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食べると小人が見える謎のキノコ。既知の幻覚成分は含まれていないことが判明

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(著)

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生焼け状態で食べると誰もがコビトの幻覚を見るキノコ Image credit: Natural History Museum of Utah
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 生焼け状態で食べると小人が見えるキノコが存在する。中国とフィリピンに自生しており、中国・雲南省の市場では古くから食用として販売されている。

 国籍や文化的背景に関係なく、このキノコを食べた人のほぼ全員が「小人の幻覚を見た」と証言している。

 アメリカのユタ大学の研究チームがこのキノコのゲノム解析を行った結果、幻覚を引き起こすと知られているどの成分も検出されなかった。小人の幻覚を見る原因物質はいまだ未知のままだ。

この研究成果は『Mycologia』誌(2026年6月5日付)に掲載された。

参考文献:

食べると小人の幻覚を見る不思議なキノコ

 中国南西部の雲南省やフィリピン北部のコルディレラ地方に自生する、イグチ科ランマオア属のキノコ、ランマオア・アジアティカ(Lanmaoa asiatica)は、森に生えるマツの木の根と共生しながら育つキノコで、傘の裏側がヒダ状ではなく、無数の細かい管が集まったスポンジ状の構造になっているのが特徴だ。

 傘は赤みがかった色をしており、傷をつけると青く変色する性質を持つことから、中国では「見手青(ジエンショウチン)」と呼ばれている。

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ランマオア・アジアティカ(Lanmaoa asiatica)。中国では見手青と呼ばれ食用として市場に出回っている。Image credit:commons.wikimedia / CC BY 4.0

 雲南省の市場やレストランでは、古くから食用として扱われてきた。

 うま味が強く、アジアで評価の高い食用キノコとして親しまれている一方、十分に加熱しないまま食べると幻覚作用が強く出るとされている。

 雲南省のレストランの中には、中毒を防ぐため独自の調理・提供の手順を定め、このキノコと一緒に酒を飲むことを禁止している店もある。

 地元自治体もキノコのシーズンになると、中毒の危険性を知らせるショートメッセージを住民に向けて送信している。

 それでも中毒は後を絶たず、目の前に小さな人間のような姿をした存在が踊ったり、行進したり、食べた人をからかったりする幻覚を見るという。

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Image credit: Natural History Museum of Utah

実際に小人を見たという人の聞き取り調査

 今回の研究を行ったアメリカ、ユタ州の菌類学者コリン・ドムナウアー氏とブライン・デンティンガー氏率いる研究チームは、雲南省でこのキノコについて聞き取り調査を行った。

 ドムナウアー氏の聞き取りによると、夕食でこのキノコの炒め物を食べたという人物は、食べた後、渦巻く色や形が見え始め、テーブルクロスをめくると、その下に無数の小人たちが兵士のように整列して行進していたという。

 この人物が小人の身長を実際に測ったところ、約2cmだったと証言している。

 更に、雲南省の病院の記録によると、このキノコによる幻覚症状で受診した患者の96%が、小人や妖精のような存在の幻覚を見たと報告している。

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Image credit: Natural History Museum of Utah

同様の幻覚症状が複数の地域で報告されている

 小人の幻覚を引き起こすキノコは、中国以外でも確認されている。

 フィリピン北部のコルディレラ地方に暮らす先住民の間では、「セデスデム(Sedesdem)」と呼ばれる野生キノコを食べると小人が見えるという伝承が受け継がれてきた。

 研究チームが現地でキノコを採取しDNAを解析したところ、セデスデムは中国の見手青とまったく同じ種、ランマオア・アジアティカであることが判明した。

 1934年に外部の人間が初めて、インドネシアの東、ミクロネシア連邦の南にあるパプアニューギニアの山岳地帯に入ったときにも、よく似た現象が記録されている。

 現地の人々が「ノンダ(nonda)」と呼ぶ野生のキノコを食べた後に一時的に錯乱状態になる光景が目撃された。

 顔の周りに小さな人たちが見えると訴え、追い払おうとしていたという。

 なお、パプアニューギニアのキノコがランマオア・アジアティカと同じ種であるかどうかはまだ同定されていない。

 精神医学や神経学の分野では、小人が見える幻覚を「リリパット幻視(Lilliputian hallucination)」と呼ぶ。

 18世紀の小説『ガリバー旅行記』に登場する小人の国「リリパット」にちなんで名付けられた症状で、小さな人や生き物が現実の空間の中を動き回るように知覚される状態を指す。

 通常、幻覚の内容はその人の人生経験や精神状態によって大きく異なるが、国籍や文化的背景に関わらず、この種のキノコを食べた人のほぼ全員が同じ「小人の幻覚」を体験する点は、極めて異例だ。

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市場でランマオア・アジアティカを購入し、遺伝子や化学物質による劣化を防ぐために、化学保存処理を施すコリン・ドムナウアー氏ら。断面が青く変色しているのが分かる。Image credit: Natural History Museum of Utah Colin Domnauer

ゲノム解析の結果、既知の幻覚成分は発見されず

 研究チームはランマオア属のキノコ53点の全ゲノムを解析し、その中でランマオア・アジアティカについて、幻覚を引き起こす物質を作り出す遺伝子が存在するかどうかを詳しく調べた

 研究チームがまず確認したのは、いわゆる「マジックマッシュルーム」に含まれるサイロシビンという幻覚成分だ。

 サイロシビンは脳内の神経伝達を乱し、強烈な幻覚をもたらすことで知られている。

 次に、赤い傘に白い斑点が特徴的なベニテングタケに含まれる精神活性成分イボテン酸についても調べた。

 しかしランマオア・アジアティカの遺伝情報には、サイロシビンを作り出す経路もイボテン酸を作り出す経路も存在しなかった。

 以前に行われた化学分析でも既知の幻覚成分は一切検出されておらず、今回のゲノム解析はその結果を裏付けるものとなった。

 小人の幻覚以外にも、めまいや聴覚の異常、体調不良なども報告されているが、幻覚を含むこれらの症状を引き起こす物質はいまだ特定されていない。

@expedition.east

Tasting the famous “Jian Shou Qing” of Yunnan province. #chinatravel #chinesecuisine #yunnan #foodvlog

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原因は未知の物質である可能性

 研究チームは、科学者たちがまだ発見していない未知の化合物、あるいは未解明の生化学的な経路が存在する可能性を指摘している。 

 今回のゲノム解析は、ランマオア属の分類整理にも大きく貢献した。

 53点のサンプルから1,515の遺伝子を特定した結果、ランマオア属は現在17種と確定し、うち4種が新種だとわかった。

 ランマオア属のキノコは世界的に食用として取引されているが、外見が似た種同士の誤認が多発しており、毒キノコを誤って食べてしまう食の安全上の問題が指摘されている。

 今回の分類整理はその誤認リスクを減らすうえでも重要な成果だ。

 原因物質が解明されれば、まったく新しい種類の精神活性物質の発見につながり、人間の脳や精神の働きについての理解を大きく前進させる可能性があると研究チームは述べている。

この研究でわかったこと

・食べると小人の幻覚を見るキノコが存在する

・このキノコには、知られている幻覚の成分が入っていなかった

まだわかっていないこと

なぜ小人の幻覚が見えるのか、原因はまだわかっていない

References: doi.org/10.1080/00275514.2026.2670968

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この記事へのコメント 60件

コメントを書く

  1. スーパーマリオでキノコ取るとマリオがデカくなるが、実はマリオ以外が小さく見えてる説
    ファミコンの容量の限界によりマリオだけデカくすることでうんたらかんたら
    とかいう馬鹿なことを考えてしまった

    • +33
  2. カサの色もヤバいと感じるけど、断面の色もなんか不安になるな。
    なんで食べようと思えるんだ?

    • +20
  3. 食べたい、逆に。
    現代に生きるファンタジーじゃん。

    • +25
  4.  こういった物質の特定ってとっても大変みたいですね。 個人的には良い応用先があると良いのですが…… 完全に火を通すと失活するのだろうから熱に弱くて分解しちゃうのか、他の物質と化合してしまうのか、他に拮抗する物質ができてしまうのかなどいろいろ想像してしまいます。 うま味とキノコでイボテン酸の話が出てきましたが、とてもうまいらしいので毒性が問題にならない程度に味見してみたいなと昔から思ってますが適量がわからないのでチャレンジもできません >_<

    • +17
    1. イボテングタケをごく少量食べてみたことがあるけど、確かに旨味が濃くて美味しかった。とはいえ、他のキノコに無い特別な風味があるわけではなく、単に濃厚って感じだった。

      • +12
    1. だよね、みんな同じものを見る&幻覚成分なし、これで幻覚と言い張るのは科学的じゃない

      • +6
  5. 傷つけて青くなるならサイロシビンが含まれてそうなものだけどなあ。とはいえ、幻覚成分が入ってたとしても同じ小人の幻覚ばかり見えるというのは考えにくいから、集団催眠的なものが関係してるのかもね。

    • 評価
  6. 「キノコ食べたら小人が見える」
    なんて言われたら傷つくわ、、、

    • -8
  7. 幻覚が見えるようになるキノコじゃなく、目視できなかったものを目視できるようになるアイテムだったりして。
    紫外線とか人間には見えないけど動物には見えるし。
    ちょっと夢が広がるね。

    • +66
    1. カラパイア民的にはこのぐらいの発想をすべきな気がしてきた

      • +17
  8. 小人を見たいからちょっと興味ある。某野食の人とかに食べてもらいたい

    • +9
  9. リリパットって元ネタあったんだな(ラゴクエシリーズで出てくるモンスター名)

    • -8
    1. ガリバー旅行記、全部読み直して
      作者は政治家で風刺小説なんだけど

      • +6
  10. 見てみたい。日本のイグチ系にはないのかな…

    • +5
    1. 傘の裏ひっかくと青くなるってイグチ系のやつにあるよね。

      • +1
  11. 小人さんの欠点は計算をまちがえることぐらいなのだ

    • +6
  12. 食べて幻覚を見たとしても、文化的な違いで「別のものが見える」のかと思ったけど
    同種のキノコを食べていた遠く離れた地域でも「小人が見える」というのは面白いね

    アメリカの研究者の方々も、誤って食べて(意味深)しまたときに小人の幻覚を見るのだろうか?
    幻覚を起こす物質よりも、そっちの方が気になるw

    • +35
  13. イグチ系のキノコに似てるな。
    まぁキノコは一本一種とも言われてて、地域性で毒があったりなかったりする場合もあるからねぇ。
    幻覚性で身体に悪影響がなければ1度くらい試してみたいな。

    • +6
  14. 食べたら大きくなるキノコと
    キノコが大きくなる人間は見たことある

    • -6
  15. 幻覚で小人しか見えないなんて嘘くさすぎる

    • -23
  16. 別次元で生きてる小人がこのキノコのお陰で見えるようになったなら
    そりゃ毒成分ないということになる
    本当かどうかわからんが、答えはそのうちわかるだろう

    • +12
  17. 幻覚じゃなくて小人の世界と人間の世界の境界を超えるキノコだったり・・(夢があるなw)

    • +19
  18. 「見た目がちょっとキモいです・幻覚を見ます・原因不明です」よりも「美味しいです」の方が強いのか ヒトって業が深いね

    • +34
  19. ( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!
    ボクの髪の毛がいっぱいだあボクはもう禿げてなんかないぞう!!
    彡⌒ミ
    (´・ω・`)

    • 評価
  20. 同じ幻覚を見るキノコってなんだか面白いな

    • +17
  21. 周囲が見えるというので脳がそれを想定してしまって
    見えてしまったと錯覚ということもありそう

    • +3
  22. 小さいおじさんって
    もしかして、ひょっとして…

    • +10
  23. 似たようなキノコは日本にあるがこの種に幻覚成分ないし報告もない。
    研究待ちかな。

    • +3
  24. 食べると認識迷彩(見えているのに人間の脳がソレを認識しない迷彩、カモフラージュ迷彩が有名)が解けるんじゃない。
    その結果、小さい人を認識できるようになるとか?

    • +14
  25. 都市伝説の小さいおじさんを思い出した。
    原因が分からないなら、何か共通項があったりすんじゃない?

    • +6
  26. 揃って同じような幻覚を見るならば、脳の特定の場所にピンポイントで作用する成分だろうと想像できる
    幻覚を見てる最中にPETで調べるとかで、ある程度は絞り込めそう

    • +10
  27. 2cmって、蚊ぐらいだね ちっちゃいね

    • +5
  28. 雲南省とフィリピンに自生してるなら、日本でも沖縄あたりに自生してる可能性あるかも。普通に食用で売られてるなら毒性も弱いんだろうし、食べてみたいな。同じ場所に居る複数人が小人の幻覚を見たとして、その複数人の目撃内容は一致するんだろうか。小人は何かメッセージを伝えてきたりしないんだろうか。

    • +4
  29. うろ覚えで申し訳ないけど日本のSF作家の人で小人の大名行列の話を描いていたような 小松左京さんだったか? これを食べた人の話っぽい もしくはアルコール依存症か?

    • +4
  30. 実際に体験した人が、食べる前からその幻覚の話を知っていたかが気になるな

    • +12
  31. 小人が着ている服や持ち物は、世界共通なのかな?
    それとも幻覚を見た人の文化圏に左右されるのかな?

    • +12
  32. キノコで小人と聞くとmoonのカクンテ人を思い出してしまう

    • +1
    1. キノコの森の不思議なキノコはランマオア・アジアティカだった・・・?

      • 評価
  33. おもしろいな
    小人伝説のある地域はこういう食べ物を食べてたのかもね
    ちょっと火の通りが甘かった時だけ現れる
    日常的に食べていれば特定されづらい
    誰かがキノコのせいだ!と気づいても、そんなもんみんないつも食べてるわいと言われて一蹴される

    • +11
  34. 体内で消化される過程で何かに変化するのかね
    オカルト的なら自分達と位相が違うところが見えるようになったり

    • +3
  35. 小人が見えるとして、もし見える小人の容姿が地域の文化に依存するなら、日本人が食べたら平成狸合戦ぽんぽこの妖怪大作戦に出てくる小さな阿波おどり集団が見えたりするんだろうか

    • +3
  36. レビー小体型認知症になると小人や小動物を幻視してしまう 私の祖母も知人の母(外国人)も同じ病になり 始終「ほら、あそこに小人さんが…かわいいね」とか「また今日もあの子達が来てる」とか言って怖いやら不憫やらだった このキノコの成分に一次的にレビー小体を作り出す作用があるのかも

    • +16
    1. 逆にこういうキノコの存在が治療のヒントになったりしたら良いなあ

      • +17
  37. きのこを食べると、見えない小人さんが見えるって、小人さんはホントはいつもあちこちにいて、ちょっと物を隠したり、さりげなく何かを手伝ってくれてたりして。
    朝もうろうとした意識で子供の弁当作ってて「あれ?出来てる…」ってことが何度かあったけど、あれはもしかして……?

    • +3
    1. 小人の靴屋は似たような体験から生まれた話なのかな
      実はずっと共存してたのかもね

      • +2
  38. 不思議の国のアリスは、キノコをかじって自分の身体を大きくしたり小っちゃくしたりしていたなあ

    • +1
  39. 食べたいような食べたくないような…
    この地域以外でも小人を見る人がいるってことは身近にある何らかの化学物質の作用によるものなのかもしれないね

    • +1

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