遺伝子療法でダイエット
健康的な体を作るための遺伝子療法/iStock

 脂肪を減らし、筋肉をつけるためには、食事制限や運動など、生活習慣を変えながら日々努力していく必要がある。

 健康的で理想的な体型を作るのは一朝一夕では成しえないのだ。だが今回、マウス実験ではあるが、ダイエットや運動をしなくても、肥満を予防し、筋肉までアップできる新しい遺伝子療法が発見されたという。

 この研究は『Science Advances』(5月8日付)に掲載された。
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Gene therapy for follistatin mitigates systemic metabolic inflammation and post-traumatic arthritis in high-fat diet–induced obesity | Science Advances
https://advances.sciencemag.org/content/6/19/eaaz7492

多様な細胞プロセスに影響するタンパク質「ホルスタチン」に着目


 ほとんどすべての動物組織に発現している「ホリスタチン」というタンパク質がある。

 これが発見されたのは1980年代後半のこと。当初は生殖ホルモンとしてその解明が進められていたが、のちになって筋肉増強など、さまざまな細胞プロセスに影響することが明らかとなった。

 これまでの動物実験では、遺伝子療法によってホリスタチンの発現を促進すると、特定の筋肉変性疾患を緩和できることが明らかにされている。


変形性関節炎の治療としてのホリスタチン遺伝子療法


 セントルイス・ワシントン大学(アメリカ)のチームによる新しい研究は、変形性関節症の治療法として、ホリスタチン遺伝子療法の可能性を探ったものだ。

 だが、その治療効果は、筋肉の量を増加させ、かつ肥満につながる代謝性炎症を緩和することで発揮されるものなので、運動いらずの筋トレや、食事制限いらずのダイエットにもつながる可能性がある。

 「肥満は変形性関節症のもっとも一般的なリスク因子です。体重が増えすぎると、体を動かしにくくなり、理学療法の効果もあまり得られなくなってしまいます」とのFarshid Guilak氏は話す。


マウス実験で効果を検証


 実験では、脂肪たっぷりのエサが与えられ、太ったおかげで変形性関節炎を発症してしまった若いマウスに、ホリスタチン発現を促進する遺伝子療法を施した。

 Guilak氏はその効果を「絶大」と評している。太らされたマウスは、あまり運動ができなくなっていたにもかかわらず、筋肉が増え、それでいて体重は増えなかったのだ。

 とりわけ効果があったのは、関節の怪我と変形性関節炎につながる軟骨の変形・滑膜炎・骨再形成の緩和だったという。

iStock-1208292993


ホリスタチン遺伝子療法のさまざまな効果


ホリスタチン遺伝子療法が人間の治療法として有望であることが示されたのは、これが初めてではない。関節症の治療以外にも、がん・腎臓病・嚢胞性線維症といった病気の治療法としても研究が進められている。

 ベッカー型筋ジストロフィーに関しては、人間を対象とする第I相試験が行われ、少なくとも危険な副作用はないことが確認された(ただし治療効果ははっきりしない)。

 今回の研究では、筋肉を増強させたり、代謝活動に影響して高脂肪食品のカロリーを相殺するなど、ホリスタチン遺伝子療法に多様な効果があることが示唆されている。

 Guilak氏は、人間を対象とする治験の可能性については現実的な態度でいるが、関節症の治療法としてはもちろん、食事制限不要のダイエットなどとしても期待しているとのことだ。

References:Experimental gene therapy prevents obesity, builds muscle, without exercise or dieting/ written by hiroching / edited by parumo

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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 09:14
  • ID:qTRmls600 #

この遺伝子、重病や大怪我の時にも発動するのかな。もしもそうならけっこう厄介なことだと思うが。

2

2. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 09:23
  • ID:R6qgSweq0 #

実用化はよ

3

3. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 10:18
  • ID:jil99hfx0 #

甲状腺刺激ホルモンを過剰に分泌させる病気になるとすぐ痩せるよ(自然治癒は難しいけど)

4

4. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 10:31
  • ID:os16ZCBq0 #

具体的にどうやってその遺伝子を活性化させたのか教えてよ

5

5.

  • 2020年05月14日 10:47
  • ID:KjsvD6140 #
6

6. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 10:49
  • ID:lJ.8DikT0 #

運動なしで消耗するって一歩間違うと命に関わりそうだが…
都合良く適度なとこで止まってくれるもんなのか?
太り易い病気の人の為の治療なら有だと思うけどね

7

7. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 10:50
  • ID:G2TGQqtw0 #

心筋梗塞おこさないか?

8

8. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 10:54
  • ID:AHxHyXoK0 #

※1
筋疾患治療に役立つ方法なので使えるかも
特に抗がん剤でも考えられていて、筋ジストロフィー治療薬としても
すでに発売されてると思う
また生体内での骨格筋, 脂肪細胞, 肝臓の脂質代謝, 糖代謝を基にし
2型糖尿になるリスク減らしたり、スポーツでも役立つ
人以外だと飼料費軽減や飼育時間軽減、霜降りのような
病気牛でなく赤身の多い健康的な肉育成など畜産業でも
役立つ技術だそうだ
うまーな肉も食えるとはすごいぜ

9

9. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 10:54
  • ID:aoqzXZ120 #

実用化はしないでしょう。

10

10. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 11:18
  • ID:5AHRqujq0 #

ちょっとホルスタイン買ってくる

11

11. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 11:24
  • ID:a1rb7fgI0 #

こういうのでさ、マウスで効果を云々て、これまでもさんざん
それこそ毎年のように出てきたかんなぁ、たとえばで前例出すと
ピコリン酸クロムとかも同じような効能で話題にされてたじゃん

12

12. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 11:30
  • ID:CV.syW0F0 #

サムネの女性が、息子スティック持ってるように見えるw

13

13. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 11:50
  • ID:Sz.1AUIl0 #

そういや、マイクロニードルパッチで痩せるって話はどうなったんだろうね。
最近、色んな化粧品会社がマイクロニードルに美容液とか使った商品出してるけど
アレって美容液じゃなくて脂肪を溶かす薬剤使えば
貼るだけで痩せられるようになるって研究してたような…
実用化されなかったのかな

14

14. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 15:00
  • ID:aZiUZB3O0 #

結局筋肉つかないから不健康よ

15

15. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 17:35
  • ID:gqma.Wuf0 #

ゴリラは筋トレしないしな

16

16. 匿名処理班

  • 2020年05月14日 21:35
  • ID:IWyfRrE40 #

こういう情報を見るたび「またか」と思いつつひそかに期待してしまう
くやしい

17

17. 匿名処理班

  • 2020年05月15日 04:43
  • ID:wWqgrJe10 #

>>3
豚の甲状腺ホルモン摂取するダイエット方法が巷で流行してますねえ…無理してバセドウ病ならんでもと思うけどね

18

18. 匿名処理班

  • 2020年05月15日 08:46
  • ID:6ftqAehw0 #

箕輪さんじゃないの?

19

19. 匿名処理班

  • 2020年05月15日 16:12
  • ID:uxwQz7fl0 #

遺伝子療法って要するに身体にない遺伝子を組み込むってことだから、合併症や発ガン性のリスクがあって相当精度高くないと実用化は難しそう。

20

20. 匿名処理班

  • 2020年05月16日 23:27
  • ID:y6F.1Td70 #

※10
牛乳じゃなくて乳牛をチョイスする漢気に惚れたよ

21

21.

  • 2020年05月17日 11:36
  • ID:AcJpWaDF0 #
22

22. 匿名処理班

  • 2020年06月10日 18:24
  • ID:xpU2mkOm0 #

・・・燃費悪い(・・?)氷河期とか食べ物が少なくなった時に持たないと思うけど・・・

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