
似たもの同士が仲良くなるのはわかるが、なぜ体臭の似たもの同士までが仲良くなるのか? その理由は、体臭には遺伝子の構成が反映されているからであるようだ。
今回の研究はあくまでも「同性の友人関係」においてだ。「恋愛関係」ではないことに留意したい。
体臭と友人関係にどんな関連性があるのか?
『Science Advances』(2022年6月24日付)に掲載されこの研究は、出会ってすぐ意気投合したという同性の友達20組の体臭を、電子感知装置「eNose」の鼻で分析しながら行われた。研究対象となったのは、恋人ではなく同性の友達だ。イスラエル、ワイツマン科学研究所のインバル・ラブレビー氏によると、じつは人間は体臭で男女の違いを区別できるくらい鼻がいいという。
これまでの研究では、体臭が違う異性ほど恋人候補として惹かれることがわかっている。
このことから、体臭には遺伝子の構成(特に免疫関連)が反映されており、無意識のうちに自分とは違う遺伝子の持ち主を選ぶことで、子孫が生存する可能性を高めようとしていると考えられる。
では友達ではどうなのだろうか? 仲のいい友達は、年齢・価値観・性格など、多くの点で似たもの同士であることが多い。これは体臭についても言えるのだろうか?

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体臭が似ていると意気投合しやすくなる
今回の研究で検証したところ、やはり友達同士のニオイは、適当な組み合わせのペアよりも似ている傾向にあることが判明した。これはデータ上の話だけではなく、実際に人間に体臭を嗅がせて評価させても、同じ結果になっている。なお「eNose」は71.21%の確率で、ある人たちが意気投合するかどうか予測できたそうだ。

「eNose」image credit:Genia Brodsky and Noam Sobel / WIKI commons
なぜ体臭の似たもの同士が仲良くなるのか?
なぜ、私たちは体臭の似たもの同士が仲良くなるよう進化したのだろうか? これはもしかすると、遺伝的な類似を知るための無意識のメカニズムなのかもしれない。ラブレビー氏は、友人関係はただの適当な組み合わせではなく、遺伝的な似たもの同士なのだろうと推測する。だが私たちは初対面の人のゲノムを解析して、友達になれそうか判断したりはしない。
そこで体臭を手がかりにする。すでに説明したように、体臭は遺伝子の構成を反映している可能性がある。だから自分と他人の体臭を比べれば、どのくらい遺伝子が似ているか推測できる。
ではなぜ、遺伝的な似たもの同士が仲良くなるよう進化したのか? それは自分に似ている友人を助ければ、自分に似た遺伝子を残せるチャンスが高まるからかもしれない。

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嗅覚は対人関係に影響する
初期の新型コロナでは、ニオイがわからなくなる嗅覚障害と言う症状があったが、嗅覚は対人関係においても重要な機能だという。ラブレビー氏らは研究論文で、今回の結果は嗅覚障害になると対人関係で苦労するようになるという報告に一致すると指摘する。
また、対人関係が苦手な「自閉スペクトラム症」の人は、化学シグナル伝達が普通とは違うことが明らかになっているのだという。
なお、月経の周期と友人関係がシンクロするという話があるが、今回の研究では確認されていない。
研究に参加した女性の「避妊ピルの使用」「月経周期の順・不順」「月経周期」が今回の結果を説明できるかどうか試してみたが、特に関係は見当たらなかったようだ。

Photo by Liz Weddon on Unsplash
ウマが合う友人が欲しいなら、ニオイを嗅いでみよう
体臭と人間関係の研究はまだまだ続く。ラブレビー氏らはすでに、人間の体臭を操作して、その背後にあるメカニズムを探る研究に着手している。
自分に似た体臭の持ち主を嗅いで、友達になりたいと思うかどうか、脳の反応から検証するのだそうだ。
現時点の仮説では、似た体臭を嗅ぐと、脳の自己に関連する領域と社会性に関連する領域が強く活性化すると予想されるという。
さらに言えば、人生の多くが小さなことの積み重ねであるように、人とのやりとりにもそれと似た部分があるのではないだろうかとのことだ。
あなたがずっと仲良しでいられる友達が欲しいと思っているのなら、さりげなく体臭を嗅いでみよう。案外、すぐ近くに親友の候補がいるかもしれない。
References:Friends at first sniff: People drawn to others who smell like them / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
加齢臭に加齢臭が合わさって強い(´・ω・`)
2. 匿名処理班
以前研究発表された時、確かに似た臭いに引き寄せられるけど
人の場合は天邪鬼、気に入った臭いでもむかついたら絶対に嫌だ
という感情も持ってるので必ずしも正しいと言えんという答えだった
3. 匿名処理班
鉛筆の芯系は大好きだけど腐った玉葱系は無理
腐ったザリガニ系は普通。
4. 匿名処理班
恋愛対象ではないのに匂いが似てるから娘に嫌われるお父さん涙目。
5. 匿名処理班
類が友になるのは自然なことだけど、いったん嫌いになると似てるだけに手に負えないからな。
6. 匿名処理班
風呂から上がったばかりだというのに
むせるほどの体臭の私に
果たしているかな
7. 匿名処理班
>>3
人間界なのかな?
8. 匿名処理班
自分の匂いって気づきにくいけど、他人でも自分と似た匂いだと気づきにくそう
9. 匿名処理班
「足が臭いカップルは、いやだな。」🐴
10. 匿名処理班
身近すぎて匂いが気にならない、文字通り鼻につかないって事か
11. 匿名処理班
3代目汗体臭
12. 匿名処理班
じゃあ親友にNTRってのは体臭も一役買ってるってことか
13. 匿名処理班
体臭が近い人達って食べる物のバランスが似てるんだと思う
消化されて生成された成分や代謝によって産出された物質の蓄積が体臭の元になっていく訳だから
似たようなものを食べるグループは似たような場所に集まりやすいし好むものも傾向が近くなる
14. 匿名処理班
旦那が臭いと言っている嫁は運命の人では無いと言うことか!
15. 匿名処理班
異性の場合は子供作る為であって結婚生活だけなら体臭が近い方が暮らしやすいかも知れない
まぁ遺伝子が近いから仲が良いとも限らないが
16. 匿名処理班
>>4
自分が父親苦手なの、匂いが似てるからだったらそれもめちゃくちゃ嫌だなと思った
似てないとは思うけど
17. 匿名処理班
理論に根拠がないな
友達から恋愛への移行への説明がつかない
18. 匿名処理班
嗅覚は原始的な感覚の一つで、嗅ぎ分けることで人間は判断してきたといわれる。
現代は消費期限等視覚で判断できるようになったので、嗅覚を使わなくてもいいと
いうが、やはり異性や友人を選ぶ時も嗅覚が判断しているという気がする。
おなじ空気を吸えるのもライフスタイルが似たような仲間をかぎ分けているのかも。
19. 匿名処理班
これは何となく分かる
似たような匂いというより違和感のない匂いだと普通に対面できる
20. 匿名処理班
グッドフェローモン
21. 匿名処理班
※17
なんで恋愛が出てくるの?
22. 匿名処理班
※21
本文飲んでから質問しましょう
23. 匿名処理班
>>17
香水とかでこの女の香水ダメだな。とか無い?
24. 匿名処理班
俺ホームレスの臭いがするってよく言われるんだよ。毎日風呂入ってるのになあ。
25. 匿名処理班
※22
>「恋愛関係」ではないことに留意したい。
読んだよ。飲んではいない。
26. 匿名処理班
これはわかる。嫌いになったら匂いも急に受け付けなくなるからよくわかる。
27. 匿名処理班
これが典型的に出るのが、異民族の移民集団
(食生活や遺伝体質による体臭など)で、
「臭い」みたいな本能的な排斥はよくあったけど
(移民が疎外されるにせよ、原住民が抑圧されるにせよ)、
現代ではストレートにそれ言うと差別になるからなぁ…。
28. 匿名処理班
>>16
同じ遺伝子を持つ父親は恋の対象外になるように、嫌いって思うようになってるんですって。
子孫繁栄の為のすごいプログラムなのよ。
29. 匿名処理班
じゃあ災害時の避難所とか一時的に密集しなくてはいけないときに
全員の体臭を弱めて一種類の匂いを後付けしてあげれば
知らん人がたくさんいるストレスが緩和できたりするのかな?
30. 匿名処理班
>>28
同じ遺伝子なのすら嫌ってことじゃない?
すごいこじれた家庭の雰囲気を感じるけど
31. 匿名処理班
>>29
匂いだけじゃなくて
音や視線もイライラの原因だと思う
32. 匿名処理班
>>24
体臭じゃなくて服とか靴とかリュックとか、身に着けてるものから臭いが漂ってるのでは?