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ズワイガニの大量死で交雑種の「ハイブリッドカニ」が13倍に急増(ベーリング海)

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ハイブリッドカニ Image credit:NOAA Fisheries/Leah Zacher
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 2018年に太平洋最北部のベーリング海を襲った海洋熱波により、100億匹を超えるズワイガニが大量死した。

 大量死から数年後、海中では生態系の大きな変化が起きていた。

 アメリカ海洋大気庁(NOAA)の研究チームによると、これまで非常に稀だったズワイガニとオオズワイガニの交雑種がこれまでの平均の13倍以上に急増し、漁獲できる大きさの個体の半数近くを占めるまでになったという。

 生態系の隙間を埋めるようにハイブリッドカニが急増したのだ。

 この研究成果は『Proceedings of the National Academy of Sciences』誌(2026年10月19日付)に掲載された。

参考文献:

熱波によるズワイガニの大量死

 ベーリング海は、ロシアのカムチャツカ半島とアメリカのアラスカ州にはさまれた太平洋の最も北にある海で、カニが良く獲れる場所として知られている。

 アメリカ海洋大気庁(NOAA)の研究チームは数十年にわたり、商業用のカニの動向を記録して生態系の状態を確かめるため、ベーリング海東部の海底で底引き網調査を行っている。

 熱波が来る前の2018年、ベーリング海東部のズワイガニは過去最多の水準にあり、100億匹を超えていたと推定されている。

 しかし、2018年から2019年にかけて深刻な海洋熱波がベーリング海を襲い、大規模な海洋生物の大量死を引き起こした。

 化石燃料の燃焼に伴う温室効果ガスが海に熱をこもらせた結果、冬の海氷が激減し、海底の水温が上昇した。

 水温が上がるとズワイガニの体は多くのエネルギーを使うようになり、より多くのエサが必要になる。

 その結果、エサを十分に食べられなかったズワイガニが餓死により大量死した。

 研究チームは2021年の調査で、残存するズワイガニが約10億匹にまで減っていることを確認した。熱波が来る前の10分の1となる。

 ズワイガニの個体数を安定させるため、アラスカ州魚類狩猟局は、ズワイガニの商業漁獲を史上初めて禁止した。

 この全面的な禁漁措置は2022年から2024年まで続いた。 

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ベーリング海の位置 public domain / Wikimedia

一方で交雑種のカニが急増 

 禁漁が明けた翌2025年の底引き網調査で、科学者たちは異変を確認した。

 ズワイガニとオオズワイガニの両方の特徴を持つ交雑種(ハイブリッド)のカニが、大量に引き揚げられたのだ。

 ズワイガニとオオズワイガニは、同じズワイガニ属の別の種類のカニだ。

 オオズワイガニはズワイガニよりも温かい海を好む。

 見た目はよく似ているが、口の形を見ると違いがわかる。

 ズワイガニの口は横一文字にまっすぐだが、オオズワイガニはM字形をしている。目の色も違い、ズワイガニは緑色、オオズワイガニは赤色だ。

 一方で、ハイブリッドカニの口は、両親の中間のゆるやかなカーブを描いている。

 異なる種が交尾して生まれるハイブリッドは過去にも存在したが、2025年の調査では、ハイブリッドの数がこれまでの平均の13.4倍に達し、2026年の調査ではさらに増えていたという。

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ハイブリッドカニは口以外にも目がズワイガニとオオズワイガニから引き継いだ特徴を持つ。Image credit:NOAA Fisheries

ハイブリッドカニが急増した理由

 ズワイガニのメスはオスの半分ほどの大きさだで、おなか側に折りたたまれている腹肉(ふんどし)の形を見ればオスとメスは簡単に見分けられる。

 オスは三角形、メスは丸い形をしている。

 ベーリング海のズワイガニ漁では、カニが子孫を残して数を保てるように、獲ってよいのは大きく育ったオスだけと決まっている。

 オスの中にハイブリッドカニが混じる割合はこれまで1割にも満たなかったが、2025年にはほぼ半分(41.7%)にまで増え、ズワイガニとして水揚げされた。

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2026年の底引き網調査で採取された、捕獲可能な大きさに育ったハイブリッドカニ Image credit:NOAA Fisheries / Leah Zacher

 NOAAの漁業生物学者であるエリン・フェデワ氏のチームは、ハイブリッドが急増した原因をコンピューターモデルで分析した。

 その結果、ハイブリッドを増やした最大の原因は、ズワイガニの激減だったことがわかった。

 NOAAの漁業生物学者エリン・フェデワ氏の研究チームがコンピューターモデルで分析した結果、ハイブリッドを増やした最大の原因は、熱波によるズワイガニの激減だったことがわかった。

 エサをめぐって競い合い、ときにはハイブリッドを捕食することもあったズワイガニが大きく数を減らしたことで、生き残れるハイブリッドが増えたとみられている。

 フェデワ氏によると、交雑種の増加が1回の海洋熱波によるものだと示されたのは、今回が初めてだという。

 ただし、ハイブリッドが子孫を残せるのかは、まだわかっていない。

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2026年にベーリング海東部で行われた底引き網調査で採取された、2匹のハイブリッドズワイガニ Image credit:NOAA Fisheries / Leah Zacher

北海道でもオオズワイガニが大量発生

 2023年、北海道の日高地方を中心とした太平洋沿岸では、ハイブリッドカニの親の片方であるオオズワイガニが大量発生した。

 網を切るなど漁業に被害を出す厄介者だったが、味の良さが知られると人気の食材になった。

 道総研の報告によると、この時に獲れたカニは主に2021年生まれの若い群れとみられている。

 北海道の太平洋側のオオズワイガニは成長が早く、3歳ごろには大人になる。オオズワイガニは最長で14歳ほどまで生きると推定されている。

 だが、なぜオオズワイガニが北海道近海で大量発生したのかは、まだわかっていない。

 今回のNOAAの報告を見る限り、海水温の上昇や環境の変化が関係していそうではある。

 ハイブリッドカニはズワイガニとして引き揚げられ、市場に出回っているそうなので、もしかしたらズワイガニと称して売られているものの中に、ハイブリッドカニが混じっているかもしれないな。  

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この記事へのコメント 8件

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  1. ハイブリッド蟹は美味しいと良いでしょうね!

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  2. 味に問題なければ・・・

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  3. 美味ければ消費者は構わないんだけど
    これが絶滅の一歩となるか新たな適応種の爆誕なのか
    F1に子供が出来るかかが鍵、生れるのなら両者の良い所どりになる可能性があり、出来ないなら資源を喰いつくして死んでいくだけの鬼子でしかないが…
    生態系を大きく崩すことが無いように祈ってる(研究のための稚児育成はかなり難しいようだ)

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  4. 問題は美味いかどーかだ

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  5. それは美味しいのカニ?

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  6. カニの顔もアップでみるとけっこうエイリアン感が(;´∀`)
    将来的にズワイガニ食べられなくなっちゃうのかな
    オオズワイガニが美味しいのはわかったけど
    ハイブリッドガニは美味しいのだろうか
    そこだけが気になるのであった

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  7. 人の遺伝子でも普段は厄介な病気でしかないものが
    食料品のない時には生き残れる低消費仕様だったり
    極寒期でも生き残れる仕様だったりなんてある
    自然ってしたたかで考えてるぜ。
    カニも緊急事態のために普段からいろいろ自然で考えられ
    全滅を防いでたのだろう

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  8. 100億匹以上もいるのズワイガニって高いな?

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