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これまでに例のない宇宙からの電波信号が天文学者たちを困惑させている

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(著) (編集)

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 これまでに観測されたことのない宇宙からの奇妙な電波信号が国際的な天文学者チームによって発見された。

 既知の周期的な電波シグナルは、一般的に数秒からほんの数分の1秒とごく短いものだが、今回新たに発見された電波過渡現象「ASKAP J1935+2148」は1時間近くと圧倒的に長いのだ。

 それだけではない。この現象の電波には3つの異なる状態があり、それらが切り替わりながら地球で検出されるのだ。

 その発生源としては「中性子星」や「白色矮星」が疑われているが、現時点で本当のところは不明。その正体は謎に包まれている。

未知の電波過渡現象が観測される

 広大な宇宙の彼方から、ときどき散発的な電波のバーストが検出されることがある。こうした謎めいた現象を「電波過渡現象」という。

 電波過渡現象にはいくつかの種類があり、たった一度きりのものもあるし、一定のパターンで点いたり消えたりするものもある。だが、そのほとんどは「パルサー」と呼ばれる自転する「中性子星」が発生源だとされている。

 パルサーは電波のビームを放ちながら数秒から数分の1秒というすごいスピードでぐるぐる回っている。

 だからまるで宇宙の灯台のように、ビームが地球に向くたびにそれが電波を放っているように見えるのだ。

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回転して電波を放つパルサー photo by iStock

 だがシドニー大学をはじめとする国際的な天文学者チームが最近発見した電波過渡現象は、これまでに観測されたことのない、まったく未知のタイプだった。

 その電波過渡現象の名を「ASKAP J1935+2148」という。その周期はこれまでの最長で、なんと1時間近くもある。

 これを検出したのは、西オーストラリアの奥地にあるオーストラリア連邦科学産業研究機構「CSIRO」のASKAP電波望遠鏡だ。

 この望遠鏡は視野が非常に広く、さっと広範囲を調べることができる。だから、新しい宇宙の現象を探すのにが得意だ。

 ASKAP電波望遠鏡で「GRB 221009A」と呼ばれるガンマ線バーストを観測していた研究チームは、偶然発見された、あるシグナルに釘付けになった。

 それが「円偏光」していたからだ。つまり、その電波がまるで螺旋を描くように移動していたのだ。

 その後、南アフリカにあるより感度の高いMeerKAT電波望遠鏡もあわせ、天文学者たちは数ヶ月にわたってこの異様なシグナルをじっくりと観察した。

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ASKAP 電波望遠鏡は、空を横切る偏波電波信号を検出できる / image credit:ASKAP

史上最長の周期を持ち、3つの状態がある電波シグナル

 ASKAP J1935+2148は電波過渡現象の中でも「長周期電波過渡現象」に分類される。

 このグループはほかに2つしか見つかっていないが、その中でもASKAP J1935+2148の周期は圧倒的で、53.8分と最長の周期をもつ。

 それだけではない。ASKAP J1935+2148には3つの状態があるのだ。

 第1の状態では、直線偏光の明るいパルスが10~50秒続く。第2の状態では、円偏光パルスがほんの370ミリ秒だけ閃く。そして第3の状態は、パルスがまったくない消灯された状態だ。

 こうした複数の状態は、電波パルスの発生源から生じる複雑な磁場とプラズマの流れが、その周囲にある強い磁場と相互作用することで生じている可能性がある。

 中性子星でも同様のパターンが見られるが、現在の理論では、ASKAP J1935+2148のやたらと長い周期を説明することはできない。

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点滅を繰り返すASKAP J1935+2148。上空の光る雲は、超新星残骸と呼ばれる大昔に爆発した星の残骸である。 / image credit:Emil Lenc, CC BY-NC

電波シグナルの発生源の正体は何か?

 現時点でASKAP J1935+2148の発生源の正体は謎に包まれている。だが今回の研究チームが有力視しているのは、ゆっくりと自転する中性子星だ。

 可能性としては、「白色矮星」(星が一生を終えたときにできる、地球サイズの燃えカスのような天体)の線も否定できないという。

 だが、ゆっくりと自転する白色矮星で長い周期を説明できるとしても、今回のような電波を放つことはないので、やはり中性子星の可能性がより高いようだ。

 研究チームの仮説によれば、その発生源は連星で、中性子星か白色矮星が、地球からは観測できない星の周りを回っている可能性がある。

 またASKAP J1935+2148は、電波の放ち方や銀河系内にある数など、これまでの中性子星や白色矮星の理解に再考を迫る可能性もあるという。

 その真実を確かめるには引き続き研究を進める必要があるが、いずれにせよワイルドな宇宙の星々について貴重な洞察を与えてくれると期待されている。

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西オーストラリアにあるオーストラリア連邦科学産業研究機構「CSIRO」のASKAP電波望遠鏡 / image credit:CSIRO

謎の解明は続く

 従来の電波天文学では、これほど長い周期を持つ天体が探されることはない。そのため、ASKAP J1935+2148がどれくらいの間、電波を発してきたのかわからない。

 しかもASKAP J1935+2148からのシグナルは、その周期のわずか0.01~1.5%の時間しか検出されない。つまりASKAP J1935+2148を発見できたのは、本当にラッキーだったのだ。

 もしかしたら広大な宇宙には、これと同じような天体がたくさんあり、発見されるのを待っているのかもしれない。

 この研究は『Nature Astronomy 』(2024年6月5日付)に掲載された。

References:A strange intermittent radio signal from space has astronomers puzzled / / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 13件

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  1. 実は宇宙生物が発した屁や独り言が電波化したものなら嫌だな

    • +1
  2. やはり世界は謎と不思議に満ちている、私達がそれを見る目を得さえすれば!

    • +4
  3. キ○ヤシ「話は聞かせてもらった!人類は滅亡する!!」

    • +3
  4. ようやく地球とコンタクト取りたい宇宙人が現れたのか!
    なんてね(*´∀`*)

    • +1
    1. >>4
      助けて!
      と鳴く
      人食いの化け物かも?

      • +1
  5. 日本名作映画の名作「宇宙からのメッセージ」

    • 評価
  6. 星が発しているものとして、地球に届くぐらい強力な電波だから、もし発見して人間が近づける技術があったとしても、実際には接近できないかもしれないな

    • 評価
  7. 昔、地球から飛ばしたメッセージへの返信じゃね

    • 評価

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