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かつて温泉だった泥風呂の中で時を止めた20体以上の彫像が2300年の眠りから目覚める

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(著) (編集)

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 イタリア、シエナ近郊にあるサン・カシャーノ・デイ・バーニの温泉には、2300年も遺物を保護する特別な効果があったようだ。

 この古代の温泉遺跡を調べる研究チームが、泥の下に横たわるお宝をついに発見したのは、発掘作業を開始して3年がたった昨年のことだった。

 最初は、硬貨や像の一部など、小さなものばかりが出てきたが、まもなく、この地域の歴史の中でもっとも重要な発見のひとつとされるものと対面することになった。

温泉の泥の中から発見された20体以上の彫像

 泥の中に埋もれていたおかげで、2300年以上も完璧な状態で保存された彫像が、20体以上出てきたのだ。そばから、およそ5000~6000枚の金貨、銀貨、銅貨も発見された。

「ここにはなにか埋まっているという予感はありましたが、見つかったものはまったく予想外のものでした」発掘監督のエマヌエル・マリオッティ氏は語る。

「まるで封印を解かれるのを待っていたタイムカプセルのようでした」

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古代の温泉遺跡から見つかった3つの頭部像 / image credit:Emanuele Antonio Minerva – c Ufficio Stampa e Comunicazione MiC

2300年以上も眠りについていた彫像

 これらの像は、紀元前2世紀から紀元1世紀、この地域が大きな動乱の渦中にあった時代に作られたものだ。

 この時期は、古代トスカーナにおいて、エトルリア人とローマ人の間で重大な変革があった時代だという。

 ローマとエトルリアの都市間で大きな紛争があり、中心都市の社会構造の中でも争いがあった。

 しかし、研究チームによると、見つかった彫像からは単なる対立だけでなく、ふたつの異文化の調和が深まりつつあったこともうかがえるという。

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泥の中で完璧に保存された彫像が、数千年ぶりにその姿を表した / image credit:Emanuele Antonio Minerva – c Ufficio Stampa e Comunicazione MiC

 発見物には、エトルリア語とラテン語で碑文が刻まれていて、エトルリアの伝統に従って埋められていた。

 この温泉施設は、西暦1世紀に落雷によって破壊され、フルグル・コンディトゥムという習慣により、神聖な場所に埋められることが要求された。

 だが、その神聖な場所が水辺だったというのは、ローマの伝統だ。発掘調査のリーダーで、シエナ外国人大学のヤコポ・タボッリ教授は言う。

「人が水になにかを与えるのは、水がなにかを返してくれることを期待しているからです」

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この頭部像の首の部分に碑文が刻まれているのがわかる / image credit:Emanuele Antonio Minerva – c Ufficio Stampa e Comunicazione MiC

儀式的に水に投げ入れられたギリシャやローマの神々の像

 彫像の多くは、健康と衛生の女神ヒュギエイアや、太陽と治療の神アポロなど、ギリシャ・ローマの神々を描いたもので、もともとは聖域にあったものだが、その後、儀式的に水に投げ込まれた。

 碑文で言及されているいずれかの家族の所有物だったのかもしれない。

 彫像が、テラコッタ(粘土の素焼き)ではなく、ブロンズで作られているところが、当時としては特に目立つため、エリートの邸宅にあったものではないかと、タボッリ教授は指摘する。

 しかし、これら発見物が示すものはそれだけではない。

イタリアでは昔から温泉効果が信じられていた

 サン・カシャーノ・デイ・バーニには、今日でもその治療効果を求めて人が集まるが、2000年以上前も状況は変わらなかったということがわかる。

 神々以外の彫像は、描かれているテーマがより現実的で、さまざまな病に苦しみ、温泉治療に訪れた男性、女性、子どもを表しているのだ。

「ここは治療の場で、さまざまな文化や医学知識と出会える場所だったのです」マリオッティ氏は語る。

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子供と思われる小さな彫像。奉納物として使われたようだ / image credit:Emanuele Antonio Minerva – c Ufficio Stampa e Comunicazione MiC

これらの遺物を集めた博物館が建造予定

 ついに長い眠りから覚めたこれらお宝の彫像は、今後どうなるのか?
 専用の新しい博物館が建てられる予定だという。

「この発見は、サン・カシャーノに、文化的、観光的なものだけでなく、真の意味での再生の機会を与えてくれます」アンニェーゼ・カルレッティ町長は語る。

「サン・カシャーノに、優れた彫像を収容する新しい博物館が建てられ、考古学公園も整備されるでしょう。このふたつの新たな場所が、この地域の発展の真の原動力となるはずです」

 彫像の多くは、今年すでにローマのクイリナーレ宮殿で展示されているが、発掘現場では、まだ研究者たちが調査に忙しい。

「私たちは、この聖域の構造を再建していますが、太古の昔、記念碑的な存在だったこの遺跡全体ついて、まだまだ知るべきことはたくさんあります」タボッリ氏は語る。

「この発見は、古代芸術の歴史、そしてトスカーナにおけるエトルリア人とローマ人の歩みの歴史を書き換える、またとない機会なのです」

References:Dozens Of Statues Were Buried In A Mud Bath For 2,300 Years, Preserving Them Perfectly | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 16件

コメントを書く

    1. >>5
      おっと、忘れた 「彼女の想いで」

      • 評価
  1. 病に苦しみ温泉治療に訪れた人々の彫像ってのは新しいな、聞いたことなかったが他のところでもあるんか?

    • +1
  2. 「眠りから目覚める」なんてタイトルだと何か超自然的なものが復活しそう。像に封印された悪魔が「ゆっくり長湯してたのに邪魔すんじゃねえ!」とか。

    • +3
  3. サイズ感判らんが原寸大でこの泥まみれだと御遺体か彫刻か判別付かないな

    • +6
  4. 子供の像とかもそうだけど、なんかポンペイを彷彿とさせるな

    • +6
  5. 本当に彫像なのかと疑うレベルのリアリティだな

    • +1
  6. 写真○体遺棄事件の現場みたいやん
    第一発見者びっくりしただろーな

    • +3
    1. >>15
      泥被りのせいでポンペイの犠牲者の石膏にも見えるよな

      • +5

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