなイラストをたくさん残していて「ピカソ 落書き」で沢山見られるけど、例えばこれらにピカソのサインがなくて作者がわからなかったらどうか、と。一つにはそのようなことですよね?
逆じゃないかなあ。
”名も無き画家による複製”とされた絵画が500年も残されて来たという事実は絵画自体の価値を表している。
それが、ミケランジェロの作品だったことで皆が納得したと…
するとやっぱり、
今回の絵については、ミケランジェロの名前がなければただの複製画で終わったというわけでもなく、
無名の画家による複製画というものだけど一定の評価はされてたってことになるのかな
「無名画家の複製画」が500年保存されてる時点で価値ある
決めつけ思考の人間て「反証」の概念すら無いからあっさん論破されるよね
銅版画すっげ
ミケランジェロよりこっちが気になる
版画の方、最初あごひげ引っ張られてるのかと思った
「妨害」には見えても「誘惑」には見えないなぁ
「絵が上手い」ってまさにこの人のことを言う言葉だな
魚みたいなやつのトゲと模様、どこ向いているか分からない目
警戒せよと本能の警告がこみ上げてくる
私は魚とゾウというまさかのキャラ製造能力にぶっとび
眼福わぁ…🥺
西洋版画良いよね
西洋美術館で一番好きなコーナーだわ
俺には人気者の飼育員さんに見える
聖人が悪魔に大人気(色んな意味で)なのは
洋の東西を問わないので
間違いではないな
言われてみれば少年が特に好みそうなモチーフがタップリだね
しかも複製なら更に納得
本人は黒歴史として、ぜったい言わないだろうし
女神転生かな?
「我は聖人アントニウス、、、
今後ともヨロシク、、、」
誘惑というのは、感情をあらわにしてしまうことで、それに耐える聖人の図と解釈したけれどいいのかな?
まぁ、500年前といえば当然テレビもゲームも無く、今よりはずっと子供が興味を持ったことに傾倒していきやすい環境ではあった。
もしかしたら、世に出ていないだけで、ものすごい才能を持った子供がまだまだたくさんいたかも知れない。
「禍々しい」っていうけど、これ絶対「トゲトゲしてモンスターいっぱいでめちゃカッケー!」という12歳らしい少年心で描かれたと思う
「神よ・・・髪だけはお守り下さい」
悪魔さん頭はやめてあげて、もう彼のライフはゼロよ?
園児にモテモテの園長さんとかってこういう顔してるよな
500年前も同じ笑
どうやって特定したんだろう?
四方の悪魔から特撮怪獣のエッセンスを感じる。
むかしの人の考えた悪魔ってなんかカバエエのよね
怖いってよりキュート
お菓子売り場で騒ぐ子供らと母ちゃん
元の版画家の人も上手いのにいろいろ比べられてこきおろされてかわいそ