
嗅覚は脳の記憶回路と直結しており、香りを嗅ぐことで、脳を刺激してくれるのだという。
実際、カリフォルニア大学アーバイン校の研究チームは、毎晩寝室に香りを漂わせるだけで、記憶や思考を司る脳領域のつながりが強化され、認知能力が大幅にアップすることを確認している。
つまり、嗅覚が脳に与える刺激が、脳の働きを維持するうえで重要な役割を果たしているというのだ。
嗅覚と脳に強いつながり
脳をいつまでも若く保つには、日頃から脳細胞に刺激を与えておくことが大切だという。人間には五感という感覚器官が備わっており、それらを活用することで、脳に刺激を与えることができる。音楽やってみるのもいいし、ゲームをやるのもいいだろう。だが、もう1つのアイデアとして、嗅覚を利用するというものがある。
じつは嗅覚は脳と強いつながりがある。
たとえば、匂いを感じる力の低下は、脳の認知能力が低下する前兆だったりする。さらに嗅覚の衰えは、脳細胞の減少とも関係していることもわかっている。
嗅覚が特別なのは、脳とのつながりにも見てとることができる。ほかの感覚ならば、まず脳の「視床(ししょう)」という部分を経由してから処理される。ところが嗅覚は脳の記憶回路に直結しているのだ。
だから、匂いには記憶を呼び覚ます強い力がある。何かの匂いを嗅いで、なんだか懐かしい気分になった経験は、誰にでもあるのではないだろうか?
ならば、脳を刺激するには、そんな脳と特別な絆で結ばれた匂いを利用するのが効果的かもしれない。カリフォルニア大学アーバイン校の研究チームは、それを実際に確かめてみることにしたのだ。

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睡眠時、心地よい香りを漂わせることで認知機能がアップすることを確認
今回の実験に参加したのは60〜85歳までの男女43人だ。まず参加者の半数に香りつきの天然オイル(ローズ、オレンジ、ユーカリ、レモンなど)の詰め合わせたアロマを、残り半数には微香料を使った”偽物”を自宅に持ち帰ってもらう。
そして6ヶ月間、毎晩2時間これらの香りをディフューザーで焚いてもらう。天然オイルをもらったグループは、毎晩アロマの漂う部屋で眠りにつくことができたわけだ。
期間終了後、今度はいくつかのテストを行い、実験前後で記憶力・言語学習能力・計画能力・注意力などに変化があったかどうか調べた。
すると驚いたことに、アロマを嗅いで暮らしていた参加者とそうでない参加者とでは、じつに226パーセントものはっきりとした差があることがわかったのだ。
さらに脳を検査してみると、記憶と思考を司る領域のつながりが構造的に変化しているらしいことも確認されたという。

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なお、今回の参加者は全員が認知機能に問題がない人たちばかりだった。そのため、すでに認知機能が低下した人にも同じことが言えるのかどうか定かではない。だが少なくとも今回の研究結果を見る限り、心地よい香りは、認知機能を維持させるのに有効のようだ。
匂いは私たちが考えている以上に脳に影響を及ぼすようだ。ただ寝室に、好きな香りのアロマを置くだけでいいので、試す価値はあるかもしれない。
この研究は『Frontiers in Neuroscience』(2023年7月24日付)に掲載された。
References:Exposure to Certain Fragrances During Sleep Dramatically Boosts Cognitive Function : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
自分はうちの猫ちゃんの香りかキャットフードの匂いがいい
2. 匿名処理班
毎晩2時間も香料を焚けと面倒なことを言われて自分に与えられたものが微香で偽物と疑われたらムカついて認知機能が下がりそうだ
3. 匿名処理班
確かに鍼灸とかエステ行くと「いい匂いだなあ〜…」って眠くなる。まあ、それはマッサージが効いてるのもあるだろうけど。
いい香りが認知機能の向上をもたらすと言うより、そもそも睡眠の質自体を改善してくれて、それが結果的に認知機能に影響を及ぼすんじゃないかな。
4. 匿名処理班
寝てる人の顔の上で屁をこくな
ということだな
5.
6. 匿名処理班
紀元前のエジプトが有名だけど文字も残していないような民族も香草を使っていた形跡があったりするぐらいだから何かしら効果はあるんだろうなあ。
時々すごい引き付けられる香に遭遇するけど通りすがりのお姉さんから微かに香ったりすることが多いので何の香水かわからない。
7. 匿名処理班
自分の布団の匂いが好き
認知機能が向上している実感はない
8. 匿名処理班
>>3
アロマセラピストの有資格者です。
鍼灸やエステの心地よさはタッチング(ふれあい)よるものと言われてます。
嗅覚と脳の関係性のデータはありますが、アロマセラピーの作用については実際に効果があるというのと、プラセボ(〇〇の香りが〇〇に有効)の両方があるため、確実ではないということを研修で聞きました。
匂いの好みは個人差があり、その日の体調や心境等で好みが変わるし、体調がイマイチの時では好きな香りでも不快に感じることもあります。
睡眠中の匂いの活用については今後も研究が必要ではないかと思います。
9. 匿名処理班
>>1
鼻の下にキャットフードつけておけば
夜中に猫が舐めに来てくれて良い安眠が出来そうだね
10. 匿名処理班
寝ているアメリカ人にピザやベーコンの匂いを嗅がせたらどうなるんだろう?
11. 匿名処理班
自分は淹れた直後の少し離れた位置からするコーヒーの香りだなぁ
まぁ寝る前だったら飲めないけど
12. 匿名処理班
>>2
天然オイルでないとダメって話なのよねこれ?
微香料だとダメなら、いい香りで認知機能アップではなく天然オイルアロマで認知機能アップ、としないと。
13.
14. 匿名処理班
>>9
ペロペロされたら嬉しくて起きちゃう
15. 匿名処理班
眠ってるときは嗅覚はマヒするのだが
(浅い眠りの時はわかるかもしれない)
本人が判らなくとも脳は感じてるのかな?
16. 匿名処理班
何のニオイもしない空間で寝たい
いい香りでもずっとは嗅ぎたくない
17. 匿名処理班
だからぁ、布団の中で屁ぇこいたらあきまへん
18. 匿名処理班
フランス艶笑小噺の「寝ているナポレオンにチーズの匂いを嗅がせたらジョゼフィーヌの体臭と間違えた」に説得力が出てきた
19. 匿名処理班
匂いによってはダニが寄ってくるから気をつけてな
20. 匿名処理班
魅力的な話だけど、アロマオイルも持病によって
使えない種類があったり、香りの好みがあったり
猫飼ってると使えなかったり、意外とハードル高いんだよな
誰でもどこででも簡単に使えるディフューザーがあればいいけど
21.
22. 匿名処理班
>>2
そのネガティブ思考でどれだけのことをやる前から諦めてきたか想像つくわw
23. 匿名処理班
微香料では駄目ということは、強烈な匂いが必要ってことなの?
部屋がずっと匂うの苦手なんだがいい方法ないかなあ。
24. 匿名処理班
>>17
日本人のたしなみ
25. 匿名処理班
昔寝てる人にカレーの匂い嗅がせると起きるってやってて笑った覚えがある
26. 匿名処理班
>>20
ローズマリーが系統次第で刺激強いかもぐらいで他は知らんなぁ
ディフューザーはメンテだるいけど最近はネブライザー式も安価だよ
俺は鎖骨に垂らしてるがな(`・ω・´)
27. 匿名処理班
よくある話だけど、あの手の香りがあまり好きでなくてもいいのだろうか?
28. 匿名処理班
>>20
猫飼ってるからマスクで楽しんでいるよ
精油を垂らしたコットンをしばらく放置して飛ばしたら裏返してマスクにin
予め密閉容器に何枚か作っておく方が香りが満遍なく移って柔らかいかも
29. 匿名処理班
そうか〜。
寝っ屁をこいたら悪夢を見るのか・・・・。
30. 匿名処理班
>すると驚いたことに、アロマを嗅いで暮らしていた参加者とそうでない参加者とでは、じつに226パーセントものはっきりとした差があることがわかったのだ。
そりゃ100%どころか200%越えの差が出ちゃ、相当すごくて驚いちゃうわなw
ホントはどの程度の差だったんだろ…