メインコンテンツにスキップ

Googleでカラパイアを「お気に入りサイト登録」

私の頭の中の虫。脳腫瘍を疑われた男性の脳内に多数のサナダムシを発見

記事の本文にスキップ

44件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Image generated by nanobanana
Advertisement

 スペインで、長らく激しい頭痛に悩まされていた60歳の男性が病院で検査をした。

 医師は当初がんの脳転移(転移性脳腫瘍)を疑ったが、精密な画像検査を行った結果、実際には脳内にたくさんサナダムシの幼虫が寄生していることが判明した。

 男性は、海外への渡航歴はなく、かつて建設現場で働いていた時に、同僚から感染したという珍しいケースだという。

 的確な診断により不必要な手術が回避され、男性は投薬治療によって無事に回復を遂げた。

 この症例はアメリカ疾病予防管理センターの医学誌『Emerging Infectious Diseases』(2026年7月号)に掲載された。

脳腫瘍の疑いから一転、脳内にサナダムシを発見

 この60歳男性のレントゲン画像を確認した医師たちは、、体の別の場所から脳へがんが転移した「転移性脳腫瘍」を最も強く疑った。

 男性は免疫の病気を持っておらず、海外への渡航歴もなかったからだ。

  頭痛を和らげるために炎症を抑えるデキサメタゾンというステロイド薬を処方したところ、男性の症状は少し落ち着いた。

 その後、がんの場所を探すために全身の造影CTスキャンや大腸カメラ、がん細胞を見つけ出すPET/CTスキャンなど、徹底的な検査が行われた。

 ところが、どれだけ検査をしても男性の体内からがんは見つからなかった。

 そこで医師たちは、脳の病変をさらに詳しく調べるため、高解像度のMRI(磁気共鳴画像)スキャンを実施した。

 するとその画像には、腫瘍ではなく、被膜に包まれたヒトに感染するサナダムシの一種、有鉤条虫の幼虫が入った嚢胞(のうほう)であることが判明した。

 その後の血液検査で男性がサナダムシに感染していることが正式に確認された。

 男性が処方されていたデキサメタゾンは、寄生虫が引き起こす脳の炎症を抑える効果もあったため、一時的に症状が和らいでいたのである。

 男性はすぐに抗寄生虫薬の投与を受け、後遺症もなく無事に回復した。

この画像を大きなサイズで見る
男性の脳の検査画像。左が最初に撮影したCT画像で、中央と右がMRI画像である。一番右の画像には、サナダムシの幼虫が入った袋(嚢胞)がはっきりと写し出されている Image credit: © Hernández-Sánchez et al/Emerging Infectious Diseases.

渡航歴のない男性がなぜ感染したのか?

 サナダムシの卵が口から入り、幼虫が血流に乗って脳に定着する病気は「神経嚢虫症」と呼ばれる。

 通常、この病気は衛生状態が悪い地域で多く見られるが、男性はスペインから海外へ渡航した経験がなかった。

 男性は長年建設現場で働いており、寄生虫の感染が日常的に起きている地域からの労働者たちと一緒に仕事をしていた。

 医師は、寄生虫が流行している地域から来た同僚と男性が一緒に食事をしたり、同じトイレを使ったりした際に、手に付着した微小な卵を誤って口にしてしまったことが原因だと推測している。

 本来その病気がない国において、海外へ行ったことのない人が地域内で感染してしまう土着感染は、ヨーロッパでは極めてまれな現象である。

思い込みによる誤診を防ぐ徹底した検査の重要性

 脳内に寄生虫が這いまわっていると想像するだけで恐ろしいが、この病気は適切な薬を使用すれば治療が可能だ。

 一方で、当初疑われていた転移性脳腫瘍であれば、命に関わるはるかに深刻な事態となっていた。

 アメリカやスペインのような先進国では、神経嚢虫症の発症は非常に少ない。

  しかし医師は、たとえがんの確率が統計的に高い地域であっても、似たような症状が出た場合は常に寄生虫感染の可能性を考慮すべきだと警告している。

 思い込みによる不必要な開頭手術を防ぐためには、あらゆる可能性を探る徹底した画像検査が不可欠なのだ。

References: Autochthonous Neurocysticercosis Brain Lesions Mimicking Metastatic Disease, Spain - Volume 32, Number 7—July 2026 - Emerging Infectious Diseases journal - CDC

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 44件

コメントを書く

  1. きーみが食べたものを少し食べてるぅ〜。
    ボクはサナダムシぃ〜♪

    なんて曲があったが、脳ミソ食べられるのは考えたくもないな

    • +19
  2. 回虫みたいに全身をうろついたりするんかね

    • +3
  3. (´・ω・`)そうかわかったぞボクが禿たのは
    サナダムシの性だったんだ
    でなきゃありえないよ間違いない

    • -8
    1. 「みんな〜、無視していいよ〜」 🐛🐛🐛🐛🐛

      • -3
  4. 介護施設で働いてるけど、技能実習生が持ち込んだ疥癬でどえらい事になった…風呂に毎日はいらないからね、水道代も高いし…

    • +50
    1. 労働力の助けになってるけど…。
      こういった問題、それぞれの職場で一考必須だね。

      • +34
  5. 手についたうんこ、食べてしまったんですか?

    • -10
    1. アームドフェノメノン!(ちょっぴり免疫力があがる)

      • 評価
  6. 腸の方に行けばまだ発見早かったのにね。ケツから出てくるし・・・・

    • +4
  7. MRI~ MRI~ 謎を解け~
    MRI~ MRI~ 病を探せ~
    レッツゴー!

    • -8
  8. 脳と腸はつながっているらしいし、脳ミソもクソも似たようなものなのかも

    • -9
  9. 画像診断でがんが見つからなくても開頭手術ってするものなの?
    とりあえず開いてみるかみたいなノリでやらないと思うんだけど

    • +6
    1. 脳ではないが容易に手術はしない
      原因調べ、薬治療無理だなと思ったら手術する
      デーモン未知子じゃねえし、麻酔やあらゆる部門との調整もあるので
      全身麻酔手術は結構めんどいぜ

      • +8
  10. 脳には痛覚が無いとよく聞くけど、
    この話によるとサナダムシの寄生によって頭痛が起きてたんですね。
    どのように頭痛が生じたのかが気になる。

    いずれにせよ自覚症状から原因特定、治療へとつながり良かったですね

    • +21
    1. サナダムシ分、頭蓋内に質量が増えるから圧迫されて痛いんじゃね?
      脳そのものは痛くなくても骨は痛いわけだし

      • +5
    2. 脳に炎症が起こると血管が拡張したり頭蓋内の水分が増えて脳圧が上がったるなどして頭痛を引き起こす
      二日酔いとかもそう

      • +10
  11. 脳に寄生されても
    お薬で治るのね
    安心した

    • +41
    1. >一番右の画像には、サナダムシの幼虫が入った袋(嚢胞)がはっきりと写し出されている

      どのへん?誰かヒントを!

      • +12
  12. 本人が感染に心当たり無いのにいつのまにか脳に寄生されてるとか怖すぎる

    • +26
  13. 真田さん「こんな事もあろうかと、、、」

    • 評価
  14. 痛ましすぎる、広東住血線虫による脳炎死亡を思い出した(享年7才)

    沖縄でサラダによる集団感染もあった
    野菜はよく洗いましょう

    • +13
  15. 発展途上国などで「大人になってから突然てんかんを発症した人」の約30%は、この神経嚢虫症(サナダムシの脳寄生)が原因であると言われている
    とか、ITエンジニアにもありそうな話
    こうして都市伝説は語り継がれるんだな

    • +16
  16. 日本も危なくなるのか
    また小学生がお尻ペッタンするようになるのかな
    自分はそれの結果で飲み薬処方されたことある

    • +14
  17. 「無駄な開頭しなくてすんだ」って、そもそもあるの?原因もわからないのに頭割ることある?

    • +2
  18. 投薬により脳で死んだ寄生虫はこの後どうなるのでしょうか?
    何らかの経路により自然と体外に排出される?それとも脳に留まったまま吸収される?

    • +7
    1. Geminiさんに聞いたら「体外には排出されず、脳に留まったまま、免疫細胞に分解・吸収されるか、最終的に『石灰化(石のようになる)』して一生そこに残り続ける」と言っていました

      • +6
      1. そうだと、頭痛は完治できない可能性もあるのか

        • +2
  19. 高度成長期時代の日本は
    勉強虫だらけだったなぁ。

    • 評価
  20. サナダムシってよくあの長いものを思い出すけど
    状態によっは短い形態のものもあるんだね

    • +5
  21. 洋式だと便座に座らなきゃいけないから接触感染しやすいんだろうな
    やはり和式が最強か

    • +7
  22. 普通のサナダムシ(日本海裂頭条虫)はヒトを中間宿主にすることはないが、有鉤条虫は中間宿主にも最終宿主にもする。寄生虫としては原始的なんだろうか?

    • +5
  23. カマキリの腹とかを水に浸けると、お尻からバキッと出て来る「ハリガネムシ」が寄生して無くって本当に良かった…(違

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。