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恐竜キラーの異名を持つ、太古の巨大ワニの完全骨格標本レプリカ

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Image credit:Tellus Science Museum / Columbus State University
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 アメリカ・ジョージア州にある博物館には、約7,600万年前に生息していた、巨大ワニの全身骨格標本のレプリカが展示されている。

 このワニ形類の名前は「デイノスクス・シュウィメリ(Deinosuchus schwimmeri)」 。恐竜すら餌食にしたとされる、史上最大級かつ最も危険な爬虫類のひとつで、体長は10mほど、最大ではそれ以上に達した可能性もあるという。

 このレプリカは、1体丸ごとの化石をもとにして制作されたものではなく、複数の化石標本を研究したデータの集大成とでもいうべきものなんだとか。

 博物館を訪れた人にとっては、かつて地表を歩いていた超巨大ワニのリアルなサイズ感を味わえる、貴重な体験となっているようだ。

参考文献:

圧巻の超巨大ワニの全身骨格レプリカ

 まずはその迫力の全体像を堪能してほしい。カメラの画角に納まりきれないほどの巨大さが伝わるだろうか。

 「デイノスクス・シュウィンメリ(Deinosuchus schwimmeri)」は、恐竜が闊歩していた時代の白亜紀後期(約8200万~7300万年前)の北米大陸に生息していたワニ形類(ワニ形上目)だ。

 2020年、それまで一括りにされていた「デイノスクス」が再検討により複数種に分けられ、そのうち東部で出土する個体群が「シュウィンメリ」種に分類された。

 学名の「デイノスクス」は、デイノ(恐ろしい)+スクス(ワニ)の合成語で、「シュウィンメリ」は巨大ワニの研究に人生を捧げた古生物学者、デヴィッド・シュウィマー博士にちなんで命名されたものだそうだ。

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デイノスクス・シュウィンメリの予想復元図 Art credit: David W. Miller

 現生のワニとは近縁ではあるが、同じグループではなく、より原始的な系統に属する。

 デイノスクスは白亜紀の水辺に君臨していた超大型の捕食者であり、恐竜さえ襲った可能性があることから、「恐竜キラー」とも呼ばれている。

 体長は推定で8~10mとされているが、更に大きな個体も存在した可能性もあるという。

  特徴的なのはその頭部で、ぶ厚く頑丈な頭骨と巨大な歯を持っていたとされる。

 人間のサイズと比較してみるとこんな感じ。下から2番目がデイノスクスだ。パクリとひと呑みにされて終わりそう。

 実際の頭の化石の横に立ってみよう。これが生きて真横にいる状況など、あまり想像したくないな。

 ではティラノと比較してみよう。これはいい勝負になりそうである。「恐竜キラー」の異名も伊達ではないかもしれない。

40年にわたる巨大ワニ研究の集大成

 この種の化石は、主にアメリカ東部(ジョージア州やサウスカロライナ州など)で見つかっており、当時湿地や水場が広がっていた、この地域の環境に適応していたと見られている。

 さて、今回話題になっているのは、この巨大ワニの全身骨格のレプリカで、アメリカ・ジョージア州カーターズビルにあるテルス科学博物館で公開されている。

 制作は、シュウィマー博士と、博物館級の化石骨格標本の製作で知られるトリーボールド古生物学会社との2年間にわたる緊密な協力の成果である。

 シュウィマー博士は40年以上にわたり、デイノスクス・シュウィンメリの化石を探し、発掘し続けてきた研究者である。

今回のレプリカのベースとなったのは、彼が40年以上かけて各地で発掘・収集してきた複数の化石標本の集合だ。

 断片的な化石資料から、実物大で科学的根拠のある骨格を再構築するには、高度な技術作業が必要だった。

 博士によれば、トリーボールド古生物学会社は、化石標本を高解像度の3Dスキャンで取り込んで、骨格構造や特徴的な皮膚の装甲を再構成したのだという。

 つまり、このレプリカは1頭丸ごとの化石標本から再現されたものではなく、長年の研究で蓄積された複数個体のデータを統合し、科学的に整合する1体を「再構築」したものだと言えるだろう。

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博物館を訪れる人が古代生物の巨大さを実感する助けに

 こうして完成したレプリカは、デイノスクス・シュウィンメリの解剖学的構造に関する最新の科学的知見を反映している。

 その成果は研究者はもちろん、博物館を訪れる一般の人々に、かつて北米に生息した史上最大級の捕食者の姿をより鮮明に伝えるものとなっているのだ。

 シュウィマー博士自身は、このレプリカの意義についてこう語っている。

これらのレプリカは、単に恐怖心を煽るだけではありません。恐竜の捕食行動を理解することは、自然界における最も優れた生存戦略のいくつかを解き明かす助けとなります。

こうした古代の頂点捕食者を研究することで、私たちは時間を遡り、生命が変化する環境の中でどのように適応し、優位に立ってきたのかを明らかにできるのです

 また、テルス科学博物館の教育部長であるハンナ・アイスラさんも、レプリカが来館者に伝えられることについて、以下のように説明している。

毎年、ジョージア州全域および近隣の州からも、何千人もの学生が当館を見学に訪れます。

学生の多くは学校の校外学習で、自分たちの住む地域について、そしてその地域がどのように変化してきたのかをより深く学ぶために来るのです。

デイノスクス・シュウィメリの展示が加わったことで、白亜紀におけるこの地域の生態系をより詳細に伝えることができるようになりました

 また、同博物館の学芸コーディネーター、レベッカ・メルシャイマーさんも次のように付け加えた。

テルス博物館は現在、デイノスクス・シュウィメリのレプリカを所蔵している唯一の博物館です。ですから、これは他では決して味わえない体験です。

白亜紀後期に生息していた恐竜やその他の生物の大きさは、言葉や写真ではなかなか伝わりません。

デイノスクスの全長が約9mだと口で伝えることはできますが、実際に目にすると、その迫力ははるかに大きいのです

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image credit: Instagram @tellusmuseum

 テルス科学博物館は、世界レベルの化石コレクションや、岩石・鉱物標本のギャラリーで知られる博物館だ。

 もちろんそれ以外の展示も充実しているほか、プラネタリウムも併設されており、子供から大人まで楽しく学べる場所になっている。

 ロケーションはアトランタから北西に70kmほど行ったところ。科学や化石が好きな人は、機会があったらぜひ訪れてみてほしい。

Professor David Schwimmer Discusses Deinosuchus

References: First Ever Complete Skeletal Cast of 30-Foot Extinct Alligator–See it in Georgia

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この記事へのコメント 1件

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  1. ひえー
    こんなのいたら人間なんかひとたまりもないな
    ・・・と思う一方で、こんだけデカいと寒冷化したら食べるものなくなってそりゃ全滅するよなとも思う

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