
1. ジルコン結晶(44億年前)

これまで地球上でできた物質としてもっとも古いもの。研究者たちは、およそ44億年前のものと推定していて、地殻のかけらとして確認されたものとしてはもっとも古いものとされる。
2001年、オーストラリアはパース北部の乾燥地帯、ジャック・ヒルズと呼ばれる場所で発見された。色は半透明の赤だが、電子線を照射すると青く変わる。結晶サイズは最大400マイクロメートルで、ハウスダストや人の毛髪4本分よりもわずかに大きい。
結晶ができた年代を考慮に入れると、地球は45億年前に溶けた岩石の球体として生まれたため、この破片は、地球誕生からわりとすぐの1億年後くらいにできたことになる。つまり、太陽系ができてから1億6000万年後にはこれは存在していたということだ。この発見によって、これまで考えられていたよりも、初期の地球は、比較的気温が低く、海(水)が存在していて、生命が生きられる場所であった可能性が裏づけられる。
2. 人工器官(3000年前)

3000年前のミイラと一緒に出土した人工の爪先は、歩行を補助するために使われた可能性がある最古の義肢と考えられている。
マンチェスター大学の研究者たちが、この人工爪先のレプリカを作って、爪先がない人に古代エジプトのサンダルのように履いてもらったり、圧力測定をしてテストしてみたところ、装飾用ではなくちゃんと実用に耐えられることが証明されたのだ。木と革でできたこの人工爪先は、紀元前950年から710年の間に生きていたと思われる女性と一緒に埋葬されていたという。

3. スイスアーミーナイフ(1800年前)

これが世界初のスイスアーミーナイフなのだろうか? 少なくとも6種類の機能がついていて、現代のマルチツールに驚くほどよく似ている。だが、これはスイスではなく、紀元200年頃のローマ帝国時代のものだ。
スイスアーミーナイフの前身らしきこの道具があれば、食事を楽しむことができる。先の尖ったスパイクは、かたつむりを殻から取り出すときに使えるし、鉤状のスパチュラのようなものは、容器からこぼれたソースをすくうことができる。フォークやスプーン、ナイフやつま楊枝のようなものまでついている。さらに驚くことに、これらの道具が全部コンパクトにナイフの柄の中に納まるようになっていて、今日使われているようなスイスアーミーナイフや、レザーマン社のマルチツールに本当にそっくりだ。

4. マリフアナ(2700年前)

2008年、ゴビ砂漠の2700年前の墓から世界最古の麻薬が見つかった。2ポンド近くある植物性素材で、まだ青々としていた。さまざまな試験の結果、強い精神活性作用のあるマリフアナであることがわかり、古代で栽培されていた植物は、衣類や縄などを作るための麻だけだったという説に疑問を投げかけた。
この大麻は、革のサックの中に入れられた木の椀の中に隠されていて、サックは45歳くらいで亡くなった碧眼の白人種男性の頭部近くに置かれていた。この男性は中国河南省固始(クーシー)のシャーマンだったのではないかと研究者たちは考えている。ここの人たちは、ケルト語に似ているが、現在はすたれてしまったトカラ語を話していた。
疑問は、墓からパイプやその他吸引道具が見つかっていないため、マリフアナをどのようにして吸っていたのかということだ。現在では、経口摂取したか、煙でいぶしたのではないかと考えられている。
5. 石器(330万年前)

一見、なんの変哲もないい石に見えるが、人類が初めて作り出したのよりも50万年前ほど前にはすでに存在していたという世界最古の石器だ。発見されたのは、ケニヤのトゥルカナ湖付近で、このあたりでは初期の人類の古代人工物がたくさん見つかっている。
この道具は330万年前のものであることは確かで、これまで見つかっている最古の石器よりも70万年も古い。つまり、人類が現われた280万年よりも前に作られていたことになる。初期の人類がこのような道具を作らなかったことは確かなので、人類の祖先が作ったものと思われる。おそらく400万年前にアフリカに最初に現れた猿人アウストラロピテクスではないかとのことだ。
この石器とこれまで最古だと考えられていたツールとの年代ギャップはとても大きい。これを作った者はその知識を伝授しないまま死に、その数百年後に新たに発明し直されたということかもしれない。
6. 性具(2万8000年前)

2005年、ドイツの科学者が、彫刻の施された世界最古の男根像を発見した。およそ2万8000年前のもので、シルト岩を磨いて作られた、長さ20センチのもの。チュービンゲン大学のチームが、シュヴァーベンのウルム近郊のホーレ・フェルス洞窟でこれを発見した。火打ち石として使われていたような疵がついていて、14のかけらを合わせて作ってある。
酷使していた火打ち石をリサイクルして、実物大の男性器に変身させてしまう、人間のとんでもなく豊かな想像力はなんともすばらしい。これは、有史前の性具として使われたものと思われる。同大の教授ニコラス・コナード教授は、意味深にこう言っている。「非常によく磨かれていて艶もある」
7. DNAサンプル(15万年前)

イタリアで発見されたアルタムラ人は、DNAを抽出された最古のネアンデルタール人となった。およそ15万年前、現在の南イタリアにある井戸にひとりのネアンデルタール人が落ちた。
1993年、洞窟探検をしていた人が、アルタミラの町の地下深くにあるラマランガの洞窟で、彼の頭蓋骨を見つけた。無傷の頭蓋骨と骨の山は標本として大いに役に立つが、骨は鍾乳石の壁や、何万年もしたたり続けた水滴によって蓄積した小石の中に閉じ込められていた。固く石灰化した洞窟の壁から無理に取り出そうとすると、骨が粉々になってしまう恐れがあったため、研究者たちはこのアルタムラ人をとりあえずそのままにしておくことにした。
しかし2015年、研究者たちはアルタムラ人の右の肩甲骨からかけらを採取してラボに持ち帰り、DNAを抽出して、彼がネアンデルタール人であることを確認した。DNAの配列を調べれば、わたしたち現生人類を含むすべてのヒト科生物の進化について、さらなる発見ができるのではと期待している。
8. 歌(3400年前)

楔形文字で書かれたフルリ語を含む、粘土板に書かれた音楽が、1950年代始めにシリアの古代ウガリット(現在のラスシャムラ)で発掘された。音楽は完璧な讃美歌で、世界最古の音譜として知られている。
この粘土板はおよそ紀元前1400年頃のもので、月の神の妻ニカルに捧げた讃美歌が書かれている。さらにおもしろいのは、ハープを伴奏に歌うときの歌い手への演奏上の細かい指示やハープの調律指南までついていることだ。
1972年、この楽譜が研究され始めてから15年、カリフォルニア大アッシリア学教授のアンネ・キルマー(バークリーのローウィ人類博物館館長)が、この最古の音楽を楽譜に書き起こした。
The Oldest Song in the World

9. クレームの手紙(3750年前)

この最古のクレームは古代メソポタミアの粘土板に書かれていて、紀元前1750年頃、古代バビロン時代の手紙と思われる。ナンニというある顧客から、EA・ナシルという貿易商に宛てたもので、購入した銅鉱石が粗悪な品質だったこと、誤った指示、さらには配達が遅れたことに対する苦情が述べられている。
この間、あんたはわたしにこう言った。"ギミル・シンに、良質な銅のインゴットを渡す"と。でも、あんたはその約束を守らなかった。わたしの使者に粗悪な品質のインゴットを渡したあげく、"欲しいならやるけど、いらないならとっとと帰れ!"と言った。via:oddee・原文翻訳:konohazuku
わたしを誰だと思ってる? ほかの客もこんな風に侮辱するのか? あんたに払った金を返してもらうために敵地を抜けて使者を送ったのに、あんたは何度も彼らを手ぶらで突っ返して、わたしをバカにした。テルマンと取引している貿易商で、わたしにこんなひどいことをする奴はいない。わたしの使者をバカにしたのはあんただけだ!
たった1銀ミナ(古代ギリシア・エジプトの重量単位)借金してるからって、そんな勝手な言い草はないだろう。どうしてこんなひどいことをするのか? わたしの金をぶんどっておいて、敵地で隠れているなんて。全額耳をそろえてわたしに返すかはあんた次第だ。金輪際、品質のいいものでない限り、あんたからは銅を買わないから、そのつもりでいるがいい。これからは、自分の目でインゴットを選んで買う。あんたなんかお払い箱だ。それもこれも、あんたがわたしを侮辱したせいだ。
▼あわせて読みたい





コメント
1. 匿名処理班
結局人間って今も昔も考えることは同じだなw
2. 匿名処理班
クレームがかわえぇ
3. 匿名処理班
この曲ならciv3で流れてたかもしれない
4. 匿名処理班
アーミーナイフ、とても紀元前のものには見えない・・・
もし本物だとすればローマ帝国は計り知れないものだったんだろうなあ。
ロマンがある!
5. 匿名処理班
70年前って…そんな正確に把握出来るようになったのか
6. 匿名処理班
スイスアーミーナイフ…水道橋といいイタリアの建築物といいローマ帝国はどこまで優秀なんだ…
7. 匿名処理班
性具の画像はどう見てもアレには見えんが(´・ω・`;)
普通に考えたら、葉っぱとか革をなめすのに使ってたんじゃね?とか、
いくらでもあるだろw
勇気が要っただろうなあ。発表するとき。
8. 匿名処理班
特に石器の話は興味深いね
実は何度も車輪の再開発をしながら知識をロストしてきたのかもしれない。
個々の発明自体は偶然によるところも大きいかもしれないけど、人間にはそもそも真理を発見する力があったんだろうね。
今の今に至るまでの人類の歴史も必然であった部分もあるんだろうと思うと胸熱。
9. 匿名処理班
3.のアーミーナイフすげえな
さすが文化チートの古代ローマ
やはり食への欲求は人を進歩させるということか
10. 匿名処理班
3000年前の音楽はこころなしか細野晴臣の音楽に似ているような気がした。
おもしろいなあ。
11. 匿名処理班
もしローマ時代の文明がそのまま続いていたら
今頃火星に夏の休暇に行ったり、金星を資源取る場所になり
出稼ぎに行く人もいただろうな。
そう考えるとローマの技術ってむちゃくちゃ進みすぎ
12. 匿名処理班
このスイスアーミーナイフって100年程前に作りましたって言われても俺なら鵜呑みにしてしまうわ
もしローマ帝国が生き残ったら今頃どうなっていたのかな・・・
13. 匿名処理班
色々言い分はあるのだろうが
とりあえず1銀ミナの借金は返しなさい
14. 匿名処理班
3のスイスアーミーナイフはマジで驚いた
これが紀元前だって!?
15. 匿名処理班
偉大なるローマ
16. 匿名処理班
一万年後の人類「太古のホームページすげえw」
17. 匿名処理班
>9. クレームの手紙(3750年前)
その頃、日本人は猿語を話していた
18. 匿名処理班
「非常によく磨かれていて艶もある」で笑ってしまった
19. 匿名処理班
こんな精密な人工義肢を作れたくらいだから、かなり高練度で精製された金属工具の類も何処かに存在しているんだろうね。
鉄器使用の歴史も書き変わるかも。ヒッタイト以前まで遡ったらと思うと何かワクワク。
20. 匿名処理班
歌はCIV5のカルタゴの曲だな
21. アーカード
貴様らローマは2000年たっても何も変わらん。
22. 匿名処理班
クレームの荒ぶりwwでもクレーマー本人なり他の人なりがこれを一所懸命粘土板に刻んだり乾かしたり焼いたり(?)して相手に届けた光景を思うと何となく微笑ましい。この粘土板って当時の人から見るとやっぱり普通のよりギッチリ刻んであって、いかにも苦情の手紙っぽく見えるのかしらね。
23. 匿名処理班
※21
3750年前は日本は縄文時代。言語はとっくに根付いてるよ。
こんな風に文字はなかったかもしれないから(文字の歴史は詳しくないが)、この粘土板はすごい。
クレームをこつこつと粘土板に彫り込んだ執着心もそれが何世紀も残ってしまったこと両方に驚くわ。
24. 匿名処理班
世界最古の「お客様の声」
25. 匿名処理班
1. ジルコン結晶 >色は半透明の赤だが、電子線を照射すると青く変わる
なにそれ超かっこいい
手のひらサイズくらいの結晶だったら是非欲しいわ
3. スイスアーミーナイフ
1800年も前に金属で番(つがい)や軸を作る技術があったことに驚きを隠せない
7. DNAサンプル
「ネアンデルタール人である」と解析できるくらい上質なDNAが15万年も前の骨に残っているのが不思議でしょうがない。アッサリ変性したり分解されたりしそうなのに…
そしてその15万年前に落ちて死ねるほどちゃんとした井戸があったことにも驚く
世界は驚きと不思議で満ちているなぁ…
26. 匿名処理班
>アーミーナイフ
フォークが三本爪だ!!!
27. 匿名処理班
※29
コツコツと刻むっていうか、それぞれの文字のハンコがあってそれを粘土板にポンポン押していけばいいだけだったみたい。文字起こし屋ってか、そういう仕事もあったんじゃないかなあ。
28. 匿名処理班
まぁローマいうてもシュメール→バビロニア&エジプト→ペルシャ→ギリシャ
ちゅう文明の蓄積がありゃこれが妥当、贅沢言うともちっと進んでても良かったかもなんてね
無論進みすぎるのも崩壊の一因になるんでせうがね
29. 匿名処理班
ネアンデルタール人のぶつぶつでゾワっと鳥肌たった
30. 匿名処理班
ローマはなぁ
キリスト教による暗黒時代さえ来なければ・・・
31. 匿名処理班
7の写真がMTGのイラストにありそうな怖さ
32. 匿名処理班
※26
そういえばその後18世紀くらいに4本が登場するまで3本爪だったか
ルネサンス期ので2本もあったっけ?
でもそもそもこれはテーブルフォークの使い方なのかピックルフォークの使い方なのか
33. 匿名処理班
1に関しては人類史というより地球史だから記事の趣旨と少し違くないか
性具に関しては男根崇拝もあるんじゃないかな
34. 匿名処理班
日本でも男性器を模した石器はよく出土されてるけど、
博物館で展示されてるのは石棒とか言って、なんか言葉を濁してるな
男性石でいいのに
35. 匿名処理班
最後生々しいな・・・w
36. 匿名処理班
なぜか、この義肢の美しさには愛を感じるね
37. 匿名処理班
ローマ人はいっちゃってるよあいつら未来に生きてんな
38. ・・・
>最古の歌
きっとタイトルは「愛・おぼえていますか」だな
>スイスアーミーナイフ
ちゃんと今と変わらないフォークとスプーンが付いててびっくりだよ!
平たい顔族の仕業だろうか…
39. 匿名処理班
クレームはついこの前客に言われた内容そのままだ。
クレーマーは全然進歩してないってことだな。
40. 匿名処理班
8番はファミコンっぽいな。懐かしいわ
41. 匿名処理班
※29
あ、この手の馬鹿はどこにでも湧くからマトモに相手しない方が良いよ。
単なる構って野郎なだけだから。
42. 匿名処理班
ジルコンの原石はありふれたもので、たまに売ってるが電子線を照射のほうは難しいな…
古代ローマの裕福な階級の家はガラス戸を使っていたがあまりに現代的で映画では再現されないとゆう…
ある意味レベルの高すぎる文明
43. 匿名処理班
粘土はやわらかいので葦の筆を軽く押し付けるだけでいいです。
普通に文字を書くのと同じ速度で書けます。
44. 匿名処理班
この賛美歌、この安っぽい音で聞くとあれだけど、大勢の人間の声で脳内再生すると、今も各地に居る少数民族の祈りの儀式とかで歌われてそうな感じ。
※8
いやあ、実際に使われた痕跡が残ってたのかもよ?w
※16
1銀ミナ…いくらぐらいなんだろうな。
45. 匿名処理班
>7 DNAサンプル
内容読む前に画像でヒイッってなった
蓮コラ的なナニカだ……
46. 匿名処理班
※53
画像が目に入った瞬間ただちにスクロールしたチキンな俺がいます。
しっかり見るなんてムリムリムリぃぃぃ・・・。
47. 匿名処理班
ジルコン結晶(ZrSiO4)が44億年前。ジルコニウム(Zr)は超新星爆発でしか生まれない元素だから、地球や太陽の元になった恒星があったんだね。ロマンだな。
48. 匿名処理班
音楽はいいねぇ
音色のせいか、FCのゲーム音楽に聴こえるけど
そして性具のコメントがww
49. 匿名処理班
賛美歌がちゃんと賛美歌しててすごい
50. 匿名処理班
2700年前の草、味わってみたい・・・ジュルリ
51. 匿名処理班
※52
銀1ミナは今の重さに変えると約430g
給料換算だと100日分(労働者換算)
現在で言えば100〜200万程度かね
52. 匿名処理班
賛美歌は、西洋的な賛美歌じゃなくて、一音一語で歌詞が設定されてるように感じた。
歌と言うより、日本語で言う詠い、に近いとも。
歌詞は誰か訳してくれないかなぁ。是非知りたい。
53. 匿名処理班
えっ....20センチが標準なの....
54. 匿名処理班
8
ゼルダで流れてそう
55. 匿名処理班
7のDNAサンプルの画像の真ん中近くが
オレンジの目をもつドクロにみえる
56. 匿名処理班
誤字?
>5.これを作った者はその知識を伝授しないまま死に、その数百年後に新たに発明し直されたということかもしれない。
→数百万年後
かな?
57. 匿名処理班
爪先のない人に人工爪先をつくってあげるって、やさしい世界だね