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ガラパゴスの深海で新種の青いタコを発見!ゴルフボールサイズのちっこいやつ

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(著)

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Image credit:Charles Darwin Foundation
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 ガラパゴス諸島の水深1773mの深海で、ゴルフボールほどの小さな青いタコの新種が発見された。

 深海に生きる頭足類の多くは透明か暗色だが、このタコは自然界でも極めて珍しい青い体を持っていた。

 採集できたのは成熟したメス1個体だけという謎めいた存在で、アメリカのフィールド自然史博物館とチャールズ・ダーウィン財団の研究チームが新種であることを確認した。

 この研究成果は『Zootaxa』誌(2026年5月25日付)に掲載された。

参考文献:

ガラパゴス深海で出会った青い小さなタコ

 南米エクアドルの西およそ1000kmの太平洋上に浮かぶガラパゴス諸島は、ウミイグアナやガラパゴスゾウガメなど、世界で他に類を見ない固有種が1000種以上生息する生物多様性の宝庫だ。

 チャールズ・ダーウィン財団とガラパゴス国立公園局は、オーシャン・エクスプロレーション・トラストが所有する海洋調査船「ノーチラス 」で、諸島の最北端に位置するダーウィン島付近の深海調査に乗り出した。

 ダーウィン島は、19世紀にガラパゴス諸島での観察をもとに進化論を打ち立てた英国の生物学者チャールズ・ダーウィンの名にちなんだ島だ。

 調査チームはROV(遠隔操作無人潜水機)と呼ばれる、ケーブルで船とつながれたロボット型の潜水機を海底へと送り込んだ。

 ROVに搭載されたカメラとライトを使えば、人間が直接潜れないような深海でも、船上からリアルタイムで海底の様子を観察できる。

 海面下1773mの海底にある海底山の斜面をカメラがゆっくりと映していたとき、研究者たちは、青い体をした小さなタコを発見した。

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Image credit:Charles Darwin Foundation

 深海に生きるイカやタコなどの頭足類の多くは、光がほとんど届かない環境に適応して透明か暗色の体に進化している。

 水深1773mの暗闇で青い体をしたタコがいたことは、研究者たちを驚かせた。

 自然界の生き物にとって、青い体色は極めて珍しい。

 植物で青い花を咲かせる種は全体の10%未満とされており、動物でも青い色素を体内で作り出せる種はごくわずかだ。

 調査中にさらに2個体の映像も記録したが、実際に採取できたのは成熟したメス1個体だけだった。

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Image credit:Charles Darwin Foundation

たった1つだけの標本をマイクロCTスキャンで調査

 調査を終えた研究チームは、採集した深海標本をチャールズ・ダーウィン研究ステーションへ持ち帰った。

 数十点の標本を仕分けしていくなかで、ゴルフボールほどの大きさしかない青いタコは一際目を引いた。

 既知のどの種にも当てはまらず、研究チームは頭足類の専門家であるジャネット・ヴォイト博士に写真を送って鑑定を依頼した。

 ヴォイト博士は米イリノイ州シカゴにあるフィールド自然史博物館の無脊椎動物部門の名誉学芸員で、40年以上にわたってタコの進化を研究してきた第一人者だ。

 写真を見た瞬間、まだ登録されていない未知の生き物であることを確信したという。

 標本はアルコールとホルマリンで保存処理されたのち、ガラパゴス諸島からシカゴへと送られヴォイト博士の手元に届いた。

 このタコを正式な新種として登録するには、口や嘴(くちばし)、歯といった体の各部位を詳しく観察しなければならない。

 通常はそのために標本を切り開くが、手元にある標本はたった1個体しかない。切り開いてしまえば二度と元には戻らない。

 そこでヴォイト博士は、フィールド自然史博物館のX線CTラボを管理するステファニー・スミス)氏と協力し、マイクロCTスキャンで標本の内部を調べる方法を選んだ。

 マイクロCTスキャンとは、医療用CTの超精密版だ。何千枚ものX線断面画像をコンピューターで合成することで、標本を切り開かずに内部の3D構造を丸ごと再現できる。 

 スキャンによって口の構造や内臓の詳細が次々と明らかになった。

 さらに体色も、背中側の皮膚はほぼ色素がなく滑らかな淡色で、腹側は濃い紫色をしていた。

 多くの動物は背中が暗く腹側が明るい「カウンターシェーディング」と呼ばれる配色で周囲に溶け込むが、このタコは上下が逆転した「逆カウンターシェーディング」という珍しい体色パターンを持っていた。

 多くの動物は背中が暗く腹側が明るい配色で周囲に溶け込む。

 ヴォイト博士は、このタコが逆カウンターシェーディングなのは、生物発光する獲物を腕で覆ったときに腹側の濃い紫色が光を外へ漏らさず、タコ自身が天敵に気づかれないようにするためではないかと推測している。

 また、墨袋を持たないことも確認された。

 タコが外敵から身を守るために墨を吐くのはよく知られた習性だが、深海に生きる種の中には墨袋を持たないものもいる。

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Image credit:Charles Darwin Foundation

新種であることを確認、タコの科の定義を見直すきっかけに

 詳細な分析の結果、正式に新種であることが確認された。

 研究チームはこの青いタコがメガレレドニダエ科(Megaleledonidae)のミクロエレドネ属(Microeledone)に分類されるとして、ミクロエレドネ・ガラパゲンシス(Microeledone galapagensis)」という学名を与え、新種として記載した。

 ミクロエレドネ属はこれまで、南太平洋のニューカレドニア沖に生息する小型のタコ、ミクロエレドネ・マンゴルディの1種しか知られておらず、ガラパゲンシスの発見で2種目となる。

 また、メガレレドニダエ科(Megaleledonidae)は、全長最大900mmにもなるオオイチレツダコ属をはじめとする南極の大型タコを中心に12属・約43種で構成される。

 メガレレドニダエ科は長らく「南極海に生息する大型のタコ」として定義されてきたが、実際には南極以外で採集された小型の標本も以前から複数存在しており、定義と実態の間にずれが生じていた。

 赤道直下のガラパゴス深海で青く小さいタコが見つかったことは、そのずれを決定的に示した。

 研究チームはこれを機に、地理的分布ではなく形態的特徴に基づいた定義へと正式に改訂した。 

 海洋生物種の約90%はまだ未発見のままだと推測されている。 

 ガラパゴスの深海もまだほとんど探索されていないのが現状だ。

 探査技術が進むことで、今後も続々と新種が発見されことだろう。発見された時点で絶滅危惧種であることも珍しくない。

 新たな発見で生態系への理解が深まれば、保護や保全に向けての活動も行いやすくなるかもしれない。

References: A new species of Microeledone from Galápagos Islands and an amended diagnosis of the Megaleledonidae

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