
シェルターで受けた検査の結果、三つ子は小脳前庭機能障害を持っていることが判明した。子宮内で酸素が不足したことによる先天的な障害だ。
当初、シェルターのスタッフはこの障害をどう評価していいか分からず、十分なケアができないのではないかと心配していた。
しかし救いの神が現れた。ニューヨークを拠点とするアニマルレスキューの "Mr. Bones and Co." が三つ子を引き取ってくれることになったのである。三つ子はニューヨークへと旅立った。
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ニューヨークに到着後精密検査
ニューヨーク到着後に行われた一連の精密検査で、三つ子の障害はシェルターが案じていたほど重いものではないということが明らかになった。少しばかり動きがぎこちなくなるといった程度だ。
三つ子。茶の模様が入っているのがデイジー
レスキューのスタッフは安堵した。これなら、三つ子も普通の幸せな生活を手に入れることができるだろう。
実際、三つ子の中でもっとも健康で自信に満ちていたルークには、早々に引き取り手が見つかった。
デイジーとルーク
2匹に判明した聴覚障害、片耳と両耳
その後数ヶ月。残されたボウとデイジーはお互いを頼りにし、支えあいながら過ごしているようだった。しかし、特にデイジーには少々変わった行動が見受けられたのである。デイジーは兄弟たちより発達が遅かった。円を描いて歩いていることも多く、ひとりにされることを嫌がった。
デイジーとボウ
ある時、スタッフはボウの片耳が聞こえていないということに気づいた。そして、そこから彼らの行動の理由全てが判明したのである。
ボウは左耳が、そしてデイジーは両耳が全く聞こえていなかったのだ。
デイジーは、ボウの行動を逐一真似することで、耳が聞こえないことを上手に隠していたのである。デイジーにはボウのガイドが必要だったのだ。
お互いに助け合うボウとデイジーの絆
「ボウはデイジーの聴導犬よ」と話すのは、"Mr. Bones and Co." の創設者、エリ・フランクさん。「デイジーはボウの真似をする。ボウが起きればデイジーも起き、ボウが食べればデイジーも食事の時間だと知るの。ボウが『お座り』のトレーニングをしているのを見て、デイジーも練習した。私とボウの訓練を観察して、自分で訓練したのよ」
デイジーとボウ
ボウはデイジーよりは活発で積極的だ。音源の方向を定めるのには少々時間がかかるものの、最後には分かる。デイジーはボウの動きをよく観察し、その時々に何をすればいいかを学んでいる。
ボウの自信は、デイジーがこの世界に対して感じている恐怖に打ち勝つための助けとなっている。ボウはデイジーに道しるべと安心感を与えているのだ。2匹はめったに離れることがない。
子守の手伝いに来た「卒業生」と眠るデイジー
2匹一緒の新しい飼い主を求めて
そして、このペアには特別のニーズがある。是非とも、2匹一緒に引き取ってもらいたい、とレスキューは望んでいる。実は、デイジーとボウは、一度レスキューの元から引き取られたことがある。しかし、先住犬に受け入れてもらえず、10日で戻されてしまったのだ。
ボウとデイジーは現在5ヶ月。抱えている問題のため、どこに行くにも彼らはフランクさんと一緒だ。そして、その可愛らしさとサイズのために、常に注目を浴びるのである。
「あまりにも小さいものだから、フェレットかと聞かれるのよ」とフランクさん。「デイジーは小さすぎて、猫用の首輪でも大き過ぎるの。だからフェレット用の首輪、鈴のついたやつを買ったわ。デイジーがどこにいるか、いつでも分かるようにね」
ボウとデイジーの新しい飼い主はまだ見つかっていない。障害を持ってはいるが、彼らは日毎に強くたくましく育っていっている。
彼らを引き取ることができたラッキーな家庭にとって、最高の犬となることは疑いない。
日々たくましく成長中
via: The Dodo / Mr. Bones & Co. など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ブリーダーが悪いと言わないけど、ペットを金で買った事が無いのでね
ブリーダーの裏事情を垣間見た感じだ
我家も曾ては、犬6匹(全て山に捨てられた猟犬)と生活していたけど、犬に限らず支え合って生きている姿はグッとくるね
今、我家は林道で保護した老猫と、その猫が保護した猫2匹の計3匹…自身の身体が不自由でなければ犬も迎えたい処だ
2. 匿名処理班
日本では「ペットは買わず保健所から引き取りましょう」というと「中途半端に成長した犬はなつかない」「保健所の犬は人間不信なので噛みつく」という根拠不明の批判を受けてしまう。
日本のブリーダーはこういう障害を持った犬をどうしてるんですかね?
3. 匿名処理班
健気(けなげ)だ どちらも
祝福あれ
4. 匿名処理班
人間だったら地獄
5. 匿名処理班
兄弟の真似をして自分で訓練するなんて、デイジーはすごく賢い子なんだね
6. 匿名処理班
無理な品種改良はよくないよ…
こういうのが欲しいと言うのもダメ
今現在居る犬種を無くせとは言わないけど…
やはり日本犬の安心感は違うわ
7. 匿名処理班
けなげで素敵だ><
良い飼い主さんに出会えますように。
8. 匿名処理班
昔、ショッピングセンターのペット売り場でバイトをしたことを思い出した
ブリーダーが店舗スタッフに
「ゆうべ夜中に○○犬が急に産気づいて大変だったけど、”ロス”が2頭だけで、すぐに”片付け”られたから、上出来なほう」というような話を笑いながらしていた
動物を好きな人はブリーダーにはなれないと、あのとき思った
9. 匿名処理班
うちの猫も同じ障害あるけど、めっちゃくそ可愛いよ。
両耳全く聴こえてないし、運動障害あるけど、その分めっちゃ人懐っこさと不思議な妖精感があって、どうしてこんな可愛いんだろう?って日々思う。ただ症例が少ないせいか、小脳の炎症発作起きた時に大阪市内3軒の動物病院で見放されて4軒目でやっと治療してもらえて命拾いしたけど。
猫ブログで有名なくるねこ大和さんのマル&胡ゆくんも同じ障害だけどハンデあっても幸せに暮らしているよ。
10.
11. 匿名処理班
デイジーが健気で泣ける...。
12. 匿名処理班
日本で言うチワックスか。
残念だけどチワックスは先天的な障害が多いと聞くね
遺伝子には詳しくないけど大半の子が長生きできないと聞くから、いくら犬とは言えあまり良くないかけ合わせなんじゃないかな
日本ではそもそもチワワもダックスも、流行したせいで乱繁殖して先天的疾患を持った子犬が多いけど、悪徳ブリーダーはそういう犬をかけ合わせて新たに生ませて販売し続けるからこれから飼育しようとしている人は注意してね
13.
14. 匿名処理班
自然とデイジーの面倒を見ているボウ
ボウを信頼して生きているデイジー
深い絆で結ばれた兄弟に良い飼い主さんが見つかることを祈っています
15. 匿名処理班
おとなの野良犬をそこらで拾って飼ってたけど、とてもなついたし、かわいかったよ〜。一度も噛まれたりという問題は発生しなかった。あまりにかわいかったから、二度と犬が飼えなくなったほどだよ
16. 匿名処理班
※2
ウン十年も前の話ですみません。
還暦過ぎの母が若いころペットショップで働いていて、新しい子犬を仕入れるときはブリーダーさんの所に直接引き取りに行っていたそうです。
そこで知った事実なんですが、障がいやミスカラーなどの売り物にならない子は淘汰していたそうです。(格安で譲ったり、ブリーダーやその親族が育てる事もあるみたいですが)
17.
18.
19. 匿名処理班
「隠していた」のではなく「スタッフが気付かなかった」
聞こえなくても見て学習していたのだから、障害に立ち向かった立派な子犬です。
生き物の生きる力は素晴らしい。
20. 匿名処理班
※2
ブリーダーは分からないけど
どこかの取材で、ペットショップで売れ残った子達を専門に引き取る業者があるそうだよ。
引き取るといっても世話もされず放棄同然で閉じ込められて死ぬのを待たれているような酷い状態だった。
ペット産業は本当に早く何とかなるといいな。
21. 匿名処理班
※8
本当に動物好きなブリーダーは無理な交配をしないし、流行だからと問題のある交配もさせない。
日本で流行ってるミニチュア種はどうみてもお産が難産そうだし、自然出産じゃなく帝王切開じゃないと出産は無理そう。 骨格にも無理がありそうだし、あれほど流行りだからと売る方にも購入する方にも問題があると思う。
22. 匿名処理班
※8
種の保存を目的としているブリーダーは無理なお産などもさせないからね
本来ブリーダーってそういうことが目的のはずだけどなんだかお金お金ばかりでいやですよね
23.
24. 匿名処理班
心無い人に捨てられた命はかわいそうだがそれに寄り添って生きる人もいることにすごく救われた気持ちになった
きょうだいたちと将来の家族に幸多かれ
しあわせにな〜れ
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
25. 匿名処理班
ウチの犬はマルチーズ×パグのパグチーズ
健康で性格も良いから
チワックスは
健康に問題のあるワンちゃんが多いってコメ読んで驚き
26. 匿名処理班
保健所でペットを貰うのは素晴らしいことだと思う
ただそれを周囲には押し付けないでほしいね
27. 匿名処理班
※1
狩猟の伝統のあるヨーロッパの話だったと思ったけど、猟犬は手間とお金がかかるから狩猟シーズンに合わせて猟犬を仕入れて、ハンティング(所謂スポーツハンティングという名の金持ちの道楽の残虐行為)が終わったら猟犬だけ棄てて帰るのだとか
日本でもそうなんですかね
28. 匿名処理班
私が知ってるシェパードのブリーダーさんは
無理な繁殖はしてないよ
血が濃くならないように考えてやってるし
訓練所もやってる シェパードは訓練しないと危険だから飼い主決まった子も無料で訓練してる障害もった子が一匹いるけど訓練もして譲らず買ってるよ
29. 匿名処理班
※27
我家が、猟犬を保護したのは神奈川県在住だった頃で、○○年前だが毎年1〜2保護して6頭になった(届出しても誰も引取りに来なかった)
広域で保護活動している友人の話では、バブル時代に別荘地で捨てられる犬が、とても多かったと云う(当時、ハスキー成犬2匹引き取った)
今の時代は、どうなのだろう…猟師が減っているし猟犬を連れている人も減っているから
30. 匿名処理班
本来の、その犬種の心身の健全性と美しさを保ち育てていくことが仕事であるブリーダーと、
売るためだけに産ませて世話も何もあったものじゃない悪徳繁殖業者は、全く別物。
身体の形や被毛だけを見て、安易に犬種を掛け合わせるデザイナーズドッグ( )も要注意だと個人的には思います。。犬にも中身があるんだから。。繁殖て責任重大な仕事なんだぞ。。
31. 匿名処理班
繁殖やも引き取りやも早々に規制と廃業すべき
ブリーダーも一度制限すべだと思う
こうやって助かればいいけど、
子犬が産まれ増やされる裏で
多くの命が犠牲にされ、殺されてるから
32. 匿名処理班
※13
うちも保護犬譲って貰ったり
箱庭入れられてた目も開いてない子犬拾って育てたりしたよ
成犬でも懐くし可愛いよね
もちろん初めは距離感あるけど、それは人間同士でも同じだし
今は、元から飼ってた犬と、高齢犬を預かり飼ってるよ
今までの犬たちへの感謝の恩返し。
飼えなくても保護団体に寄付とか、自分が死ぬまで続けたい