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クラゲは脳がなくても過去の経験から学べることが初めて示される

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(著) (編集)

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 脳を持たないクラゲだが、それでも過去の経験から学ぶことができるそうだ。

 これは「ミツデリッポウクラゲ(Tripedalia cystophora)」の仲間の研究であきらかとなった。

 人間の常識的には学習するには脳が必要とされる。だがこの研究は、基本的な「神経系」と外の状況を感じるための「センサー」さえあれば、過去の経験から学習して、それを行動に活かせることを伝えている。

 ドイツ、キール大学の神経生物学者ヤン・ビエレッキ氏に言わせれば、「学習は神経系が見せる最高の仕事」なのだそうだ。

神経細胞を駆使し、脳がなくても経験から学ぶ生物たち

 ここで言う神経系とは、どのようなものなのだろうか?

 たとえば、タコは私たちのような中央集権的な中枢神経がなくても、腕に張り巡らされた5億個の神経細胞ネットワークを駆使することで、複雑な問題を解決し、びっくりするほどよく動き回る。

 猫ほども大きな腹足類のジャンボアメフラシは、タコほどの派手さはないが、たった2万個の神経細胞できちんと学習できる。

 今回のミツデリッポウクラゲ(Tripedalia cystophora)は、もっとシンプルだ。

 ロパリア(rhopalia)と呼ばれる4つの感覚器官は、それぞれ2つの目と1000個ほどの光受容体でできている。それでもきちんと学習する。

 ロパリアは外からの刺激を検出する感覚器官であるとともに、そうした刺激に応じて行動するための司令塔としての役割も果たす。

 そのおかげで、このクラゲはマングローブの根がびっしりと伸びている水の中を獲物を求めて泳ぎ回ることができる。

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赤で示されているのが、感覚器官であり司令塔でもあるクラゲのロパリア / image credit:Bielecki etal., PLOS ONE, 2014

脳のないクラゲは学習できるか?

 ドイツ、キール大学の神経生物学者ヤン・ビエレッキ氏らは今回、中央集権的な中枢脳がないミツデリッポウクラゲが、その基本的な神経系だけで学習できるかどうか探っている。

 実験では、ミツデリッポウクラゲをちょっと工夫を凝らした水槽の中に入れて、その行動を観察してみた。

 工夫されていたのは壁の部分だ。そこには、彼らの故郷にあるマングローブの根に似せたシマ模様が描かれていた。

 それを眺めていたクラゲは、おもむろにシマ模様の隙間を通り抜けようとした。だが、もちろんそこには水槽の壁があるので、通り抜けることはできない。

 すると、しばらくして彼らは何かに気づいたようだった。7分半が過ぎたころには、それまでの4倍も方向転換するようになり、ガラスと距離を取ろうとしていた。

 つまりクラゲは、そこに障害物があることを学んで、行動を変化させたのだ。

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ミツデリッポウクラゲ / image credit:Jan Bielecki, Alexander K. Zaharoff, Nicole Y. Leung, Anders Garm, Todd H. Oakley WIKI commons

学習は神経細胞の基本的な仕組みかもしれない

 コペンハーゲン大学の海洋生物学者アンダース・ガーム氏は、「クラゲの学習速度の速さには驚きです」と述べている。

 「もっともシンプルな神経系でさえ高度な学習ができるようです。これは神経系の進化の黎明期に発明された、ごく基本的な細胞の仕組みなのかもしれません」

 もう1つの実験では、この学習が視覚と力学的な刺激によるものであることを確認するため、クラゲを1匹だけにして、低コントラストのシマ模様が動く動画を見せてみた。

 するとクラゲは、シマ模様は遠くにあるものと考えたようで、特に何もしようとはしなかった。

 さらに動画と同時に軽い電気を流してみると、クラゲはシマ模様が近くにあるものと考え直したらしく、迫り来る障害物をかわそうと激しく動くようになった。

 今回の実験では、ほんのわずかな神経細胞と単純な刺激だけで、動物は学習できることが明らかになった。

 研究チームは今後、こうした神経細胞が細胞レベルでどのように相互作用しているのか追求したいと考えている。

 この研究は『Current Biology』(2023年9月22日付)に掲載された。

References:Jellyfish shown to learn from past experience | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. よくクラゲが人におりゃおりゃと刺していったり
    海岸で干物になってるのを見てるとそこまで経験を
    学んでると思えん

    • -7
    1. 三手・立方・海月かー。
      まあ、あるかもね、一番最初に目を(藻類の遺伝子から)獲得した動物だから。
      そのくらいの潜在能力があるだろう(あるいは、その頃から進化してるかも)。

      >>1
      海月はプランクトン、遊泳能力が低いから、飼育でも上昇流を起こしてる。

      >>3
      腸には神経があるし、ここの伝達物質(蛋白分子)を脳に転用してるけど…
      海月には前後がない、つまり口→肛門という構造じゃない。
      あるのは口↺胃袋(吸収作用あり)だから、その辺りはどうなんだろう?
      私にはわからない。

      >>5
      あれ読んでるときに倒れて入院、死に掛けた。
      脳病院ではないが、隠れていた病気が姿を現したんだ。

      >>7
      筋肉に長期記憶が蓄えられるに一票(心臓はほとんど筋肉)。

      • +3
  2. 元々、人間も単細胞生物だたったモノが学習し適応して進化した結果だしな……

    • +7
  3. ヒント 第二の脳と言われてる臓器それは腸

    • 評価
  4. 夢野久作の奇想天外な小説が現実味を帯びてきたな
    「脳はただの電話交換手にすぎない」

    • +1
  5. 絶滅しないで生き延びてるんだから運だけじゃないよな
    どんな生物でも最低限の必須情報扱う程度の記憶は有りそう

    • +7
  6. 脳以外で記憶する。臓器移植で好みが変わるとかの話もあながちありえなくはないのかな

    • 評価
    1. >>7
      このサイトの過去記事でもそういった記事がいくつか紹介されていますけど、生物の記憶っていうのは本当に謎が多いですよね

      脳は記憶を保持しない。なぜならそれ自体が記憶であるから(米研究) : カラパイア
      https://karapaia.com/archives/52243031.html

      脳と腸をつなぐ神経回路にアクセスし、腸を操ることで脳に命令を出す実験がマウスで成功 : カラパイア
      https://karapaia.com/archives/52323823.html

      線虫はお互いのRNAを交換することで、記憶を共有することが判明 : カラパイア
      https://karapaia.com/archives/52305867.html

      • +2
  7. 脳=CPUで学習じゃなく回路でって感じかな?
    CPUも集積化した回路だって突っ込みは()

    • +2
  8. 思考や感情、魂の在処について、まだまだ考える余地がありそうですな

    • +4
  9. そのうち一本の腕が反逆するわけか
    俺こそが本当の脳だぞと

    • 評価
  10. クラゲって近くにルアー(小魚の疑似餌)をゆっくり通すと寄って来るし、棒で軽くつつくと逃げてくから何らかな感覚器官や判断能力あるよね。

    • +3
  11. 記憶媒体は…?どこに情報が保存されてるの!?

    • +1
    1. >>17
      記憶媒体なしに状況変化によって回路の反応を変えたと考えれば良いんじゃないかな?
      もしくは、新たな反応をする回路を増やした。
      その回路が多くなると集積回路として記録媒体となるんじゃないか?

      • +3
    2. >>17
      ストレージ(長期記憶)はないけどキャッシュ(短期記憶)はあるのかもしれない

      • 評価
  12. スズメバチも学習能力が有るから、満更でもないかも。

    • 評価
  13. 感知と情報伝達が学習の基礎であって、脳の特権ではないってことだね
    キーボード打ってても脳で打ってるというより、指が記憶してる感覚がある。
    脳と筋肉の両方に記憶があるんだろう。

    • +3
  14. クラゲの神経系は網目状になっている。刺激の方向によって多数の光受容体・神経系のそれぞれの興奮度ひいては興奮パターンがことなるから反応にも方向性が出てくるということなのかな。一度道筋ができるとそれが強化されていく(学習される)こともあるだろうか。

    • +1
    1. >>23
      つまりクラゲは脳がないのではなく、
      全身が脳だった・・・?

      • 評価

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