不規則電波サークル(ORC) hspace=
 2019年、現在の天文学理論では説明のつかない、巨大なリング構造の、幽霊のような天体が発見され科学者たちを困惑させた。

 その奇妙さゆえに、不規則電波サークル(ORC:Odd Radio Circle)と名付けられたが、これまで撮影した中で最もはっきりと見える画像が新たに公開された。

 今回の画像は、直径100万光年もある謎の電波リングの起源を解明するヒントになるかもしれないと期待されている。
広告

超大質量ブラックホールを持つ銀河を囲む謎の電波

 この不思議なサークルの起源はこれまで謎に包まれていたが、今回の5度にわたる観測によって、3つのORC(不規則電波サークル)は超大質量ブラックホール(太陽質量の数百万〜数十億倍!)を持つ銀河を囲っていることが判明した。

 こうしたブラックホールは物質をジェットのように吐き出しているため、ORCは銀河内で起きた巨大な爆発によるものである可能性があるという。

 オーストラリアの電波望遠鏡「ASKAP(Australian Square Kilometre Array Pathfinder)」によって、ORCが初観測されたのは2020年のことだ。

 今回、そのときの発見チームが南アフリカの「MeerKAT電波望遠鏡」で鮮明な画像の撮影に成功。その結果が『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(2022年3月24日付)に報告された。
2_e4
SARAOの電波望遠鏡MeerKATのデータ(緑)とダークエネルギーサーベイの光学・近赤外線データを重ね合わせたもの / image credit:J. English (U. Manitoba)/EMU/MeerKAT/DES(CTIO)

 オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の天体物理学者レイ・ノリス氏は、CSIROの声明で次のようにコメントする。
ORCは、中心に活発なブラックホールがある銀河を囲んでいることがわかりました。薄暗い電波放射のリングなのですが、何が原因で、なぜそんなにも珍しいのか、まだ不明です
3_e3
(左) EMU (Evolutionary Map of the Universe) サイエンスサーベイチームのASKAP電波望遠鏡のデータから発見されたORC1。(右) MeerKAT電波望遠鏡によるORC1の追跡観測。 / image creditThe EMU team, using ASKAP and MeerKAT radio continuum data.:

銀河の爆発の強烈な衝撃波である可能性

 ORCの中心にある薄暗い雲のような電波放射のコンピューターモデルからは、その正体は巨大な爆発の衝撃波である可能性があるという。

 おそらくは遠方の銀河内で生じて、外側にある薄いガス層に衝突したようだ。

 ガス層にある電子は衝撃波によって原子から加速し、巨大な磁場を発生させた。電波は、その周りをエネルギーに満ちた電子が回ったことで放出されたようだ。

 そもそも爆発が起きた原因は不明だ。だが、ほとんどのORCが超大質量ブラックホールを持つ銀河の外側にあることから、以下の3つの可能性が考えられている。
・中心にある銀河内部で起きた巨大爆発の名残
・超大質量ブラックホールが吐き出す物質のジェットに起因
・新たな星の誕生で生じた衝撃波
Odd Radio Circles Exploding From a Central Galaxy

次世代電波望遠鏡に期待

 その謎を解明するには、より高性能な望遠鏡が必要になるとのこと。

 現在、南アフリカ、オーストラリア、フランスなど10カ国以上が協力して、2028年を目処に世界最大の電波望遠鏡アレイ「Square Kilometer Array」の建設が進められているが、これならば奇妙な電波サークルについてさらに詳しいことがわかるかもしれない。
4_e1
南アフリカのMeerKAT望遠鏡 / image credit: African Radio Astronomy Observatory (SARAO)

 だがそれまでは、夜空に浮かぶ幽霊のような痕跡にさらなる手がかりが残されていないか、天文学者たちの探求は続くことだろう。

 「何かを観察したら、普通は今ある知識と矛盾しない説明をしようとします。でも私的には、常識を覆すような新しい発見の方がワクワクしますね」と、研究グループのジョーダン・コリアー氏は声明で語っている。

References:Astronomers reveal best image yet of mysterious ORCs in space - CSIRO / Mysterious ORCs in Space Revealed Using the World’s Most Powerful Radio Telescopes / written by hiroching / edited by / parumo
あわせて読みたい
なんじゃこりゃ?現在の天文学理論では説明不能、幽霊のようなリングを発見(国際研究)

これまで観測されたことのない、謎の輝く天体が4つ発見される

溶岩の雨が降る惑星から新たなる宇宙の謎まで、2020年に報告された10の奇妙な天文学的発見

宇宙で検出された数百もの謎の電波現象「高速電波バースト」のマップが公開される

高速電波バーストの発生源をついに特定、その正体はガンマ線を放射する中性子星

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします

この記事に関連するキーワード

キーワードから記事を探す

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2022年03月30日 20:37
  • ID:5QoyEgoH0 #

「宇宙大作戦」最終話に出て来たやつ

2

2. 匿名処理班

  • 2022年03月30日 20:50
  • ID:XHgDJqfe0 #

クラゲの仲間でこんなのいるよね…

3

3. 匿名処理班

  • 2022年03月30日 22:39
  • ID:mK6CdEZn0 #

直径100万光年って事は地球からはその何100万倍も離れてるって事だよな
つまり人間が地球に誕生する前にすでに爆発してたって事だよな

4

4. 匿名処理班

  • 2022年03月31日 01:10
  • ID:8KhnnZyh0 #

※3
物理計算が出来ないので赤方偏移によるZ=0.2〜0.6がどのくらいの距離かは
ちょっと判りませんが、恐らく数億光年先ですよ
ちなみにZの値が10くらいになると超初期宇宙になります

5

5. 匿名処理班

  • 2022年03月31日 02:18
  • ID:6YtgTFPJ0 #

銀河が丸ごと爆発するなんて事あるのか…規模が大きすぎて想像すらできんわ。
もしその銀河内に知的生命がいたとしても、きっと天災を認識する前に消滅してしまったんだろうな。

6

6. 匿名処理班

  • 2022年03月31日 10:51
  • ID:cyDdBDWB0 #

※3
ごめん何がいいたいのか分からない…
サークルの直径と地球からの距離は関係なくて、直径100万光年のサークルの外縁が地球から10光年先にあるならサークルの中心は地球から50万10光年先(この例だと爆発は人類誕生(約700万年前)より後)。外縁が地球から1億光年先なら中心は1億50万光年先。
100万光年の何100万倍は何兆光年で、観測可能な宇宙の外にあることになります。

※5
前半部はほんとそう思います。想像できひん。
ただ爆発による宇宙線も中心部から外縁部まで50万年以上かけてえっちらほっちら広がっていくので、その途中にもし現在の地球と同等かそれ以上の文明があったと仮定するとやべーのが来る!と観測できていたかもしれませんね。おーこわ。

7

7. 匿名処理班

  • 2022年04月03日 06:56
  • ID:zPs9jeXZ0 #

地球よりかなり文明が発達してる者同士での宇宙戦争が勃発していて、禁じ手とされる銀河丸ごとぶっ飛ばす兵器を使用してしまったんだな
あれほど止めとけと言ったんだが言うことを聞かないアホめ

8

8.

  • 2022年04月03日 16:43
  • ID:zI2ghIGM0 #
お名前
ADVERTISING
記事検索
月別アーカイブ
ADVERTISING
ADVERTISING