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犬の寿命を延ばす新薬が承認に近づく。2026年には製品化の見込み

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(著) (編集)

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 犬を飼っている人の望みは、できるだけ長く健康でいて欲しいことだろう。だが犬は猫より寿命が短いのが一般的で、大型犬になるとさらにその寿命は短い。

 どうにか愛犬との素敵な時間をもっと延ばすことはできないか?そんな犬好きたちの切なる願いがもうすぐ実現するかもしれない。

 米国のバイオテクノロジー企業「Loyal(ロイヤル)」の発表によると、犬用のアンチエイジング薬が米国食品医薬品局「FDA」の承認に向けて、最初のハードルのいくつかをクリアしたそうだ。

 治験などの大切なプロセスはまだこれからだが、FDAが長寿薬を承認する意思を示したのは初めてであるとのことだ。

犬の健康寿命を伸ばす薬が開発された経緯

 不老長寿は人類が大昔から追い求めてきた長年の夢だ。

 現代の科学者たちも例外ではなく、生物として運命づけられた寿命をどうにか突破するために試行錯誤を続けている。

 そして動物を対象としたものならいくつかの成果が出ており、例えば線虫の寿命を5倍に伸ばすことに成功(関連記事)したり、若返りのタンパク質でマウスの寿命を延ばすことに成功(関連記事)したりしている。

 だが私たち人間の場合、老化を防ぎ、寿命を延ばす薬の開発はより難しいものとなる。

 その1つの要因は、人間の寿命がかなり長いことだ。そのため薬のデータを収集するのに数十年もの時間がかかるようになり、その分コストも高くつく。

 そこで注目されるのがワンコだ。

 犬の寿命は犬種にもよるが、昔より若干伸びたとはいえ、小型犬では14.05歳、中型犬・大型犬では13.52歳となっている。

 グレートデーンやセントバーナード、ブルドッグに至っては8~10年ほどだ。

 それを人間の年齢に当てはめてみると、ほぼ同じ時期に同じような老化による病気にかかる。そのため、犬は私たち自身の寿命モデルとしてぴったりと考えられるのだ。

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大型犬の寿命が短い理由は成長・代謝ホルモンに関係している

 ロイヤル社のセリーヌ・ハリウアCEOは、BBCの『Intrigue』で次のように語っている。

7、8、9歳で老化にともなう病気で死んでしまう大きなワンコなら、4歳ですでに白髪になり、5歳で足が衰えはじめます

老化スピードが非常に速いので、薬の効果があったかどうかは6~12カ月でわかります。人間なら、6~12カ月では何もわからないでしょう

 ロイヤル社が開発している犬用アンチエイジング薬「LOY-001」は、「IGF-1(インスリン様成長因子-1)」という成長・代謝ホルモンに作用する。

 ハエ・ミミズ・ネズミを対象とした過去の研究では、IGF-1を阻害することで寿命を延ばすことに成功したものもあるという。

 そして犬の場合、このホルモンは体格に関係しているらしく、小型犬よりも大型犬の方が多く持っている。

 犬の長寿はホルモンだけで決まるわけではないが、大型犬の寿命が比較的短いのはIGF-1が関係している可能性もある。

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photo by Pixabay

特効薬ではないが老化スピードが遅くなり寿命がのびる可能性

 LOY-001は7歳以上、体重40kg以上の健康な犬用に開発されており、3~6カ月ごとに注射で投薬されることになる。

 またロイヤル社はほかにも、錠剤を毎日服用するタイプ(LOY-003)の開発も行っている。

 念の為に言っておくと、この薬は決して不老長寿の霊薬ではない。それでも犬の老化のスピードが遅くなり、より長く健康でいられるようになると期待されている。

 もう1つ注意が必要なのは、ロイヤル社のアンチエイジング薬が首尾よく完成したとしても、それがワンコの人生をより良いものにしてくれるかどうかはっきりしない点だ。

 というのも、たとえ寿命が延びたとしても、元気で動き回っていられるという保証が今のところないからだ。2年長く生きたとしても、寝たきりの2年だとすれば、あまり意味がない。

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photo by Pixabay

2026年には発売される見込み

 人間は大昔から繁殖する犬を選ぶことで、彼らの体を操作してきた(関連記事)。ロイヤル社によれば、そもそもそれが大型犬の老化を速める原因になっている可能性もあるという。

 愛犬家の期待を背負ったLOY-001は、2024~2025年を目処に約1000頭の大型犬による治験が予定されている。そして2026年までには製品化したいとのことだ。

猫の腎臓病を治療する薬も完成間近

 じゃあ猫の寿命を伸ばす薬って開発されているの?と思った人もいるだろう。

 猫に最も多い病気とされるのが腎臓病で、これにより命を落としてしまう猫も少なくない。その治療薬の開発に取り組んでいるのが、日本の元東京大学教授の宮崎徹さんだ。

 2021年7月に研究開発費が打ち切られ中断を余儀なくされたことが報じられると、日本全国の愛猫家から3億円を超える寄付が集まり、2022年3月に宮崎さんは東大を退職して「AIM医学研究所」を設立した。

 その後研究は順調に進み、今年8月22日、治験薬の完成と効果の確認が完了し治験と認可申請を主導して、猫の薬を世に出す会社 IAM CATを発足させたという。

 猫の腎臓薬の方も順調に進捗しているので、愛犬家、愛猫家ともども、完成の時を待とうじゃないか。

References:A New Drug That Could Extend Dogs’ Lives Inches Closer to Approval | Smart News| Smithsonian Magazine / A Radical New Drug Is Poised to Extend The Life of Large Dogs : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 28件

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  1. 犬猫ともに、期待できるお話。
    癌・腫瘍を抑制できる免疫強化にも効果あるのかしら?ゴールデンRの天敵。今のところ注意深い交配くらいしか対策無し。

    • +4
  2. 寿命が延びても脳がね
    臓器不全で足りない栄養を注射するため、1日6000円する注射を打ってたこともあったな

    • +7
  3. 健康寿命謳ってるけど現状でもかなり無理な長寿してる感じするのにホントに可能なのかね

    • +4
  4. うちの小型犬もう17歳でびっくりするほど老犬
    もしこの薬で元気な時間が長引くのなら今すぐ欲しい
    ずっと一緒にいたいよ

    • +7
  5. 不死も長寿もいらないけど不老は欲しいな
    23歳で老化が止まって60歳で死亡がいいや

    • +6
    1. >>5
      筋肉はもっと行ってからの方が伸びるのに勿体な
      普通に年重ねる方が社会で生きやすいわ

      • 評価
  6. これで効果高かったら人間もこぞって使うだろうな

    • +1
  7. 寿命を延ばしても身体は老化に耐えられるようにできてるのかね…
    人間もそうだけど無理やり生かして幸せなの?

    • +4
  8. 健康で長生きするなら喜ばしいことだけど、犬も普通に痴呆症にかかるのでその当たりが心配だわ

    • +3
  9. 寝たきりの2年だって飼い主からしたら意味のある大切な2年だよ
    老犬を1年介護して亡くなった今振り返ってみると、もっと介護したかったと思う

    もちろん、全部人間のエゴだけれどもね

    • +6
  10. 特効薬以外にもいろいろ改善されているのかなケアの仕方とか食事療法とか
    前の猫は腎不全が発覚して一ヶ月で虹の橋のたもとに行ってしまったけど、今猫は腎不全が発覚して約1年半闘病中
    ボケてないし、かわいさはそのまま
    年齢のせいかジャンプは出来ないけど今まで通り普通に生活してる

    • +3
  11. なるたけ本犬の好きな散歩させて、健康寿命を伸ばしてあげたいとは思ってる
    薬で伸ばそうとは思わない
    もう8歳、何年一緒に歩けるかな

    • +3
  12. 関節痛とかが出てくるから犬にとっては厳しいっていう研究なかったっけ?

    • 評価
  13. ゴールデンは10歳でいってしまった
    大型犬のペットロスはなかなかつらい

    • +2
  14. 延命ってどうかなぁ…
    デメリットのほうが大きそうだが…
    延命しても結局死ぬわけだからいずれ来る死を受け止められる自身の生き方、フォローのほうも大事

    • 評価
  15. AIMの方はかなり期待してる。
    イエネコの健康寿命のボトルネックは間違いなく腎臓。
    腎不全の苦しみからの解放は猫生のクオリティを必ず上げてくれると思う。

    • +5
  16. 人間にも言えることだけど無理矢理引き伸ばされただけの長寿ではなく、限られた時間の中で可能な限り健康で苦しまずにいて欲しい
    その結果寿命が伸びるのは勿論大歓迎
    そういう薬だよね

    • +2
  17. わんこやにゃんこは大好きだけど、先に死んじゃうから怖くて飼えない。
    ちょっと前には長年リクガメを飼っているおじいちゃんが、カメの方が自分より長く生きそうなので、自分亡きあと面倒をみてくれる人を探してるって話があった。
    ペットは家族だからお別れは辛いけど、人工的に長生きも複雑…

    • +1
  18. 家畜用の薬が某コロナに効くと思い込んで医療圧迫に拍車をかけた人々が世界中にいたから
    これもこぞって買い込むんだろうな

    • 評価
  19. そりゃ長く一緒にいたいけど健康寿命が大事で生きる年月じゃない気もする
    薬でどうこうしていいのかと複雑な気持ちになる記事だった

    • 評価
    1. >>26
      きっと高い薬になるだろうから、若くて元気な頃は誰も見向きもしない
      老犬になって弱ってきた頃に、皆はこの薬に手を出すだろう

      身体の自由もままならなくなった状態で、安直に延命される犬が増えるだろうって思うと、
      諸手を上げて賛成できないのはあるよね

      • -1
  20. 先週に愛犬を亡くしたばかり。
    16歳で亡くなる当日も庭で遊んだり
    食欲も旺盛だったけど、最後の1年は心臓の病気で咳も出て病院のお世話になっていた。

    • +3
    1. >>27
      あなたのワンちゃん幸せだったと思います

      • +3
  21. 大型犬もせめてネコちゃんぐらい伸びてほしいね
    でもあんまり長生きするようになると飼えなくなっちゃうのもつらいんだよ

    • +1
  22. 長寿ではなくて猫の腎臓病みたいに犬に多い病気が瞬時に治る薬を作ってほしい。
    元気で寿命を全うできるなら幸せだ。だがいろんな病気が長引いて治らず長生きだなんてそりゃ人間と同じになってしまう。

    • +2

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