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南極にあった巨大山脈が、生物の爆発的進化「カンブリア爆発」を後押し

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(著)

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Image by pixabay / aprilrose
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 約5億4000万年前、突如として多種多様な動物が一気に現れた。「カンブリア爆発」は地球の生命史における最大の謎だ。

 この爆発的進化を後押ししたのは、かつて南極にそびえ立っていた巨大な山脈だったかもしれない。

 オーストラリア国立大学などの研究チームが南極の海底堆積物を調べたところ、ヒマラヤ級の幻の山々が削られたことで海に膨大な栄養が流れ込み、大気中の酸素が大幅に増えていた可能性が示された。

 この研究成果は『Earth and Planetary Science Letters』誌(2026年9月12日付)に掲載された。

参考文献:

南極の海底の鉱物が明かした氷の下の巨大山脈

 見渡す限り氷と雪に覆われた、現在の南極大陸だが、大地の地下には、気の遠くなるような大昔に存在し、跡形もなく削られて消え去った巨大山脈の痕跡が眠っている。

 太古の地球で大陸同士が衝突し、巨大な山脈がいくつもつくられていたことは、2022年の先行研究ですでに示唆されていた。

 しかし、南極大陸は99.5%以上が厚い氷に覆われているため、地下にどのような山脈があったのかはほとんど分かっていなかった。

 オーストラリア国立大学のベイ・チェン博士とイアン・キャンベル教授らは、この謎を突き止めるため、南極周辺の海底から掘り出された堆積物に含まれる1,712個の微細なジルコンと呼ばれる鉱物を分析した。

 ジルコンは極めて頑丈な鉱物で、内部に含まれるウランが一定の速度で鉛へと変化する性質を持つ。

 ウランと鉛の比率を調べることで、岩石がいつ結晶化したかを高精度で特定することが可能となる。

 研究チームが分析したジルコンを詳しく測定したところ、大半の粒子が約6億5000万年前から4億5000万年前に作られたものであることが明らかになった。

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Image by pixabay / zhrenming

地球史上最大規模の超巨大山脈だった

 ジルコンが誕生したこの時代は、ゴンドワナ大陸が形成されていた時期と重なっている。

 ゴンドワナは、現在の南極、南米、アフリカ、インド、オーストラリアなどが1つに合体した広大な超大陸だ。

 大陸サイズの巨大な地塊同士が凄まじい力で衝突した結果、ヒマラヤ山脈のような高い山脈が各地で隆起した。

 衝突でできた山脈の長さは合計およそ2万kmにおよび、現在のアルプス山脈からヒマラヤ山脈へと続く山脈帯の2.5倍以上にもなる。

 採取されたジルコンを世界中の河川堆積物データと比較したところ、これらの鉱物は超高圧がかかる山脈の奥深くの根元で作られた特徴を明確に示していた。

 地球史上最大の山脈ネットワークだったことから、研究者らはこれを「ゴンドワナ超巨大山脈」と呼んでいる。

 ヒマラヤ山脈とチベット高原に匹敵する巨大な山脈が、かつての南極大陸の上にそびえ立っていたのだ。

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超大陸ゴンドワナの復元図。中核となる古い大陸の塊(地塊)と、その内側と外縁にできた造山帯(大陸の衝突などで山脈が形成された地帯)を示している (Gray et al., 2008をもとに作成) image credit:Earth and Planetary Science Letters (2026). DOI: 10.1016/j.epsl.2026.120330

カンブリア爆発の時期、削られた山脈の物質が海へ流出

 だが、どんなに雄大な山脈も永遠には続かない。

 数千万年以上の歳月をかけて、水や氷による風化と侵食を受け、巨大な山々は徐々に削られていった。

 研究チームの推定によると、カンブリア爆発の時期に世界の海に積もった堆積物のうち、半分近くは南極の山脈から削られてきたものだったという。

 カンブリア爆発は、約5億4000万年前以降、化石に残る動物の種類と数が急激に増えた現象である。

 山脈が削られたとき、海へと流れ込んだのは大量の泥や砂だけではなかった。

 岩石に含まれていたリンや鉄、生物の殻の材料となるカルシウムといった、生命を育むために欠かせない栄養素も、海へと運ばれたのだ。

 海洋の生態系を支える植物プランクトンなどの光合成微生物は、海に届いた豊富な栄養を吸収して大繁殖した。

 微生物たちが活発に光合成を行った結果、大量の酸素が生み出されることになった。

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炭素の埋没と酸素の増加がカンブリア爆発を後押し

 しかし、光合成によって酸素ができるだけでは、大気中の酸素濃度を高めるには足りない。

 生物が死ぬと、体を作っていた炭素が酸素と結びついて分解され、二酸化炭素に戻ってしまうため、生み出された酸素は消費されてしまう。

 ここで重要な役割を果たしたのが、山脈から削られた大量の土砂だった。

 海底に次々と積もった土砂が、微生物の死骸に含まれる有機炭素を急速に埋めたのだ。

 炭素が酸素と再び結びつくのを遮断したことで、大気中には消費されなかった酸素がたまり、大気中の酸素濃度が大きく上昇していった。

 こうして整った「豊富な酸素」と「豊かな栄養」という整った環境が揃い、約5億4000万年前に多様で複雑な動物たちが一気に現れ、カンブリア爆発につながったとみられている。

 研究チームは「地球史上最も劇的な進化の時期が、地球で最も重要な山脈形成の時期と重なっているのは、偶然とは考えにくい」と述べている。

References: DOI.10.1016/j.epsl.2026.120330

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この記事へのコメント 12件

コメントを書く

  1. カンブリア紀に外骨格を持つ生物が増え化石に残り易くなたため、爆発に見えるということだったかと思います。
    当時の南極の山から削られ海に積もった堆積物に含まれるカルシウムなどを利用したということなのですかね。

    我々脊椎動物の元の脊索もこの頃ということですから、この山からの恵みが無ければ、軟体動物の世界が訪れていたのかも知れませんね。
    手塚治虫の「火の鳥」には、知性を持った頭の大きい直立のナメクジが登場しますが、あながちあり得なかったわけではなさそうですね。

    • +11
  2. 南極‥‥‥山脈‥‥‥‥生物‥‥‥‥進化‥‥‥
    うぅぅ頭が痛い!!

    • +12
  3. なんらかの形で地形の変化が効力を発揮するってのは有り得るかも知れない

    それはさておき、海棲でも無ければカンブリア紀でも無い、石炭紀からペルム紀にかけて存在した巨大節足動物アースロプレウラの画像があるのはなぜですか?

    • +1
    1.  なんででしょうね。 炭素を埋没させる話があるからその後の石炭紀には植物が大躍進して大森林が形成されたのでそのころの生物の図を置いておきたかったとかくらいじゃないですかね。 あんまり細かいところまで意図を考えると大変だから「そこまで考えてないと思うよ」(出展:月刊少女野崎くん)みたいな感じで流して良いと思います。 私には面白い記事でした。 そして、コメントからアースロプレウラという名前や Wikipedia の方も面白かったので一つの記事で二度おいしかったです ❤

      • +2
  4. 「テケリ・リ! テケリ・リ!」

    • +8
  5. いくつか自分の中では謎が生まれたな
    1.造山運動がどれほどの期間で成しえたのか?
    2.何故南極の高山だけ削られたのか?
    3.カンブリア生物爆誕期から大量絶滅迄条件が良く餌も豊富なのにたいして強力な捕食者(大型魚類など)が生まれていなかったのが謎
    宇宙の謎は諦めもつくけど地球や海の謎はモヤモヤするな

    • +3
  6. 以後「狂気山脈」(1931、H・P・ラヴクラフト作)禁止
    この作品に登場する「古のもの」は先カンブリア期に地球に飛来し、南極を中心に活動して海中で様々な生命を創造する

    • +5
    1. ただ今より狂気山脈を再開する!!

      • +1
  7. 全球凍結が終わった頃だから風雨による侵食が一気に進んだんだろうね。巨大山脈と生物の関係で身近なところではヒマラヤ山脈の隆起が東アフリカを乾燥化させたりスンダランドを生んだりして人類の進化に大きく関わっている。

    • +2
  8. そうは言っても太古のウミユリと生存競争してた邪神とか失笑モンですよ

    • -1

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