この画像を大きなサイズで見る沖縄本島の海岸で、、熱で溶けたプラスチックがサンゴの骨格の細かな孔にしみ込み、もはや引き剥がせないほど一体化したサンゴ片が発見された。
海岸のごみを調査していた沖縄科学技術大学院大学(OIST)と琉球大学の研究チームは、この新たな汚染物質を「プラスティコーラル」と名付けた。
サンゴの破片は海に戻るとサンゴ礁の土台になるため、プラスチックがサンゴ礁の生態系を脅かすおそれがあるという。
この研究成果は『Marine Pollution Bulletin』誌(2026年9月4日付)に掲載された。
参考文献:
- New form of plastic pollution discovered on the shores of vulnerable coral reefs | EurekAlert!
- プラスチックと融合したサンゴ片を確認 サンゴ礁生態系への新たな懸念 | 沖縄科学技術大学院大学(OIST)
沖縄の海岸で見つかったプラスチックとサンゴの融合体
沖縄科学技術大学院大学(OIST)と琉球大学の研究チームは、沖縄本島の海岸でごみの調査をしていたとき、白いサンゴの破片の中に、小さく鮮やかな色の斑点が散らばっていることに気づいた。
研究チームがサンゴの破片を研究室に持ち帰って詳しく分析したところ、明るい色の斑点の正体は、家庭で広く使われているプラスチック製品の成分だとわかった。
プラスチックが熱で溶け、死んだサンゴの骨格にある微細な孔にしみ込んで、切り離せないほど一体化していたのだ。
研究チームは、このプラスチックとサンゴが融合した新たな物質を「プラスティコーラル」と名付けた。
プラスティコーラルは、沖縄本島北部のやんばる国立公園内にある伊部海岸や楚洲の浜など、3つの海岸で合わせて5個見つかっている。
楚洲の浜では、たき火跡の底からもプラスティコーラルが見つかった。
そのため研究チームは、海岸でのたき火の熱でプラスチックごみが溶け、死んだサンゴの破片と結びついた可能性が高いと考えている。
ただし、発生源を突き止めるにはさらなる研究が必要だという。人間が捨てたごみが、熱によって自然のサンゴと融合するという事態が起きているのだ。
この画像を大きなサイズで見る世界各地で相次いで発見されている「プラスチックの岩」
プラスチックが自然のサンゴや岩と融合したものが見つかったのは、今回が初めてではない。
熱で溶けたプラスチックが、砂や貝殻、木片、岩石などの天然の物質と混ざり合って固まったものは「プラスティグロメレート(plastiglomerate)」と呼ばれ、世界各地で報告されている。
プラスティコーラルはプラスティグロメレートの一種で、生き物がつくったサンゴの骨格と融合したものとして、新たに分類された。
2023年には、ブラジル沖の火山島で、パラナ連邦大学の研究チームがプラスチックの岩を発見した。
研究チームによると、海流で海岸に打ち上げられた捨てられた漁網が、気温が上がったときに溶け、浜の岩や砂と一体化したのだという。
同じ年、インドネシアのジャワ海に浮かぶ島の浜辺でも、別の研究チームがさまざまな形のプラスチックの岩を発見した。
この浜辺では、ごみの野焼きで溶けたプラスチックが岩などの表面を覆った「プラスティクラスト(plasticrust)」や、熱で溶けて石のようになった「パイロプラスチック(pyroplastic)」ができていた。
また、石油由来のタールにプラスチックが閉じ込められた「プラスティタール(plastitar)」も見つかっている。
この画像を大きなサイズで見る海へ戻ったプラスティコーラルがサンゴ礁生態系を脅かす
今回沖縄で確認されたプラスティコーラルは、海岸に打ち上げられた状態で見つかった。
しかし研究者たちは、この状態が長く続くことはないと指摘している。
海岸のサンゴの破片は、波によって再び海へ戻されることがあるからだ。本来、海底に散らばったサンゴ礫(れき)は、新しいサンゴが定着して成長するための重要な土台となる。
さらに、破片の間にできる隙間は、稚魚や小さな海の生き物が強い潮の流れや捕食者から身を隠すための大切な隠れ場所になる。
プラスチックと融合したサンゴが海に戻った場合、サンゴ礁の生き物にどのような害を与えるのかは、まだ調べられていない。
しかしこれまでの研究では、一般的なプラスチックから溶け出す化学物質がサンゴの繁殖を妨げることがわかっている。
さらに、プラスチックの破片がサンゴの病原体を運び、海の食物連鎖を通じてさまざまな生き物の体内に取り込まれていくことも知られている。
この画像を大きなサイズで見る未来の地層に刻まれるプラスチック時代「プラスチセン」
プラスチックは、セメントと鉄鋼に次いで世界で3番目に多く生産されている素材である。
セメントや鉄鋼が長い年月を経て劣化していくのに対し、プラスチックは自然界で非常に分解されにくく、長期間にわたって環境中に残り続ける。
水路や海へ流れ込むプラスチックごみの量が減る兆しは見えず、海の汚染は悪化の一途をたどっている。
海洋ごみ汚染は単なる環境問題を超え、地球の歴史に物理的な痕跡を残し始めている。
将来の地質学者が1950年代以降の地層を調べたとき、そこにははっきりとプラスチックの層が現れる可能性が高い。
正式な時代区分ではないが、1950年代以降を「プラスチセン( Plasticene:プラスチック時代)」と呼ぶ科学者もいる。
研究チームは、プラスティコーラルがサンゴ礁の地層に残るプラスチセンの目印になる可能性があると考えている。
サンゴとプラスチックの融合体は、人間活動が地球環境を作り変えてしまったことを示す証拠なのだ。
みんなが知りたい! サンゴのすべて きれいな色や形の魅力から海中での働きまでよくわかる (まなぶっく)
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References: DOI.10.1016/j.marpolbul.2026.120310
















