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6000年前に絶滅したと思われていた有袋類のフクロモモンガ科2種が再発見される

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6000年ぶりに生息が確認されたフクロモモンガ科のピグミー・ロングフィンガード・ポッサム Photo by Carlos Bocos (CC-BY-4.0)
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 ニューギニア島の熱帯雨林で、約6000年前に絶滅したと考えられていた有袋類、フクロモモンガ科2種が再発見された。

 6000年前というと日本では縄文時代、エジプトのピラミッドすら建てられていない時期だ。

 オーストラリア博物館などのチームが、30年以上も「別種」と誤認されていた古い標本の再鑑定や、現地の最新写真から特定に成功した

 古代の生態系が残されていた貴重な発見として注目されている。

 この査読済みの論文は、学術誌『Records of the Australian Museum』(2026年3月6日付)に掲載された。

6000年ぶりに再発見された奇跡の有袋類

 オーストラリア博物館のティム・フラナリー教授らによる国際研究チームは、ニューギニア島(インドネシア西パプア州)の西端に位置するフォーゲルコップ半島(ドベライ半島)にて、2種の有袋類が生存していることを確認した。

 これら2種は、約6000年前の化石記録を最後に生存の証拠が途絶えていたため、科学界では絶滅種とみなされていた。

 このように、分類学で絶滅したとみなされた生き物が長い年月を経て再発見される現象を、聖書で復活した人物の名にちなんで「ラザロ分類群」と呼ぶ。

 今回の発見は、まさに数千年の時を超えた奇跡の復活劇といえる。

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ニューギニア島西部を構成する大きなフォーゲルコップ半島(ドベライ半島) public domain / Wikimedia

再発見されたフクロモモンガ科2種の特徴

 生存が確認されたのは、以下の2種で、いずれもフクロモモンガ科に属する。

ピグミー・ロングフィンガード・ポッサム(Pygmy Long-fingered Possum )

 フクロモモンガ科フクロシマリス属。学名:Dactylopsila kambuayai

 最大の特徴は、左右の手にある薬指(第4指)が他の指の2倍近い長さに進化している点だ。

 この長い指をピンセットのように使い、樹皮の中に潜む虫の幼虫をかき出して食べる。

 かつて氷河期にオーストラリアから姿を消したと考えられていたが、ニューギニアの孤立した森で生き残っていた。

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6000年ぶりに生息が確認されたピグミー・ロングフィンガード・ポッサム Photo by : Carlos Bocos (CC-BY-4.0)

リングテイル・グライダー(Ring-tailed Glider )

 フクロモモンガ科トウス属。学名:Tous ayamaruensis

 耳に毛がなく、物を掴める強力な尾を持つ。当初は既存のグループに近いと考えられていたが、独自の形態から新属「トウス属(Tous)」として独立した分類群に認定された。体重は約300g。

 有袋類で新属が記載されるのは1937年以来の快挙である。1年に1匹しか子供を育てないため、非常に希少な存在だ。

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再発見されたリングテイル・グライダーはトウス属という新属に分類された。 Photo by Arman Muharmansyah (CC-BY-4.0)

発見を導いた30年前のミスと現地の守り神

 今回の歴史的な特定には、意外な証拠が組み合わされていた。

 一つは、オーストラリア博物館に1992年から保管されていた標本だ。30年以上も別の種と誤認されていたが、これを研究チームが最新の知見で精査し直したことで、実は絶滅したはずの種であることが判明した。

 もう一つは、現地に住むメイブラット族やタブラウ族の協力だ。

 彼らはこの動物を「トウス(先祖の霊が宿る神聖な生き物)」と呼び、大昔から大切に守ってきた。

 科学者が絶滅したと思い込んでいた間も、彼らにとっては身近な守り神であった。新属名の「トウス」も、この現地の言葉に由来している。

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リングテイル・グライダー Photo by Dewa  (CC-BY-4.0)

古代の生態系を残すフォーゲルコップ半島を保護する活動

 フォーゲルコップ半島は、地質学的に古代オーストラリア大陸の一部がニューギニア島に組み込まれた場所である。

 そのため、この地は厳しい環境変化の中でも古代の生態系が破壊されずに維持された「生存圏(学術用語で Refugia:レフュジア)」のような役割を果たしてきた。

 しかし現在、これら希少な動物たちが住む熱帯雨林は、森林伐採の脅威にさらされている。

 研究チームは世界野生生物基金(WWF)や地元のコミュニティと協力し、土地の権利を確保することで、この貴重な生物多様性を守る対策を急いでいる。

References: Australian / Theconversation / Theconversation

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この記事へのコメント 12件

コメントを書く

  1. この子たちにとっては見つからない方がよかったのではなかろうか…

    • +18
    1. 微妙なところですね
      見つけたからには研究されるし保護にも動ける
      そうすれば気づかずに絶滅させてしまう危険性が低くなる
      全て人の善意で動いたらの話で、経済を優先したり人の欲によっては絶滅が加速する可能性もあるという

      • +27
    2. 見つからなければ、そのまま森林資源や農地のための伐採で
      本当に滅びていった可能性もあるから…
      発見が遅れた場合でも手遅れになった可能性もある。何ともいえない

      • +19
  2. 最近のこの手の発見って実際に発見したんじゃなく
    とっくに見つかって見た目で分類してたものをDNA解析で似てるだけで
    実は別の種だったんだ、更に目まで違う違う別の生き物じゃないか
    なんてのがわかってきただけってのが多いんだよな

    • +7
    1. そうなんだ 学者さんというか分類
      の世界も大変ね

      • +6
  3. 先祖の霊が宿る神聖な生き物に属するって素敵

    • +5
  4. 背中で咲いてる遠山桜 散らせるものなら散らせてみやがれ 🌸( ー`дー´)キリッ

    • -4
  5. カメレオン的なスロー・ロリスかと思った!
    なになにフクロモモンガ科フクロシマリス属。。。
    フクロシマリス?
    こんなのもいたんだ、みんな知ってたの?

    • +3

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