
これがいかに危険な状況かはすぐに分かるだろう。こうしたとき、きちんとしたコミュニケーション手段を確保することは、消防士にとって文字通り死活問題だ。
だが厄介なのが煙とノイズだ。現場に立ち込める煙や喧しい騒音のおかげで、視覚や聴覚を利用した手段ではあまり役に立たないのだ。
そこでアメリカ、カーネギー・メロン大学の研究グループが考案したのが、触覚を利用した「ハプティック・ヘルメット」である。
内蔵アクチュエーターの振動でナビ
「ハプティクス」とは、振動や動きなどを利用し、人間の触覚を通じて感覚フィードバックを与える仕組みのことで、「触覚技術」とも呼ばれる。携帯電話やゲームコントローラーの振動機能もハプティクスの一例だ。そのハプティック・ヘルメットには、アクチュエーターが内蔵されており、現場の情報をリアルタイムで消防士に伝えることができる。

こうした指示は、周辺にいる人間がリモコンやVRシミュレーターで出すことができる。
NIST Haptic Interfaces Challenge Final Test on November 5th, 2019, Denver, CO
公衆安全チャレンジのハプティック・インターフェース部門で優勝
ハプティック・ヘルメットは、アメリカ国立標準技術研究所が主催した公衆安全チャレンジのハプティック・インターフェース部門に出品されたもの。半数が現役の消防士である審査員から「もっとも商業的に有望」と評価され、見事優勝した。このコンテストでは、いくつかの仮想シナリオを通じて出品作の性能がチェックされた。さらに最終ステージでは、消防士たちが実際にこれを着用し、真っ黒な煙が充満した訓練施設に入ってそこを通り抜けるというデモが行われた。
動画の中では、赤外線カメラつきのコントローラーを手にした消防士が、先行する消防士をナビしながら建物内部を通り抜ける様子が映し出されている。

今後はペンシルベニア州ピッツバーグの消防署に配備され、消防士からのフィードバックを得て、さらに改良が加えられるとのことだ。
References:engineering/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
スネーク、返事をしろッ、スネーーーーーーク ! !
2. 匿名処理班
骨伝導にしたら会話による具体的な指示や情報共有も出来て便利だろうな。
3. 匿名処理班
視覚障害者にも有効なのでは
4. 匿名処理班
こういう連絡システムは本当に必要だと思うよ
何故なら、消防チームには全体の連携が欠かせないからだ
例えば、軍用の連絡システムがどうやっているか?というのも
相当に参考になると思う(全く同じという訳でもないと思うが)
戦場もまた、騒がしく忙しくチームの連携が必要な場所だからね
だから、軍用のシステムを参考に出来る部分も有ると思う
(掛けられる予算が桁違いかも知れないが、参考にはなると思う)
5. 匿名処理班
ミリタリー系の動画で屋内の掃討訓練とかを見てると、肩をポンポン叩いて意思疎通してるシーンがある。あれをヘルメットがやってくれる感じなのかね。
切羽詰った状況でのコミュニケーションはシンプルなほうがいいし、携帯のバイブレーターと同種ってことは、枯れた技術を組み合わせたものなのかも知れない。
この発想は無かったけど、いいアイディアに見えるな。
6. 匿名処理班
「パワーレンジャー・ライトスピード・レスキュー」(日本の戦隊「ゴーゴーファイブ」が原作)をベースにしたのかな?
何にしてもレスキューポリスは本当に実用化を切望したい
7. 匿名処理班
うちの娘が夏休みの工作で、体育の紅白帽のこめかみに小さな振動モーターを仕込んで、手元のスイッチでON/OFFできる装置を作っていました。
本人いわく、針金ハンガーを頭にはめると首が回る反応の応用で、帽子をかぶった人の首を左右に自在に動かすナビゲーション装置になるはずだったけど、どうしても首はまわらず、失敗作のまま提出してました。
調べたら、振動と圧迫では感じる神経がぜんぜん別だったとのこと。
でもこの記事をみると、ひょっとしてもっと評価されるべき工作だったのかも……。
8. 匿名処理班
ゲームのHUDみたいにナビや現場のデータが見られるゴーグルができたら面白そう。FPSゲームみたく生存者の位置をウォールハックで知れたら良いな。