
MAP Archaeological Practice
原住地、起源については諸説あるが、インド・ヨーロッパ諸族の一派でケルト語を話し、紀元前5世紀から前1世紀にヨーロッパ中部と西部で活躍したと言われているケルト人の墓から1000年に一度と言われるほどの大発見があったそうだ。2200年前のケルト人戦士の墓というだけでもすごいのに、墓の中から美しい装飾が施された保存状態の良い盾が発見されたのだ。
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ケルト芸術様式の見事な盾
イギリス、マンチェスター大学の考古学者メラニー・ジャイルズは、この1000年間で、イギリスのケルト芸術におけるもっとも重要な発見だという。ヨーロッパ鉄器時代後期に栄えたラ・テーヌ文化の特徴的なケルト芸術様式で作られたこの盾は、ホタテガイのように波打った縁が特徴で、トリスケル(三脚巴)と言われる3つの渦巻き模様があしらわれている。軟体動物の外皮のような生物のようなものも描かれていて、修復した痕跡が見られる。
The Most Important British Celtic Art Object of the Millennium Discovered | Ancient Architects
儀式用なのか?戦闘用なのか?
「このように手の込んだ金属の面をもつ盾は、戦闘で使われたものではなく、純粋に儀式用のもので、ステータスを反映しているというのが、一般的に信じられている説です」と言うのは、MAP考古学研究所のポーラ・ウェアー。「しかし、盾に剣で貫かれた典型的なキズがあるため、わたしたちはこの矛盾に挑んでいます。修繕の跡からは、この盾がただ古いものであるだけでなく、よく使いこなされていたらしいことがうかがえます」
盾は、75センチ×30センチの楕円形をしていて、ブロンズ(青銅)の金属シートを繰り返し叩いて作られている。今は朽ちてなくなっているが、かつては革や木の装飾がついていたと思われる。

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ケルト戦士の墓には二輪馬車と馬の骨も
盾のそばには、二輪馬車と思われるものの残骸と馬の骨も見つかった。馬は副葬品として生贄にされたものなのか、すでに死んでいたものなのかはわからない。「これらの馬は、蹄が地につくように置かれ、その後ろ脚はまるで墓から飛び出そうとしているかのような格好で埋まっていました」
墓におさめられた戦いのための武器や、馬車など移動手段など副葬品を見ると、当時のケルト民族が死後の世界へ行くことをいかに深刻に考えていたかがわかる。この兵士が生きていた社会は、次にやってくる世界に備えて、できるだけ彼を助けようとしたのだろう。

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ケルト人戦士はどんな立場でなぜ死んだのか?
埋葬されていた本人は、紀元前320〜174年の間に死んだとき、40代後半かそれ以上だったと思われる。イギリスでは、こうしたタイプの埋葬はこれまで見られたことはないが、馬車と馬がセットの墓は、2013年にブルガリアで発見されている。この最新の発見は、専門家が評価する論文としてはまだ発表されていないが、もともと2018年にヨークシア州ポクリントンの町近くの埋葬地から見つかったもの。同じ墓からは、赤いガラスのブローチや、べつの生贄なのか、ブタの骨も見つかっている。
墓から出てきた副葬品の調査は続けられていて、数ヶ月たてばいずれ、古代の戦士とこの珍しい埋葬についてもっと詳しいことがわかるだろう。まだまだ、答えのわからない疑問がたくさんある。
「この男性戦士がどのようにして亡くなったのか、まだわかりません」ウェアーは言う。
「鈍器による外傷がいくつかありましたが、それが致命傷ではありませんでした。彼は戦闘で死んだのではなく、高齢のために死んだ可能性も高いのです。彼がどんな立場にいた人だったのかも、わかりません。でも、すばらしい副葬品と共に葬られていたので、明らかに平民ではなかったと思われます」
References:Jaw-Dropping Celtic Warrior Grave Contains Shield Labelled a Find 'of The Millennium'/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
錆びる前の姿も見てみたいな
2. 匿名処理班
そういえば、日本って盾があんまり発達しなかったね、どうしてだろう?
3. 匿名処理班
そんな装備で大丈夫か
4. 匿名処理班
>>2
なんでって鎧の発達が早かった
戦法の違い 盾は弓矢を防ぐ為に
使い捨て感覚の起き盾木盾で十分だったから
ちなみに武士が盾を使わなかったという
認識は間違いです 分担してただけ
5. 匿名処理班
よく青銅は元からこんな色と勘違いされるが
錆びてるだけであり
本来は偽金と呼ばれる黄金色である
300のスパルタ兵の装備みたいな色合い
6. 匿名処理班
サムネ写真がベルトのバックルに見えたせいで、古代ケルト人仮面ライダーとかいうわけのわからないヒーローが頭の中で生まれた。
7. 匿名処理班
ロマンを感じる
8. 匿名処理班
外見の感じだと、剣筋が通りやすい中央及び中心線を瘤及び軸で強化してある感じなので、割と実用を意識して作ってあるように見えるけどどうなんだろう
9. 匿名処理班
なんゴールドだっけ?
10. 匿名処理班
盾が剣に貫かれてるなら矛盾はないな!
11. 匿名処理班
40代か…これが30代ならクー・フーリンの墓か?!実在したのか?!とか胸アツな妄想出来るんだがなぁ…
12. 匿名処理班
インドにこんな盾と剣が混じったようなのあるよな
13. 匿名処理班
その盾か副葬品に名前とか逸話刻んでてくれればなぁ
14. 匿名処理班
※6
仮面ライダーゲール(ケルト)
仮面ライダーガリア
仮面ライダーロマリア
仮面ライダースパルタ
世界古代民族版仮面ライダーなんてのも面白げ。
仮面ライダー縄文…は少しアレだけどそこだけ少し時間進めてヤマトとかねぇ
15. 匿名処理班
このクソ重い非実用的な盾を持って戦場に出たから討ち取られたんじゃね。
スパルタ兵の盾も重すぎて握るだけでは支え切れないから
グリップを握り腕にベルトで固定して更に肩に盾の端を乗せてたけど
この形状ではそうもいかないだろう。
16. 匿名処理班
この青銅の盾の重さってどんなもんなのか、想像がつかん
75センチ×30センチの楕円形って説明がなされてるけど、それが、実戦用だとすると相当重い気がする、ダクソのゴダの指輪みたいに背後を守るように背負ってたとかか?
17. 匿名処理班
ケルト神話には18の盾の伝説があるね
ライオンのタテガミみたいに刃の付いたレオハンとか
18. 匿名処理班
>>3
大丈夫だ、問題ない(キリッ
の結果がコレ
19. 匿名処理班
※2
盾自体はあったんですよ。
古代には「盾持ち人」という役割の人間がいた。
中国の南部と同じ形状で、彼らが日本に持ち込み、そのまま使っていたようです。
けれどもそれはやがて祭祀のものになって実用性は無くなっていきます。
現在、発掘される古代の盾のほとんどはこの祭祀用途です。
なぜ衰退したかというと、日本は人の背丈よりも大きい葦が生え、いたるところに林がある。
それらが身を隠し、天然の盾となって矢を防いだため必要なかったんです。
そして平安時代になると鎧に大袖や草摺りがついて、盾の代わりになります。
戦国期になると兵器と戦術が発展したため再び盾が本格的に登場し、
2畳ぐらいの大きな板盾を陣前に立てかけ、
その半分の大きさの板を足軽が持って騎兵を防御しました。
20. 匿名処理班
キリストの200年位前か
21. 匿名処理班
※4
へー!なるほど!ためになります。
22. 匿名処理班
※8
たぶん軸線のところに骨が通してあってそれを握る拳が瘤のところに入る
鍋の取手みたいなのを平板につける構造よりも単純で強度が出るんだと思う
23. 匿名処理班
この盾の下は絶対掘っちゃ駄目な気が。
24. 匿名処理班
※2
置き盾使ったり、盾役の人が盾を持ったり
そもそも盾を身体に張り付ければいいんじゃね的発想で鎧が発達したり
日本の文化や風土やあわせて衰退していったんだろ。
弓を撃つのに盾持てないし、槍や薙刀や持つと盾は持てない、日本刀も両手持ちなので盾は持てない。 片手を空くという状態が戦場で発生しないので、要らなくなったって重要度が下がっていったんだろうよ。
25. 匿名処理班
社会の資料集や古代系のこういう記事見てるといつも思うんだが
青銅の武器ってさ、当時はどんな色だったんだろ…。
10円みたいなピカピカの赤銅だったのが、もう使い込まて酸化した青緑の状態がデフォルトだったのかどっちなんだろう…?
常にピカピカになるよう手入れされていて、青緑色に変色したら、交換時期だな…みたいな感じだったのか
ピカピカの武器を持ってる奴は新人で、青緑に変色してる武器を持ってる奴はベテランの証みたいな感じだったのか
26. 匿名処理班
※25
錫多めだから白銀色
27. 匿名処理班
アボカドの断面に似てる
28. 匿名処理班
>>2
立て、って言葉が一番理由を表してる気がする
語源かは知らんけど