
image credit:Antiquity (2022)
ロシア、北コーカサス地方で出土した、およそ5000年以上前の金と銀でできたパイプは、世界最古のストローである可能性が高いという。1897年夏、マイコプ近くの墳墓の発掘中、人骨が安置された3つの玄室のうち最大のものから、先端に細い穴のあいた、長さ1メートル以上ある細いパイプのようなものが8本見つかった。
大麦の痕跡が残っていたことから、ビールを飲むのに使用されていた可能性が高いという。
金と銀で出来た飾りのついたパイプはストローだった
現在、サンクトペテルスブルグのエルミタージュ美術館に所蔵されているこの細いパイプは、紀元前4000年前にさかのぼるものだ。複数に分かれた部分をつなぎ合わせて使うようになっており、8本のうち4本には、金や銀の雄牛の像がつけられていた。

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image credit:Antiquity (2022)
このストローを使って数人でビールを飲んでいた
これまで、このパイプは葬列に使う天蓋の支柱か、権威を示すための笏ではないか、と言われていた。だが、ロシアの専門家チームは、ひとつの大きな壺の中から、数人でビールをシェアして飲むためのストローだとしている。
そうだとするなら、これは、長いパイプで飲み物を飲んでいた、もっとも初期の物的証拠といえます。
こうした習慣は、紀元前3世紀から2世紀にかけて、古代近東で祝宴の際に一般的に行われるようになった行為です

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学術誌『Antiquity』に掲載された論文によると、濾過が必要な飲み物を飲むために作られたストローではないかという。紀元前5世紀から4世紀のイランやイラクの印章には、ストローを使って飲み物を飲む人々の姿が描かれているものがあるし、紀元前3世紀のメソポタミア美術において、人々が長いパイプでビールを飲む宴会場面を描くのが流行した。
こうした証拠は、この金属製のパイプが、ストローとして使われていたという説を裏付けているという。
さらに、およそ4500年前のウル王墓のプアビ女王の墓から、金箔が貼られたアシの茎と、2本の金属のパイプが発見されているという。
パイプの先端には穴があいている。紀元前2000年ごろのレヴァントやメソポタミアで使われていた、アシのストローの先端の取り外しのできる金属製ストレーナー(濾過器)とも形状が一致する。

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メイコプ墳墓で出土した8本のストローは、8人分の宴会用アイテムだと思われる。彼らは出土品のひとつである大きな壺のまわりに座って、一緒にビールを飲んでいたのかもしれない
社会的つながりを生み出す宴会用アイテムだった可能性
研究チームは、1本のストローの先端から大麦のでんぷんの痕跡を発見した。「遺骨とともに見つかったストローのあった場所は、葬儀における宴会の重要性と、宴会を主催した人物の社会的地位の高さを示しています」ロシア科学アカデミーのヴィクトール・トリフォノフは言う。
ケンブリッジ大学のオーガスタ・マクマホン教授は、研究チームのメンバーではないが、これは非常に説得力がある説で、このアイテムの用途については想像にすぎないが、確かに機能的に納得がいくという。
大古のビールは、沈殿物の塊りが混じっていることが多く、濾過できるストローは必需品だったようです。紀元前3世紀から2世紀のメソポタミアでは、よく知られたツールでした。References:Party like a Sumerian: reinterpreting the ‘sceptres’ from the Maikop kurgan | Antiquity | Cambridge Core / written by konohazuku / edited by parumo
こうした大昔の飲料用ストローは、現代の宴会やパーティのように、社会的つながりを生み出す強力な手段として、みんなで共に飲食することの重要性を示していると思います
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コメント
1. 匿名処理班
ぶくぶくぶくぶく
2. 匿名処理班
きたねえ!
3. 匿名処理班
>長さ1メートル以上ある細いパイプ
環境大臣の政策かもしれないけど、吸い上げるのに疲れそうだね
4. 匿名処理班
洗うの大変そう
5. 匿名処理班
けっこう肺活量いりそうw
ストローで飲むビールって美味いんだろか
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8.
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10.
11. 匿名処理班
ストローでビール呑むと酔いの回りが早いらしいが、この当時のビールはアルコール度数が低かったのか?
12. 匿名処理班
古代の麦酒はたぶん、蜂蜜や果実などのアルコール飲料との混合酒だった。当時は醸造技術が未発達で糖をアルコールに転化させきれなかっただろうから、麦(発芽大麦。日本では水あめの原料になったりする)の酒も現代より甘味があったんじゃないかと思う。
地中海世界だったら酒は水で割るのが一般的だったが、コーカサスなら割らずに生の酒を飲んでいた可能性もある。甘くてくどいからそんなにガブガブとは飲めなかったんじゃないか。そのへんの事情を踏まえてみると、長いストローで楽しむ宴会の光景が想像しやすいかもしれない
地域は全然違うけど、ベトナム北部に旅行した時に現地の人たちと一緒に、大きいツボに長いストロー(藁)の何本も刺さった酒を飲んだ経験がある。食中毒が怖かったけど好奇心が勝って一口だけ飲んでみたが、やはり甘い、そしてあまり旨くはない酒だった。立ったまま吸ったんだけどとくに肺活量が要求されたような記憶はない
13. 匿名処理班
より酔う為の小道具でも有るんだろうか
14.
15. 匿名処理班
ストローだと断定するのはいかがなものか?
大麦の痕跡が残っていたことから、尻の穴に差し込んで浣腸に使用していた可能性も否定できない。
16. 匿名処理班
元々小さな壺の中で作った酒をストローで吸ってたってわかってたから、今更感パネェわ。
大勢で吸ってたってのは初めて知ったけど、それってパーティー用とかじゃ無いの?
17.
18. 匿名処理班
※16
>こうした大昔の飲料用ストローは、現代の宴会やパーティのように、社会的つながりを生み出す強力な手段として、みんなで共に飲食することの重要性を示していると思います
本文ではこういう見解
19. 匿名処理班
ここでタピオカをひとつまみ
20. 匿名処理班
この時代、ストローって結構作るのが難しかっただろうから、相当高価な品だっただろうな。
21. 匿名処理班
※15
なんぼなんでも長すぎ
22. 匿名処理班
古代エジプトも同じようにビールをみんなで飲んでいたはず
ストローは葦だったけど
23. 匿名処理班
※12
甘酒に清酒を混ぜて飲むとそんな気がしてくる
やたらと馴染む、本能が納得するんだよ・・・
自分は、異様にひなあられが好きなんだけど
混合酒を飲んでみてこれだと直感した
24. 匿名処理班
5000年も前から「発泡酒で安く酔う方法」が確立されていたとは!人類って偉い!!
25. 匿名処理班
当時のビールは上澄みだけ飲むものだからストローが必須だったんだと思う
26. 匿名処理班
当時のビールは常温だし、現代のビールとは別感覚の飲み物だったろうね。
27. 匿名処理班
※12 ※23
おっしゃる通り、昔のメソポタミアやエジプトで飲んでいたビールは本邦のどぶろくと同じく、残糖分が多い、甘いものであっただろうと考えられています。ホップも入っていませんし、発酵温度が高めで、したがって乳酸菌のような他の菌も多く存在し、甘酸っぱく香り豊かで、濁っていて泡立ちも穏やかな、度数の低い(そしてほとんど長持ちがしない)お酒であったでしょう。ビールと言っても現在我々が飲んでいるようなものとは、かなり異なるものです。
しかしながら何故それをストローで飲むのかというと、おそらくそのベトナムのお酒の場合もそうなのですが、古典的な(つまり冷蔵施設を用いない)醸造酒の場合、多くはその醪や粕が酒中に浮いたままで飲まざるを得なかったという事情があるためです。
発酵温度の高い古典的な醸造の場合、酵母は液体中層から表面に浮いたままで発酵が進みます。日本では主に上面発酵と下面発酵という言葉で説明されますが、欧米ではWarm fermentation(温発酵)とCool fermentation(冷発酵)という概念で説明されることが多いかもしれません。
どぶろくの場合は発酵中の酵母も、粕である米粒そのものも一緒に飲んで差し支えありませんが、麦の場合はより多く苦味などの雑味が出るようで、一緒に飲むということが今日でもあまり見られません。米と異なって穀殻をとりのぞきにくい事情もあります。低温殺菌法がなかった古代(あるいは現代であっても、そのようなコストを避けるごく小規模な醸造)においては、さらに別の菌が入ることを避けるためには、これを濾過清澄させることができなかったのです。
そこで一般的に使われたのが、非常に長いストローでした。これによって浮いた醪や粕を避けながら、おいしい液体部分だけを選択的に飲むことができたのです。液体下層から直接吸って飲めるような酒器も一部では見られたようです。
ttps://shankarkashyap.wordpress.com/2012/05/13/beer-a-royal-drink/
28. 匿名処理班
コメント欄に博識な人が多くてためになるなぁ
29. 匿名処理班
>>5
だから細い管を使うんだよ
30. 匿名処理班
>>15
君が大麦を尻穴から摂取するからといって他の人が同じように尻穴から摂取しているとは限らない
31. 匿名処理班
アフリカでは今でもこの飲み方やってる地域あるよね
32. 匿名処理班
>>20
ストローとは、元々、ストローの原材料は麦の穂を切り取った残りの麦稈(ばっかん)すなわち麦わら (straw) そのものが利用されていたため、この名前で呼ばれる。普通の麦わらと区別するには "drinking straw" と呼ぶ、農作物の副産物的なものだから難しくはないと思う
今回出てきたのは、墳墓に埋葬されていたようだから、一般人が使う麦稈を利用したものではなく、専用に作られていた事から使っていた人物(埋葬されている人物)の地位を表していたのではなかろうか。
33. 匿名処理班
なんで大麦の茎を使わなかったのか
34. 匿名処理班
>>33
一般人は使ってたと思うよ
今回出てきたのは、偉い人が使っていたらしい物だからね
麦稈(Straw)を使うとどうしても最初の一口は麦稈のあの味がするから、あれはあれで美味しいけどね。
35. 匿名処理班
ビールをストローで飲むと荒まじく悪酔いするらしいんだが。
酸素を無視して二酸化炭素だけを取り込むと、えらいことになるとか・・・体験者はいないか?
36. 匿名処理班
最初、酒好きロシア人の戯言かと思った。
37. 匿名処理班
>>35
君が体験して報告してくれないかな
38. 匿名処理班
吸ってるふりして戻す奴いそう…
39. 匿名処理班
※35
あらゆるお酒をストローで飲まなければいけないという罰ゲームをやるはめになり
ビールを大量に飲んだが別に酔う程度は変わりなかったね
中瓶10本くらいからは呂律が怪しくなっていたと思うけど
いつもそのようなものだし
40. 匿名処理班
盃を回し飲みするとか、わざわざ長いストローでみんなで一緒のツボから飲むとか、
酒一緒に飲んだら仲間〜とかいうのはどうしてこんなにも古今東西存在するんだろう。
酒飲めないヤツなんてきっと昔からいただろうにな〜
41. 匿名処理班
紙ストローは絶対後世の人間に馬鹿にされる