この画像を大きなサイズで見るアメリカ・ニューヨーク州の墓地から蜂の大群を発見した。きっかけは、同州コーネル大学の研究チームの一人が墓地で経験した出来事だ。
コーネル大学と駐車場の最短ルートにある墓地を通り抜けていたところ、足元のいたるところに土の中に巣をつくるハチ(地蜂)がいる奇妙な光景に出くわしたのだ。
あらためて調べると、その墓地の地下でおよそ550万匹もの地蜂が100年以上も前から生息していることがわかった。
記録の中では史上最大級かつ最古とみられる、超大規模な地蜂の群れだ。
この研究成果は『Apidologie』誌(2026年4月13日付)に掲載された。
参考文献:
- 5.5M ground nesting bees make home in Ithaca cemetery | Cornell Chronicle
ニューヨーク州の墓地で地中営巣性の蜂を探す研究チーム
2026年6月、アメリカ・ニューヨーク州イサカを本拠地とする名門校、コーネル大学の昆虫学教授ブライアン・ダンフォース教授と、研究助手のヘンリー・スタイグ氏は、同州にあるウェブスターユニオン墓地で、いつものように地面を見つめながらゆっくり墓地を歩いていた。
探しているのは、地面に穴を掘り巣を作る野生のハチ(地蜂)だ。
この画像を大きなサイズで見る2人を含む研究チームは、数年前からニューヨーク州一帯の墓地を巡り、墓地が地蜂にとって理想的な環境になりやすい理由を探す調査をしている。
この日見つかったのは、ムカシハナバチ科の一種、Colletes thoracicusだった。
この蜂は、初夏によく見られる種で、数か月前に確認した種とは異なるものの、地中に巣を作る生態は共通していた。
ダンフォース教授らは、近隣のホワイト・ヘイブン記念公園でも同様の調査を行っている。
2人が墓地に潜む蜂を初めて確認した場所は、コーネル大学そばの墓地だった。きっかけは4年前、研究チームの一人が近道で偶然目にした奇妙な光景だった。
節約のための近道で蜂の大群に遭遇
2022年春、コーネル大学の昆虫学研究室で技術員として働くレイチェル・フォーダイスさんは、通勤で使う車の駐車料金を少しでも節約するため、大学付近の駐車場に車を停めて、大学まで歩くときにイーストローン墓地を通り抜ける近道を使っていた。
ある日、フォーダイスさんが蜂を瓶に集めて研究室に持ち帰り、指導教員であるダンフォース教授に「墓地に行くとこういう蜂が足元のそこらじゅうにいるんです」と伝えた。
調べてみると、その蜂はヒメハナバチ科に属する蜂(学名:Andrena regularis)だった。単独で行動し、地面を掘って巣を作る野生の蜂で、農作物や野生植物の受粉を助ける種だ。
この報告を機に、研究チームはイーストローン墓地の本格的な調査に乗り出し、これまでに記録された中でも最大級、かつ最古とみられる、地蜂の大群をつきとめた。
この画像を大きなサイズで見る推定約550万匹の地蜂がイーストローン墓地に生息
研究チームの推定によると、イーストローン墓地には、約1.5エーカー(約6,070平方メートル)の範囲に、およそ550万匹もの地蜂が生息している。
これはミツバチの巣箱200個分以上に相当し、マンハッタンの人口の3倍を超える数だという。
研究チームは「羽化トラップ」と呼ばれる新しい調査手法でこの数字を導き出した。その手法は1平方メートルもない小さな網状のテントを地面にかぶせ、地中から羽化して出てくる昆虫をガラス瓶へ誘導するやり方だ。
2023年3月30日から5月16日にかけて墓地内に10個のトラップを設置したところ、蜂、甲虫、ハエなど16種、合計3,251匹の昆虫が採集されたが、そのほとんどがヒメハナバチ科に属する蜂だった。
この画像を大きなサイズで見る各トラップで捕獲した個体数から、墓地全体の平均密度を算出した結果、推定される総個体数は310万匹から800万匹となり、平均は550万匹だった。
この画像を大きなサイズで見るトラップ調査では、性別による出現時期の違いも明らかになった。雄のヒメハナバチ科の蜂は4月の暖かい時期に真っ先に地上へ現れ、雌はそれから数日遅れて出現する。
雄が先に出て雌を待つのは、交尾の機会を最大限確保し、自分の遺伝子を次代に残すためだと、研究筆頭著者のスティーブ・ホージ氏は説明する。
こうして2023年の調査結果をまとめた論文は、2026年4月13日付で学術誌『Apidologie』に掲載された。当時コーネル大学の学部生だったホージ氏(2024年卒業)は、これまでに発表された文献の中でも今回の群れは最大級のものの一つだと振り返る。
墓地がヒメハナバチ科の蜂の楽園になった理由
過去の記録によると、ヒメハナバチ科の蜂は少なくとも1900年代初頭からイーストローン墓地に生息していた。墓地自体は1878年に開設されたという。
この画像を大きなサイズで見る研究者たちは、これらの地蜂が墓地に多く暮らす理由として、静かで人の手がほとんど入らず、農薬もほとんど使われない点を挙げている。加えて、イーストローン墓地にはこの種の蜂が好む砂質の土壌が豊富にある。
墓地から約500m離れたコーネル大学の果樹園も、この巨大な個体群を支えている可能性がある。
ヒメハナバチ科の蜂は、成虫の姿で冬を越すという珍しい特徴があり、リンゴの開花に合わせるように春の早い時期から地上に出てくる。ニューヨーク州では、日中の気温が21℃前後に達し始める4月頃に姿を現すのが一般的だ。
この墓地の管理責任者のキーヴン・モース氏は、蜂を嫌うどころか愛着をもっており、非営利のこの墓地を46年間にわたり家族で管理してきたが、蜂に刺されたことは一度もないと語っている。
モース氏いわく、墓地内に蜂が特に多く集まる区画は3つか4つあるが、そこを刈るときは申し訳ない気持ちになるという。
研究者たちは、この発見は、墓地が生物多様性にとって重要な避難場所になる可能性を表すものと考えている。実際、都市部の古い墓地が、珍しい植物や昆虫、鳥類、哺乳類のすみかになるのはよくあることだ。
忍び寄る寄生蜂カッコウバチ
調査では、キマダラハナバチ属の一種(学名:Nomada imbricata)による労働寄生も確認された。
この画像を大きなサイズで見るこの種の蜂は、ヒメハナバチ科の雌が地中に育房(幼虫を育てる部屋)を準備し終えるまで待った後、その中に自分の卵を産みつける。孵化した幼虫は宿主の幼虫を殺し、蓄えられていた花粉と蜜を食べてしまう。
このように、他の蜂の巣に労働寄生する性質から、この種の蜂は、英語で托卵で有名な鳥、カッコウにちなみ「cuckoo bee(カッコウバチ)」とも呼ばれている。
研究助手のスタイグ氏は、比較的おとなしい地蜂と危険なスズメバチやアシナガバチを見分ける方法も説明する。
地中から次々と絶え間なく虫が出入りしている場合は、スズメバチやアシナガバチの巣の可能性が高い。一方、複数の巣穴からそれぞれ雌が1匹ずつ出入りしている場合は、温和な性質を持つ地蜂だという。
世界中から寄せられる「地中営巣性の蜂」の報告
ダンフォース教授らの研究チームは、このような地中営巣性の蜂の巣を見かけた人に向け、世界規模の市民科学プロジェクト「GNBee」を立ち上げている。すでに世界各地から報告が寄せられているという。
またダンフォース教授は、これほど大規模な個体群には保護がいる、とも述べている。
この画像を大きなサイズで見るもし誰かが、このような地蜂の巣があることを知らずにそこを舗装した場合、重要な花粉媒介者でもある550万匹もの蜂を一瞬にして失うことになりかねない、と危機感を語った。
ニューヨーク州イサカの墓地から始まった発見は、研究チームをさらなる調査に駆り立てており、より大規模な群れの発見の可能性も視野に、地中営巣性の蜂を探す範囲を拡大してゆくとのことだ。
References: WRVO / Springer.com
















岐阜や長野ではそろそろ蜂の子の
季節ですね、地蜂は食べれるのかな?
550万匹の根拠がないね
複数のトラップから算出したって書いてあるやろ。根拠の正誤を問いただすならまだしも、あるなしなら「ある」よ。NDZjは毎回記事読まずに否定してたんかい
埋葬方法が気になってしまった
長野の温泉の露天風呂で地面から出てくる地蜂よく見かけますね。
最初は驚きましたが、大人しくほとんど刺さないそうです。
こちらはクロスズメバチで幼虫とさなぎが蜂の子になります。
地中営巣する蜂を地蜂と呼んでいるので、この記事とは別種ですね。
GNBee(Ground Nesting Bees)ざっと見ましたが日本の地蜂はまだ登録されていないようです。
食べてること知ってるのかな。。
そりゃ栄養あるエサが地中にあるから・・・
蜂が生きていくのも楽じゃないのね
地面に巣を作るハチはイモムシを狩るタイプかと思っていましたが、記事のハチは花粉と蜜を食べるんですね。
うっかり舗装したら受粉媒介者がいなくなってしまうって、実際に起きてそうで怖い
可愛い
カプコン「次はこれ使うわ」