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恐竜絶滅後、頂点捕食者として君臨した巨大なワニの化石をカリブ海諸島で発見

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Illustration by Jorge Machuky
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 小惑星の衝突により恐竜が絶滅した後、新たな頂点捕食者が出現した。それが恐竜絶滅後から1100万年の間、南米の大地を支配したワニの仲間「セベクス」だ。

 新たな研究では、これまで存在しないとされていたカリブ海の島々にも、このグレイハウンドのように長い手足を持つワニが生息していたことを明らかになった。

 カリブ海の島々がセベクスにとって最後の楽園だったのかもしれない。それと同時に、3300万年前に存在したとされる仮説上の陸橋「ガーランディア(GAARlandia)」が本当にあっただろうことをも裏付けているという。

カリブ海周辺で発見された頂点捕食者の歯の化石

 30年前、カリブ海の北側にあるキューバで1800万年前のものと思われる2本の歯の化石が発見された。専門家はこの発見に戸惑うことになる。その鋭い形状が、紛れもなく頂点捕食者の歯であることを示していたからだ。

 それまで、カリブ海の島々でこれほど大型の陸生捕食者が存在した痕跡はまったく見つかっていなかった。つまり頂点捕食者の歯の化石など、キューバで見つかるはずがないものだったのだ。

 ところが、その後やはり、カリブ海に接するプエルトリコでも2900万年前の歯が発見され、謎はいっそう深まることになった。

 状況が一変したのは、2023年初頭のことだ。やはりカリブ海に接するドミニカ共和国で新たな歯の化石が発見されたのだ。

 フロリダ自然史博物館の古生物学者ジョナサン・ブロック氏は、最初に抱いた疑問は「これは一体何の歯なのか? ということでした」と、語っている。

 だが幸いにも、このときは歯と一緒に2点の椎骨までもが掘り出されていた。これが謎を解明する大きな手がかりとなる。

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セグベスの頭骨 Smokeybjb / WIKI commons CC BY-SA 3.0

先史時代の頂点捕食者「セベクス」だったことが判明

 化石の調査から明らかになったのは、ドミニカで発掘された歯の持ち主が「セベクス」という先史時代の陸生爬虫類であることだ。

 セベクスは、絶滅したワニの近縁グループだ。肉食動物で、「ノトスクス亜目」の最後の生き残りの一つとされている。

 ノトスクス亜目は、主に中生代〜新生代初期にかけて存在した多様な生活様式を持つグループで、ほとんどが陸生である点がワニ類とは大きく違うが、肉食恐竜顔負けの獰猛さという点では共通している。

 長くしなやかな手足で獲物を追い、鋭い歯と強力なアゴで肉を引き裂く。中には体長6mに達する種もおり、皮膚には鎧のような骨板があったと考えられている。

 だがいかに力強い生物であっても、自然の力には敵わない。6600万年前に落下した小惑星による地球環境の激変は、恐竜を絶滅させ、ノトスクス亜目をも絶滅寸前に追い込んだ。

 ところが南米に生息していたセベクスだけはどうにか生き残り、恐竜のいなくなった地で頂点捕食者の座に就くことになったのだ。

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セベクスの復元予想図 FunkMonk / WIKI commons CC BY-SA 3.0

セベクスはどうやってカリブ海諸島に渡ったのか?

 問題は、海に隔てられていたはずのドミニカ共和国で、なぜセベクスの歯が発見されるのかということだ。

 このことは当時の地形に関するとある仮説を裏付けている可能性がある。この仮説を「ガーランディア仮説(GAARlandia hypothesis)」という。

 それによれば、3300万年前、カリブ海の島々を構成する大アンティル諸島と南米大陸は一時的につながり、陸橋を形成していたのだという。

 当時の生き物たちは、ここを渡って現在は島となったカリブ海地域へと移住することができた。

 もしもドミニカ共和国だけでなく、ほかの島々で発見された歯もまたセベクスのものだとするならば、彼らは南米大陸からこの地にわたり、ほかの地域の仲間が絶滅した後数百万年間も生き残っていたということになる。

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動物や植物の種は、失われた陸橋を渡って南アメリカから歩いて大アンティル諸島に定着したと推測されている public domain/wikimedia

新発見が相次ぐカリブ海周辺

 だが今日カリブ海の島々で見られるのは、鳥・ヘビ・ワニといった小さな捕食者たちだ。

 ブロック氏は、「現代の生態系を眺めただけでは、こんな事態を予見できなかったでしょう」と語る。

 なお今回の研究は、最近カリブ海地域から相次いで報告されている驚くべき発見の一つにすぎないとのないとのこと。

 本研究の主執筆者であるフロリダ自然史博物館ラサロ・ビニョーラ=ロペス氏らは、カリブ海地域では初となるモササウルスや、イスパニョーラ島最古のナマケモノの化石を発見しており、この地域の古生物学的記録の空白が埋められつつある。

 さらに人類がやってきたことで、この地域固有の齧歯類が絶滅したことを示す証拠も見つかったという。

 カリブ海の島々からは今後も素晴らしい発見があると期待されており、ビニョーラ=ロペス氏は「セベクスは氷山の一角にすぎません」と新発見へ向けた自信をのぞかせている。

 この研究は『Proceedings of the Royal Society B』(2025年4月30日付)に掲載された。

References: A South American sebecid from the Miocene of Hispaniola documents the presence of apex predators in early West Indies ecosystems / Giant croclike carnivore fossils found in the Caribbean

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この記事へのコメント 8件

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  1. >ほかの地域の仲間が絶滅した後数百万年間も生き残っていた

    これはモンスター映画の導入として最適ですわ
    『ドミニカ共和国で近年多発するようになった故不明者、それは奴らの仕業だった!』とか

    • +10
  2. 恐竜が支配的になる前の三畳紀頃にも
    ワニが頂点捕食者として君臨した時期があったそうだけど、
    大型肉食動物にしては環境変化に強いのかな
    省エネ体質で餌が少なくても耐えられたり

    • +8
  3. 南極は環境が安定していたらしいしこの陸ワニも南極生き残りの子孫が北上してきたのかも

    • +1
  4. ワタシはセイシ”ュウ セヘ”ク 
    コンコ”トモ ヨロシク…

    • +1
  5. この周辺に落下してきたんだよね?
    繫栄して南米から北上してきたのか

    • +1
  6. いつも思うけども、全身骨格が発見されればまだしも、歯が何本か発見されただけで「そこにいた!」認定ってどうなんだろう。
    長い時間のなかれのなかで、嵐や地殻変動とかで別の場所から流されてきたとかそういうのはないのかな。
    …まぁ、研究者はその辺も充分織込み済みか。

    • -1

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