
フロリダ、プエルトリコ、バミューダを結ぶこの海域では、過去一世紀だけでも数多くの船舶や飛行機が沈み、数百の人命が失われたと考えられている。
その原因について、今度は新たに30メートルもの暴れ波によるものではないかとする新説が提唱された。
失踪の謎は”暴れ波(極嵐波)”という仮説で説明できる
イギリス・サウサンプトン大学の専門家は、失踪の謎は”暴れ波”という自然現象によって説明できると考えている。この仮説を検証するために、チャンネル5の『バミューダトライアングル・エニグマ』というドキュメンタリー番組で、この怪物のような水の盛り上がりが再現された。
暴れ波とは高さ30メートルにも達する極めて強力で危険な波だ。
専門家からは極嵐波(extreme storm wave)と呼ばれることもある。アメリカ海洋大気庁によれば、暴れ波は周辺の波よりも二倍も高く、予測不能で、思いがけない方角から襲われることもしばしばだという。

バミューダトライングルで失踪したサイクロプスで再現実験
サウサンプトン大学の調査チームは、1918年に300名の乗員とともにバミューダトライングルで失踪した米軍の補炭艦サイクロプスのモデルを作成。シミュレーションでは、その巨大さと真っ平らな底面のために、モデルが波に打ち負かされるまでさして時間はかからなかった。
サイクロプスは1918年3月4日、第一次世界大戦中、ブラジル、バイーア州サルバドールから米ボルチモアへ向かう途上で忽然と姿を消した。165メートルの船の残骸は発見されず、306名の船員と乗客も行方不明となった。

バミューダトライアングルへ向け出港した米給炭艦サイクロプスは忽然と姿を消した理論的には、バイーアからボルチモアへ向かう航路で消失しわたけで、必ずしもバミューダトライアング内での事件だというわけではない。
しかし、やはりバミューダが原因だとする見解では、救命信号が発せられなかったことから、超自然的な力が原因で最後を迎えたことが示唆されるとする。

image credit:commons.wikimedia.
巨大な波はサイクロプスを真っ二つに
海洋・地球学者のサイモン・ボクスオール博士は、大西洋のその一帯では異なる方向からやってくる3つの巨大な嵐を見ることができると話す。暴れ波が発生するには完璧な条件だ。
ボクスオール博士の考えでは、海上で発生した巨大な波はサイクロプスのような船を真っ二つに折ってしまうだろうという。
「南と北に嵐が発生し、それが同時に襲ってきます。もしフロリダからまた別の嵐が来れば、暴れ波が致命的な陣形を組んで襲ってくることになります。それは急勾配で、高く、私たちの計測では30メートルを超えます」

人為的なミスも要因の1つに
こうした異常な気象を原因とする見解とは別に、人為的なミスという単純な説明で解明できるという意見もある。カール・クラスゼルニッキー博士は、アメリカ海洋大気庁や沿岸警備隊をはじめとする多くの専門家が長年主張してきたことを繰り返した。
バミューダトライアングルは超自然的な力や異常な環境に囲まれた海域などではなく、そこで生じた失踪事件の数は平凡なものだというのだ。
「ロイズの保険市場やアメリカ沿岸警備隊によれば、バミューダトライアングルで失踪した飛行機の数は、パーセンテージの面から言えば、世界の他の地域と同じです。赤道に近く、また世界の富が集まるアメリカもあるため、交通量はかなりのものです」
クラスゼルニッキー博士は、1945年に起きた5機のTBMアヴェンジャーの失踪と、その後捜索に向かった航空機の失踪を歴史的な例として取り上げる。
・バミューダトライアングル、アべンジャー雷撃機の失踪にまつわる伝説の真実 : カラパイア
この事件では飛行機の残骸も乗員も発見されず、それを取り巻く状況は謎めいていた。
しかしその晩の通信記録からは、複数の副パイロットが西へ飛行するよう進言していたことが分かる。だがパイロットのチャールズ・テイラー中尉は東へ向かった。
さらに捜索に当たった飛行機は突如として消失したのではなく爆発が目撃されていることも指摘する。

「天候は不良で、15メートルもの波がありました」
しかもテイラー中尉は二日酔いで、時計もしておらず、さらに現在位置を見失い、2回不時着した経歴まである人物だった。
似たような見解が長年、世界中の専門家から主張されてきた。
バミューダトライングルは伝説の中だけにあるエリア

当然、彼らとてそこにバミューダトライングルと呼ばれている場所があることは承知しているのだが、ウェブサイトでは、長年調査をした結果、そこに物理的原因以外の要因による事故を示すものは一切発見されていないと説明されている。
またアメリカ海洋大気庁でも、バミューダトライアングルで起きている現象は、同程度の空および海の交通がある他の地域のそれとまったく同じだと述べている。
「海洋は人間にとって謎の多い場所であり、悪天候やナビゲーションの問題が生じれば、きわめて危険な場所」になりうるのである。
それは世界の他の地域でも同様で、バミューダトライアングルにおいて異常な頻度で原因不明の失踪事件が起きているという証拠はない。
References:oceanservice / news.com/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい





コメント
1.
2. 匿名処理班
カラパイアのあわせて読みたいの部分見たら
いろんな人があーだこーだとそれぞれ好き勝手言っててわろたw
3. 匿名処理班
30mの波じゃ多数の航空機失跡を説明する説得力は無いね
4. 匿名処理班
言い換えればどこの海域&空域でも気を抜いたりヘマしたりすればえらい目にあうってことよね。
どちらも自然の脅威が相手、謙虚に行かんとね。
5. 匿名処理班
メタンハイドレートのガス玉がボコッ!となってとか、磁場がどうたら、とか・・
巨大波を含めて、これまで発表されていた説全てが合わさって奇っ怪な現象が起きているのかもね。
但し、宇宙人の襲撃は流石に無いやろ、と、思っている。
6. 匿名処理班
たぶんネーミングの勝利だと思う、バミューダスクエアーやバミューダサークルじゃなんかドキドキしないよね、やっぱ△三角▽じゃないと!
7. 匿名処理班
海底鬼岩城があるんだよ。
古代アトランティス人が防衛の為にバリアー張った影響。
8.
9. 匿名処理班
これ、トライアングルに囚われているだけで事故数はそこまで変わらないってどっかにあったような
10. 匿名処理班
バミューダトライングルといえば、エリア外で沈んだ船もこの中で沈んだということにされているものもあるらしいね
ひどい場合は、太平洋で沈んだ船も組み込まれてたとか
11. 匿名処理班
メタンハイドレートからメタンガスが放出され船は泡で浮力を失って沈没、飛行機は引火して爆発、って昔テレビで見たなあ。
12.
13. 匿名処理班
去年だったか、ナショジオで特集やってた。
バミューダ・トライアングルの水ぜんぶ抜く!みたいなの。
14. 匿名処理班
30mの波かでるレベルだと、ある程度高度あってももはや普通に飛んでられるような状態じゃないんだろ
15. 匿名処理班
バミューダトライアングルって他の海域と比べても原因不明の海難事故も飛行機事故も別に件数は多い方でもなんでもないのにずいぶん盛り上がるな。
クリスタルピラミッドとか嘘書きまくった本のおかげだろうか。
16. 匿名処理班
テクノロジーが進化したいまでもマレーシア航空が欠片しか見つからないで行方不明
昔なら伝説が生まれるのも当然
17. 匿名処理班
真相はともあれ、歴史的な浪漫を感じさせる謎の一つには違いないので
今後ともフィクションの世界では末永く活躍してもらいたい
現実では事故は少ないにこしたこっちゃないけども
18. 匿名処理班
確か私が小学生の頃には、この辺りの事をサルガッソー海と言っていて、複数の海流が渦を作っていて海藻が繁茂しているので、海藻が船のスクリューに絡まって航行不能にする…なんてのが、オカルト系の記事に良く出ていたなぁ。でも最近の記事では海藻説は全く見なくなったのは不思議だ。流石に『現地に行ってみると海藻なんて、ほとんど無くて拙い』という事になったのかな?(40年くらい昔の話だけどね。定番の記事だったよ)
19. 匿名処理班
波が原因ということに関しては、かなり昔に同じような事が言われてたぞ。
そこでは三角波って言ってたけど、同じもんじゃないかな。
20. 匿名処理班
適当な陸地を結べば簡単に三角形は作れるからね。
日本近海にも竜の三角形って海域があるとかないとか・・・
まぁ、ミステリーはロマンだよね
21. 匿名処理班
戦艦武蔵を発見したような人達にこの海域を徹底調査してもらいたいね
きっと興味深い結果が得られると思う
22. 匿名処理班
※5
確かに、宇宙人の襲撃や異次元遭難説は可能性として最も低い。
それでも根強く囁かれるのは、一切の痕跡を残さず消失するという全ての事象を、完全に説明できるシンプルな最後の手段だからだと思われる。
23. 匿名処理班
メタンハイドレード「えっ」
24. 匿名処理班
子供の頃ドラえもんの「海底鬼岩城」で初めてバミューダトライアングルを知ったけど、子供ながらにめちゃくちゃ怖かった思い出がある
25. 匿名処理班
原因は何でも欠けらすら見つからないってのがな。神隠し的な何があるのかね?
26. 匿名処理班
人々の心が超常現象を求めてるんだよ
冷静に考えれば嘘だけど、信じたほうが面白いからね
27. ナパチャット
バミューダサークルじゃつまらないからね
28. 匿名処理班
プロテウス級はサイクロプス含めて3隻が戦争中に行方不明って恐ろしい船である
ドイツの記録にも沈めた記述がない…
29. 匿名処理班
全て学者個人の理論・推測の域を出ない
科学、気象、物理で説明出来ない事が、この世にあるのが納得いかないのが学者
未確認生物、心霊、UFO、超常現象の研究家の方が案外早く真実に辿り着くかもしれない
30. 匿名処理班
原因の前に本当にこの海域であった沈没、墜落を調べるのが先だろうに
どんだけ吹聴されてんだよ
31. 匿名処理班
※15
ここでも何回も話されてるけど
バミューダ絡みの一番最初の嘘本出た時、直ぐに書かれてる内容が本当かどうかってちゃんと調査した人が居るんだよね。で、ちゃんと否定されてるんだけど、また嘘本を書く人とか
否定された事を蒸し返す人が居て今に至る。みたいな
32. 匿名処理班
風なんかは目に見えないから、急に発生した上昇気流に揉まれて〜ってこともあろう
33. 匿名処理班
※25,※30
こういう都市伝説系っていかにも不可思議な
嘘エピソードがしれっと追加されたり、
実はとっくに解明されてても
「真実はいまだ謎のままである」とか言ったり、
デマだと判明してても不思議を信じたい人によって
そのまま流れ続けたり、が多いからね。
これでも都市伝説自体は好きなんだけど、
今はちょっと調べればロマンの舞台裏に
簡単に辿り着いてしまうのが面白くもあり、
ちょっぴり残念でもあるね。
34. 匿名処理班
※3
多数の航空機失なのは空路だから。落ちるのは当たり前。
では他の空路はどうなのかと言うと、ちゃんと墜落し失踪してる。
とりあえず「100人以上が死亡した航空事故および事件の一覧」でも検索して
事故の傾向でも調べてみよう
35. 匿名処理班
船の場合、10mを優に超える巨大な三角波で船体を真っ二つにされるのはありうる事故。昔の船舶はリベット打ちで強度も足りなかったから、たとえ鋼鉄船でもあっさりポキっと折れて沈んだ。最近になって事故が少ないのは造船技術やGPS&ソナーの進化による恩恵。航空機に関しては謎。メタンハイドレート説も捨て難い。
36. 匿名処理班
※5
ガスの気泡で沈没させるには、船より大きい玉で大量じゃないと無理だと検証したテレビでやってた
37. 匿名処理班
波でどうやって飛行機が行方不明になるのかな?と思ったら人的事故で、地域的に平均な事故率で説明がつくのね
38.
39. 匿名処理班
範囲が広大で交通量も膨大なら、事故例も相応に多くなるのは成程当たり前ではあるな
40. 匿名処理班
あれ?まだ解明されてなかったんだ?
上空に発生する高気圧から起きるダウンバーストかと思っていたんだが、違うのか。
短時間で広範囲に気圧上昇したら、上で行き場がなくなった大気は下しか向かわなくなるのでは?
赤道付近、ほとんど海上なら、特にそういう可能性もあるように思うんだが。
まあよく知らないわ、関係ないしw
41. 匿名処理班
世界まるみえ風に答えれば、雷が落ちる→魚が死ぬ→鯨の群れがやってくる→船転覆
だよ。
42. 匿名処理班
謎とされていることが全て解明されて常識になるまで何年かかるだろうなぁ
それで商売してる側からの圧力で永遠に謎のままにされる事象もあるだろな
謎がある方がワクワクするけどね