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犯罪捜査最前線。痕跡を消しても現場に漂う空気中のDNAからは逃れられない

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(著)

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Image generated by dall·e OpenAI
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 クライムサスペンス系のドラマや映画が大好物の私としては、新たなストーリー展開が期待できそうな新技術が登場した。

 完全犯罪をもくろむ空き巣犯が家に侵入したとしよう。空き巣は指紋や足跡の痕跡を完璧に消し去った。バールのようなものも持ち去った。

 だがそれでも、現場には他にも証拠が残されている。

 犯罪現場の「空気中」に漂う微量の環境DNAで、侵入者を特定することが可能なのだ。

 ノルウェーとオーストラリアの国際研究チームによると、人間のDNAは絶えず剥がれ落ちて空間を漂っているという。 

 この研究成果は『Forensic Science International: Genetics』誌(2026年9月8日付)に掲載された。

空気に残るDNAから犯人を追う

 警察庁のデータによると、日本国内において住宅を狙った侵入窃盗(空き巣など)の認知件数は、2025年だけで1万7152件にのぼる。

 空き巣は短時間で犯行を終えるため、現場に直接的な証拠が残りにくい犯罪だ。

 犯人が手袋や防護服を着用して証拠を残さないようにした場合、従来の捜査手法で解決するのは非常に困難になる。

 しかし、どんなに用意周到な犯罪者であっても、呼吸をして動く限り現場に自分の痕跡を置き去りにしている。

 人間の皮膚のかけらや唾液などの微量な遺伝物質は、環境DNA(eDNA)として絶えず空間へ剥がれ落ちている。

 環境DNAは、生物由来のDNAのことで、生きるために必要な活動をするときに絶えず体から落ちているため、空気や水、土壌の中に残されている。

 これまで、動物の生態調査で活用されてきた空気中の環境DNA採取技術が、ついに人間の犯罪捜査で試される段階へと進んだのだ。

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Image by Istock / Motortion

一般住宅で模擬空き巣の実験を実施

 ノルウェーのオスロ大学病院やオーストラリアのフリンダース大学などの国際研究チームは、空き巣犯が空気中に残した環境DNAを採取する実験を行った。

 実際の状況に近い環境でテストを行うため、ノルウェーのオスロとオーストラリアのアデレードにある、実際に人が暮らす22軒の住宅が実験の場所に選ばれた。

 ボランティアが侵入者となり、一度も入ったことのない家で15分間の模擬空き巣を実行した。侵入者役はキッチンで引き出しや戸棚、冷蔵庫を開けて物色したという。

 研究チームのマリア・ゴレイ博士はこれまで、飼い猫の被毛から、飼い主のDNAを突き止めることに成功している。

 研究チームは、侵入者が去った30分後に部屋に入り、キッチンの空気を特殊なフィルターで2時間かけて集め、含まれるDNAを分析した。

触った場所に痕跡がなくても、空気から犯人を特定

 分析によって、空気中の環境DNAから模擬空き巣犯の身元のいくつかを特定することに成功した。

 空気から侵入者のDNAが見つかったのは、オスロでは11軒中9軒、アデレードでは11軒中4軒だった。

 オスロのある家では、侵入者が触った取っ手などからはDNAが検出されなかったのに、空気からは侵入者のDNAが見つかっている。

 まら、空気中のDNAと、床のほこりや家具の表面から採取したDNAを組み合わせることで、普段から暮らしている人と、最近家に訪れた人を割り出すことができる。

 空気中のDNAは直前までそこにいた人物の痕跡が強く出る。一方、ほこりや家具からは、住人の痕跡を示すDNAが強く出る。

 気温や湿度、部屋の換気、DNAを落としやすい体質かどうかによって結果にばらつきは出るものの、空気中のDNAが空き巣捜査の新たな手がかりになりうることが示された。

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フィルターで採取した証拠品を持つ研究チーム Image credit:Flinders University

精度の向上すれば捜査の協力な武器になる可能性

 新しい技術が実用化されれば、指紋や血液といった従来の証拠が見つからない現場でも犯人を特定できる可能性が大きく広がる。

 ただし今回の実験では、侵入者が去ってから30分後に空気を集めている。

 実際の事件で、警察がこれほど早く現場に到着して捜査を行うことはまずないことを、研究チームも認めている。

 また、侵入者役も手袋やマスクを着けていなかった。

 研究チームは今後、空気中からDNAを採取する手法を標準化し、事件発生から長時間が経過した場合や、さまざまな環境での検証を進める必要があると考えている。

一方でプライバシーの懸念も

 さらにこの技術には懸念材料があるがある。

 人間が無意識に落としているDNAは、本人の知らないうちに他人に採取されてしまう個人情報だ。

 アメリカのフロリダ大学の研究チームは2023年、環境DNAの調査で意図せず人間のDNAまで集まってしまう現象を「ヒト遺伝子の混獲(HGB)」と名付けた。

 同チームは、同意やプライバシーといった倫理的な問題に、今後向き合っていく必要があると指摘している。

References: New ways to catch a thief – Flinders University

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この記事へのコメント 2件

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  1. 科学捜査官リンカーン・ライムの世界がもっと拡大するってことか

    • 評価
  2. アニメのIDOで見ました。
    あれは現場で殺意の痕跡を
    採取という設定だったが、、
    面白いのでおすすめ。

    • 評価

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