この画像を大きなサイズで見る南アフリカのMeerKAT電波望遠鏡によって、まったく新しいタイプの「奇妙な電波サークル(ORC)」が発見されたそうだ。
電波の波長でしか観測されない謎めいたリング状の構造は、発生源が見当たらず、あまりにも不可解なことからそのような名前で呼ばれるようになった。
だが今回の「キュクロス」と名付けられたORCは、これまでの常識をくつがえすとびきり奇妙な電波のリングだ。
今の時点でその正体は不明だが、もしかしたら放射線の強風で外層を吹き飛ばす大質量星「ウォルフ・ライエ星」によって作り出されたものかもしれない。
謎めいた幽霊のような電波サークル
2022年11月、カターニア天文台(イタリア)のクリストバル・ボルディウ氏らは、南アフリカにある電波望遠鏡「MeerKAT」を覗き込んで、何やら奇妙なものを発見した。
それは「奇妙な電波サークル(ORC)」と呼ばれる不可思議な天体に思われたが、どこか普通ではなかった。
これまでに発見されたORCは、どれも天の川銀河の高緯度で見つかっている。
つまり、銀河面(銀河の円盤のような部分)から高く離れた位置にある。これは地球にかなり近いところにあるか、天の川銀河の外にあるだろうことを示している。
ところが、新たなORCは、銀河面からほんの6度上にあるだけで、天の川のど真ん中にあるように見えるのだ。
しかも地球から見ると、銀河の中心にかなり近いようにも見える。たまたまそう見えるだけで、実際ははるか遠くにあるのかもしれないが、本当に銀河の中心に近い可能性もある。
このORCは正式名称を「J1802–3353」といい、ギリシャ語の「円」を意味する「キュクロス(Kýklos)」というニックネームで呼ばれている。
キュクロスまでの距離がわからないため、本当の大きさはわからないが、空に80アーク秒(1アーク秒 = 1度の3600分の1)の広がりがある。
電波の波長でしか観測できず、薄っぺらで(厚さ6アーク秒)、ほぼ完全な円形である。
その電波スペクトルは驚くほど平坦で、これまでに知られているORCと違ってはっきりしたスペクトル線がないのも特徴だ。
この画像を大きなサイズで見るキュクロスの正体を探るべく天文学者が奮闘中
その正体は今のところ不明だ。だが、ボルディウ氏らはその特徴からいくつかの可能性を否定することで、有力な候補を絞り込んでいる。
同氏によるなら、キュクロスは「ウォルフ・ライエ星」という大質量星によって作られた構造かもしれない。
まず、地球から観察すると、キュクロスのリングは3つの銀河を囲っているように見える。
そのうちの1つはリング中央からほんの3アーク秒しかずれておらず、その発生源とも考えられる。だがそうだとするなら、キュクロスのスペクトルが異様に平坦な理由を説明することができない。
仮にキュクロスが天の川銀河内にあるとすれば、それは恒星によって作られたということになる。
例えば「超新星」は、爆発の衝撃波が宇宙を漂うガスや塵と衝突することで、丸い星雲のような構造を作り出すことがある。
ただし、こうした超新星の残骸からは通常X線も観測される。一方、キュクロスからはX線が出ていないようだ。
キュクロスのリング内では「パルサー」(超新星から生じる回転する中性子星)も見つかっている。
だが、やはり距離がわからないため、これとキュクロスとに何らかの関係があるのか、ただの偶然なのかは不明だ。
キュクロスは「惑星状星雲」である可能性もある。
これは太陽のような星が死んでいくとき放出される外層で、3光年にも広がることがある。だが、惑星状星雲は光(特に水素アルファ線)を放つのに対して、キュクロスでこれは確認されていない。
こうして可能性を絞り込んだ結果、有力視されるのが、キュクロスは「ウォルフ・ライエ星」によって作られたという説だ。
ウォルフ・ライエ星は質量が太陽の25倍以上ある星がたどる進化段階で、大きな質量を持つことから強力な放射の風を吹かせ、外層を外側へと吹き飛ばす。

このような特徴から、この星が吹き飛ばした星雲が手がかりとなって発見されることがしばしばだ。
キュクロスの中でウォルフ・ライエ星の星雲は見つかっていないが、これは大きな問題ではない。
ウォルフ・ライエ星の強力な風は、そばにある星雲をたちまち壊してしまうからだ。それより遠くにある冷たい塵ならそのまま残って24ミクロン波長を放つが、これはまだ検出されていない。
が、そのかわりにキュクロスがウォルフ・ライエ星であることを示唆する別の手がかりがある。それは、こうした質量を発散するタイプの星にはよく見られる平坦なスペクトルだ。
まだ特定されていないが、ウォルフ・ライエ星の候補ならいくつかキュクロスの内部で見つかっている。
その1つである青みがかかった星は、地球から2万4500光年の先にあり、仮にこれがキュクロスを作り出した張本人なら、そのリングの幅は10光年ということになる。
今後天文学者たちは、さらに強力なジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でキュクロスの謎に迫ることになるだろう。
この研究は『Astronomy & Astrophysics』に掲載される予定だ。その未査読版は『arXiv』(2024年8月14日付)で閲覧できる。
※(2024/09/06)本文を一部訂正しました。
References: Astronomers discover new 'odd radio circle' near the center of our galaxy | Live Science
















規模がでかいから白色矮星同士で衝突とかか?
関係ないけど、車好きがORCって見るとクラッチが最初に思い浮ぶ
なるほどさっぱり分からん
周波数からすると結構温度が低そうですね。恒星の爆発の残骸が妥当なところかなとは思いますがウォルフ・ライエ星ですか・・・wikipedia読んできましたがもっと細かく分類できそう。あとブラックホールが中心にありそうだけど目立つところには書かれていなかったのよね。
遠いか近いかわからないってのもとても不思議~多分視差ではわからないレベルの遠い距離だけど赤方偏移が観測されるほど遠くはないってことかな。
ORC を OCR と誤記された箇所があります
ヘイローが起動したか