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エジプトで3000万年前の最強捕食者が発見され、猫の神「バステト」にちなんだ名を授かる

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(著) (編集)

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バステトの名にちなみ、バステトドンと名付けられた最強捕食者 Credit: Ahmad Mors
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 今から3000万年前、現代のエジプトにあたる地域では大型ネコ科のような姿をした肉食動物が頂点捕食者として君臨していた。

 砂漠で発見されたほぼ完ぺきな頭蓋骨の化石からは、鋭い歯と強力なアゴで、進化を始めたばかりの私たちの遠い祖先、原始的な類人猿を狩っていただろうことが明らかになっている。

 今回の発見で初めて確認されたこの新種は、古代エジプトの神話に登場する、猫の頭を持つ女神「バステト」にちなみ、「バステトドン(Bastetodon)」と名付けられた。

鋭い歯を持つ頂点捕食者の頭蓋骨の化石を発見

 エジプト、マンスーラ大学をはじめとする古生物学者によって「バステトドン」のほぼ完全な頭蓋骨の化石が発見されたのは、カイロ南西にある「ファユム低地」の3000万年前の地層だ。

 現在は砂漠だが、当時は豊かな森林で、さまざまな生き物が生きていた。そのため、ファユム低地はアフリカ大陸における哺乳類1500万年の進化を伝える重要な場所として知られている。

 発掘された頭蓋骨の化石から、バステトドンは鋭い歯と強力なアゴの筋肉を持っていたことが判明している。大きさは現代のヒョウほどで、そのマズルや歯はネコにも似ている。

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Credit: Professor Hesham Sallam
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発見されたバステトドンの頭蓋骨の化石の詳細 image credit:Al-Ashqar et al.、J. Vertebr. Paleontol.、2025

 そこでエジプト神話の猫の頭をもつ女神「バステト」にちなみ、「バステトの歯」を意味する「バステトドン(Bastetodon)」の名がつけられた。

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研究著者のショルーク・アル・アシュカール氏とバステトドンの頭蓋骨の化石、向かって左側はバステト像  image credit:Professor Hesham Sallam

 ファユム低地は、古代エジプトの遺物がよく見つかる場所でもあるため、これに敬意を込めたものでもある。なお猫が崇拝対象だった古代エジプト人は、猫が亡くなると、ユニークな方法で哀悼を示したそうだ。

 その当時は初期の霊長類、すなわち私たちの遠い祖先が進化を始めた頃だ。

 頂点捕食者の一種だったバステトドンが捕食していたのは、そうした霊長類だ。ほかにも初期のゾウやカバなども獲物にしていたと考えられている。

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ファユム低地の砂漠で発掘された、バステトドンの頭蓋骨の化石  image credit:Professor Hesham Sallam

アフリカから旅立ち世界に君臨した肉食動物グループ

 ちなみにバステトドンは、「ヒアエノドン科」という絶滅した肉食哺乳類のグループの仲間だ。

 ヒアエノドンは、ハイエナ・イヌ・ネコといった現代の肉食動物が出現するよりずっと前に進化したグループで、ハイエナに似た歯(ヒアエノドンは「ハイエナの歯」という意味)を持つ。

 ヒアエノドン科には、ほかにもエジプト神話の神の名を関する動物がいる。ライオン頭の女神「セクメト」にちなんで命名された「セクメトプス(Sekhmetops)」だ。

 これまでセクメトプスは、ヨーロッパに起源を持つヒアエノドン科の仲間とされてきた。だが今回の研究によって、バステトドンとセクメトプスはどちらもアフリカが起源であることが示されている。

 古代エジプトでは、バステトとセクメトは同一視されることもあったが、今回の調査ではその名の関した古代の動物たちにも関係があることが判明した。

 またバステトドンとセクメトプスの仲間は、いく度かにわけてアフリカを飛び出し、やがてアジア・ヨーロッパ・インド・北アメリカに広まっただろうこともわかっている。

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パステトドンとセクメトプスの生息地と生息時期  image credit:Al-Ashqar et al.、J. Vertebr. Paleontol.、2025

 1800万年前までには、こうしたヒアエノドン科の一部は、哺乳類としては地上最大級の肉食動物へと進化した。

 だが、やがて気候変動やアフリカのプレート活動の影響で環境が大きく変わると、ヒアエノドンはだんだんと数を減らし、ついに絶滅した。

 エジプトのファユム低地はこうした哺乳類たちの盛衰の物語を伝えてくれる。

 研究チームの1人、米国デューク大学のマット・ボース博士はニュースリリースで次のように語る。

ファユム低地は、アフリカでもっとも重要な化石発掘地の一つです。これがなければ、アフリカの生態系の起源や、ゾウ・霊長類・ヒアエノドンのようなアフリカ哺乳類の進化について、私たちはほとんどわからなかったでしょう(マット・ボース博士)

 ファユム低地は100年以上にわたり研究が行われてきたが、ここにはまだまだ新発見が眠っていそうだ。

 この研究は『Journal of Vertebrate Paleontology』(2025年2月16日付)に掲載された。

References: Near-complete skull discovery reveals ‘top ap | EurekAlert! / Tandfonline

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この記事へのコメント 9件

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  1. ドンって、「歯」の意味だったのか。。。

    • +11
    1. 歯は丈夫で化石に残りやすいから
      歯にちなんだ名前になる古生物は多いね

      • +4
    2. メガロドンもサメが軟骨動物だから歯しか残っていないんだよね

      • +2
  2. トトメス2世のお墓の確定もそうだし、最近のエジプトの発見は驚きが大きい。

    • +1
  3. バステト様は最初はライオン頭。猫の家畜化後に徐々にネコ頭になった女神様
    なおライオン頭の神様は別にいる模様

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  4. バステトよりセクメトだなと思ったらそっちはもう使われてたのか

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