心にともしび。薪にかざした自分の手で子ヤギをあたためようとする少年のやさしさ

　純真無垢な動物と子供がタッグを組むと、大人の涙腺は崩壊状態となる。この日はきっと寒かったのだろう。小さな男の子は、子ヤギの体をあたためたかった。

　膝の上に乗せた子ヤギに、なんとかあたたまってもらおうと、少年は薪に手をかざし、まずは自分の手を熱であたためた。

　その手を子ヤギに押し当て、子ヤギの体をあたためる。それを何度も繰り返していたのだ。

子ヤギの体をあたためたい少年

　人間の最大の強さは心の中にあるやさしさだ。小さな子供はいとも簡単にそのやさしさを引き出し、惜しみなく与えることができる。

　この少年は、大好きな子ヤギが寒がっているんじゃないかと心配した。そこで、薪を燃やした残り火に手をかざし、まずは自分の手をあたためる。

　そしてその手をギュっと子ヤギの体に押し当てた。こうすることで熱が子ヤギへと伝わり、あたためられると思ったようだ。 　少年は、何度も同じ動作を繰り返、子ヤギの体をあたためようとする。体の一部だけではなく、全部があたたかくなるように、手を移動させながら子ヤギに触れていく。 　少年の体温と火の熱、そして心の中にあるやさしさの灯が相まって、子ヤギは身も心もあたたまったことだろう。

　なにげない少年の子ヤギにたいする行動は、中年のおばさんの涙腺を崩壊させるのに十分な威力をもっていたことだよ。そして私の心もあたたかくなってきたぞ。もうする春がやってくる。

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written by parumo

追記（2023/02/26）：犬ではなく子ヤギでした。間違いを訂正し再送します。
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